紙の勤怠管理をクラウド化するメリットと事例|はじめの一歩ガイド
紙やExcelでの勤怠管理は「集計が大変・ミスが出やすい・締め日にバタつく」がつきもの。
本稿では、クラウド勤怠のメリットと移行の進め方、中小企業の簡易事例をまとめます。
1. 紙・Excel勤怠の“つまずき”あるある
打刻漏れ・手書き修正で入力ミスが頻発 月末の残業時間・有休残の手計算が負担 タイムカードや届出の保管・検索に時間がかかる テレワークや直行直帰の実態が見えにくい 36協定や割増計算の法令チェックが人頼み
2. クラウド化の主なメリット
2-1. 集計自動化で締め日がラクに
打刻データから残業・深夜・休日労働を自動計算 申請(残業・休暇・遅早退)もオンライン化し、承認フローが見える化
2-2. ミス・改ざんの抑止
打刻履歴は改変ログが残る 申請・承認の証跡が残り、監査や是正勧告にも対応しやすい
2-3. リアルタイム管理
各拠点の労働時間や有休残をダッシュボードで即確認 36協定の超過予兆アラートで早めに手当て
2-4. 給与・年末調整まで一気通貫
勤怠データを給与計算と連携(手入力ゼロへ) Web明細や年末調整までつなげれば、紙コストと配布手間を削減
2-5. ハイブリッド勤務に強い
スマホ打刻・位置情報、ICカード・PCログオン連携など柔軟に対応
体感では、事務担当の月次作業時間が30〜70%削減するケースが多いです(当事務所支援先の傾向)。
3. 移行ステップ(失敗しない型)
ステップ1|現状の“ルール”を書き出す
就業規則・所定労働時間・締日/支払日 休憩・シフト・みなし・インターバル・手当の定義 36協定の枠・変形労働の有無
ステップ2|要件と機能をマッチング
打刻方式(スマホ/IC/ブラウザ/生体) 申請ワークフロー(残業・休暇・打刻修正) 連携先(給与・年末調整・Web明細)
ステップ3|小さく試す(10〜30名・1か月)
**テスト導入(パイロット)**で運用の詰め 書面→クラウドへ二重運用で安心移行 社内説明は「何が楽になるか」を先に伝える
ステップ4|本番切替&定着化
就業規則の表現とシステム設定の整合を確認 管理者向けに**“例外処理”の手順**をマニュアル化 月次の振り返り会で改善点を洗い出す
4. かんたん事例(新潟・中小企業)
事例A|製造業・従業員28名
課題:紙タイムカード+Excel集計。締め日に3人で約2日作業。 対応:IC打刻+残業・休暇のオンライン申請に統一。 効果:集計時間が2日→半日、有休管理がリアルタイム可視化。
事例B|サービス業・多拠点40名
課題:直行直帰が多く、実労働時間の把握が困難。 対応:スマホ打刻+位置情報ログ、36協定アラートを設定。 効果:超過予防で残業の山を平準化、労基署対応の不安が軽減。
※上記は匿名化・一部再構成。実在の運用をベースにした要約です。
5. よくある質問
Q. 打刻漏れが多い社員が心配…
A. 打刻漏れアラート+本人申請→上長承認の標準フローを設定すれば運用で吸収できます。
Q. 変形労働・複雑な手当は対応できる?
A. 多くのクラウドは条件式で計算可能。事前に要件を整理すれば設定で再現できます。
Q. コストは?
A. 1人あたり数百円〜が一般的。紙・人件コスト削減で十分回収できるケースが多いです。
6. まずは“試し運用”から
こもれび社労士事務所では、設定〜運用設計〜給与連携までを一式サポート。
小規模トライアルから始めて、ムリなく全社展開へ。