新潟で増えているハラスメント相談の傾向と、会社が今日からできる対策

はじめに:なぜ今、相談が増えているのか

新潟の企業からのハラスメント相談が年々増えています。背景には、人手不足で現場が逼迫していること、評価・指導の基準が言語化されていないこと、そして相談の入口が社内より外部(労働局の総合労働相談コーナー等)に移りつつあることがあります。
本記事では、最新の相談傾向会社の初動対応証拠化再発防止策まで、今日から使える形で整理します。


新潟で増えている“相談の傾向”3つ

1)相談の入口が外部化しやすい

  • 労働局の相談窓口・家族・SNSを経由して会社に伝わるケースが増加。
  • 社内に公式ルートが見つからない/信頼されていないことが原因になりやすい。

2)「指導」と「パワハラ」の線引きが曖昧

  • 目標未達の叱責や、育成目的の注意が人格否定に見える言い回しになっている。
  • 評価理由が記録されていないため、後から説明できない。

3)証拠・記録が不足

  • 面談記録、チャット履歴、評価シート、配置転換の根拠が残っていない
  • 相談後のフォロー面談が未実施のまま長期化し、二次被害に発展。

会社の初動対応:今日からの5ステップ

迷ったらこの順番。受付 → 保全 → 予備調査 → 判断 → 通知 の流れで。

Step1:受付(記録を残す)

  • 相談窓口を人事/総務/第三者に一本化。
  • 受付シートで最低限の項目をその場で記録。
    受付シート項目(コピペ)
    氏名/部署/申告日/発生日と時刻/場所/相手/状況(言動・頻度)/目撃者/求める措置/健康状態/証拠の有無/緊急性

声かけ例

「お話ありがとうございます。事実関係を正確に把握するため、順番に確認させてください。いま必要な安全配慮も一緒に検討します。」

Step2:保全(安心の確保)

  • 当事者の一時的な分離(席替え・シフト・担当変更)
  • 申告者の不利益にならない配慮(評価・配置への影響を明確に否定)

Step3:予備調査(聞く順番と手続)

  • 申告者 → 目撃者 → 指摘対象者の順で個別ヒアリング。
  • 2名体制/議事メモ作成/誘導質問は避け事実+時系列で確認。

Step4:判断(6類型への当てはめ)

  • 厚労省指針の6類型:身体的攻撃/精神的攻撃/人間関係からの切り離し/過大な要求/過小な要求/個の侵害
  • 該当/非該当/グレーに一次区分し、必要に応じて専門家にエスカレーション。

Step5:通知(文書で残す)

  • 結果通知書・是正指導書を文書で交付。再発防止措置・フォロー面談日程を明記。
    結果通知 書式要素(コピペ)
    調査対象期間/確認できた事実/認定結果(該当・非該当・グレー)/会社の対応(配置・指導・教育)/相談継続の方法/次回面談日時

証拠化の実務:残すもの・残さないもの

残すもの

  • 時系列メモ(発言の引用・日時・場所・関係者)
  • メール・チャットのログ、勤怠記録、評価シート、座席表、組織図の変遷
  • 面談記録(目的・質問・回答・合意事項)

注意点(残さない/扱いに注意)

  • 私物データの収集や過度な録音の強要はプライバシー侵害リスク。
  • 収集の目的・範囲・保管期間を定め、アクセス権限を限定。

第三者調査が必要なケース

  • 管理職・役員が関与、長期化、心身不調の診断書あり、利害関係が複雑 など。
  • 早期に外部窓口や社労士に委託して中立性を確保。

再発防止:制度 × 教育 × 運用の三点セット

1)制度(就業規則・ハラスメント規程)

追記例(コピペ可/要カスタマイズ)

会社は、ハラスメント行為を禁止し、相談者・協力者に対する不利益取扱いを行わない。相談窓口を設置し、申出があった場合は速やかに事実確認を行い、必要な措置を講ずる。行為者には教育・指導・配置変更・懲戒等、相当の措置を講ずる。

2)教育(管理職研修の型)

  • 叱責の言い換え(事実→影響→期待行動)
  • 評価理由の言語化と1on1の進め方(目的→事実→感情→合意行動)

3)運用(窓口・KPI)

  • 社内窓口+外部相談窓口の併設/匿名も受付
  • KPI:相談受付件数・一次対応までの時間・再発率を月次レビュー

社内掲示・周知の文例(コピペOK)

ハラスメント相談窓口のご案内
会社は、あらゆるハラスメントを禁止しています。職場で困ったことがあれば、以下の窓口に相談してください。
社内窓口:総務人事(直通:000-000-0000/mail@example.com
外部窓口:〇〇社労士事務所(匿名可/平日9:00–18:00)
相談者・協力者への不利益取扱いは行いません。秘密は厳守します。


よくある質問(FAQ)

Q1:匿名相談でも調査すべき?
A:はい。特定が難しくても、同様事案の有無や部署ヒアリング等、合理的な範囲で調査します。

Q2:録音は証拠になる?
A:当事者が行った録音は原則証拠価値があります。ただし過度な録音の強要や私物データの取得は避けます。

Q3:配置転換は不利益にならない?
A:申告者側のキャリア毀損とならないよう配慮が必要。まずは行為者側の指導・配置を検討します。

Q4:第三者(外部)窓口は必要?
A:社内で言いづらい環境なら有効。早期相談→初動標準化に効果があります。

Q5:グレー判定だった場合は?
A:再発防止の行動合意(言い換え・関わり方・1on1ルール)とフォロー面談を必ず設定します。

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