2025年 人事関連法改正の要点まとめ|育児・介護・高齢者雇用・障害者雇用
はじめに
2025年は、人事・労務まわりの制度見直しがまとまって施行される年です。
この記事では、中小企業がまず手をつける順番でポイントを整理しました。
就業規則の条文づくりだけでなく、現場が回る運用まで見据えて進めましょう。
今年の主な改正ポイント(ざっくり全体像)
- 育児・介護休業まわりの拡充
取得できるケースや対象の見直し、周知・意向確認などの手続きが強化。 - 育児期の柔軟な働き方の制度化
3歳以降も働きやすくするため、企業側に“複数の選択肢”の整備が求められます。 - 高齢者雇用の対応強化
65歳までの雇用確保など、継続雇用の仕組みを明確に。 - 雇用保険・給付の見直し
高年齢雇用継続給付などの水準が見直されます。 - 障害者雇用の拡大・率の引上げ
法定雇用率の段階引上げや、対象範囲の見直しに備えます。
※細かな期日・数値は、官公庁の最新情報や社内ルールと照らして確定してください。この記事は実務の進め方の道筋を示す目的です。
実務を進める順番(最短ルート)
1. 改正の影響範囲を洗い出す(30分で粗く)
- だれに関わる?(妊産婦・育児・介護・高齢者・障害者雇用)
- どの規程が動く?(就業規則/育児介護規程/賃金規程/高年齢雇用規程 等)
- どの部署が関与?(人事・総務・現場管理者・経営・情報システム)
2. 就業規則・労使協定のドラフトを作る
- 育児・介護:対象者・手続・周知と意向確認、テレワークや短時間勤務などの選択肢
- 育児期の柔軟な働き方:複数措置(始業時刻変更、テレワーク、両立支援休暇 等)を社内で2つ以上は選べるように設計
- 高齢者雇用:65歳までの雇用確保の方式(定年延長/継続雇用/定年廃止)を明記
- 給付見直し:賃金・手当や就業調整の運用に影響しないか確認
- 障害者雇用:採用・配置・合理的配慮・教育の運用ルールを文書化
3. 現場フローを整える(“紙1枚”に落とす)
- 申請~承認の流れ、提出書式、提出先、期限、代替勤務の決め方
- 管理者向けチェック表(「対象確認→ヒアリング→就業調整→記録保存」)
- 周知物(社内ポータル/配布PDF/掲示)を1枚で作る
4. システム・勤怠・給与の設定を変更
- 休暇区分/短時間勤務の時間帯/テレワーク申請/賃金控除方法
- ワークフロー・承認経路・通知
- WEB明細や年末調整の連携(可能なら自動化まで)
5. 労使協議→決裁→届出
- 労使協定の更新、就業規則の変更決裁、労基署への届出
- 施行日と社内適用開始日を決め、告知
6. 教育・運用開始(短時間×高頻度)
- 管理者向け15分研修×2回(ケーススタディ中心)
- 申請者向け“申請のコツ”ミニ動画・1枚リーフ
- 1か月間は質問窓口を設け、よくあるQ&Aを社内共有
具体的な見直し例(チェックリスト)
- 子の看護・介護:取得対象や手続の見直し、除外規定の整理
- 残業免除・短時間勤務・テレワーク:対象・期間・申請方法を明確化
- 育児期の柔軟な働き方:複数措置を2つ以上用意(社内の実現性重視)
- 高齢者雇用:65歳までの雇用確保の方式/再雇用条件/評価・賃金ルール
- 雇用保険・給付:人件費・就業調整への影響を試算
- 障害者雇用:採用計画、合理的配慮フロー、実習・OJTの受入体制
- 周知:管理者・申請者向けの1枚資料と社内FAQ
- 記録保存:周知記録、意向確認、協定・規程の改定履歴
よくある質問(FAQ)
Q1. すぐ規程改定できないとき、何から?
A. まずは周知と申請フローを先行。規程は「適用日で暫定運用→正式反映」の2段階でもOKです。
Q2. テレワークは必須?
A. 「必ず全員テレワークに」という意味ではありません。選択肢の1つとして制度化し、対象や手続きを決めましょう。
Q3. 中小規模で人が足りません…
A. 休暇・短時間勤務・テレワークを同時に成立させる運用がポイント。勤怠と給与の自動連携で“管理の手間”を減らすと回しやすくなります。
まとめ
制度は作って終わりではなく、誰でも迷わず申請でき、管理者が迷わず承認できるところまで落とし込むことが大切です。
「うちの規模で回る形」にカスタマイズし、現場の負担を増やさずに法対応を完了させましょう。
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