休職規定で「必ず入れるべき6つの項目」中小企業が押さえたいポイントを社労士が解説

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休職規定で「必ず入れるべき6つの項目」
中小企業が押さえたいポイントを社労士が解説

「メンタル不調で長期欠勤している社員がいるけれど、就業規則に休職のことがほとんど書いていない…」
「復職させるべきか、退職にすべきか、判断の軸がなくて不安」
そんなご相談をいただくことが増えています。

実は、休職制度そのものは法律に細かい定めがありません。だからこそ、会社ごとの就業規則できちんと ルールを決めておかないと、いざというとき「判断があいまい」「感覚で決めた」と見られ、トラブルに発展しやすくなります。:contentReference[oaicite:0]{index=0}

この記事では、判例や厚労省モデル就業規則の考え方をもとに、休職規定に必ず入れておきたい6つの項目を、 やわらかく・実務目線で解説します。


1. なぜ「休職規定」がここまで重要になっているのか

メンタルヘルス不調や長期療養が必要な病気を抱えながら働く人は、年々増えています。長期休職や復職トラブルが発生したとき、 会社側に次のようなリスクが生じかねません。

  • 「自然退職」扱いにしたら、後から従業員から地位確認請求・未払い賃金請求を受けた
  • 復職を断ったところ、「解雇権の乱用だ」と主張された
  • 主治医の診断書は「働ける」となっているのに、会社側の基準が就業規則に書かれていない

こうした場面で、会社がどんな手順・どんな基準で判断しているかを示す拠り所が、就業規則の休職規定です。 逆に言えば、ここがあいまいな会社ほど、トラブルに巻き込まれやすくなります。


2. 休職規定に「必ず入れるべき6つの項目」

ここからは、就業規則を作る・見直すときに最低限おさえておきたい6つの項目を紹介します。
それぞれ、「何を決める条文なのか」「なぜ必要なのか」「例文イメージ」の順に説明します。

① 私傷病による欠勤を、どう休職に切り替えるかの基準

まず決めておきたいのが、「どれくらい欠勤が続いたら休職命令を出すのか」という基準です。
ここがないと、「あの人はすぐ休職にしたのに、この人はそのまま…」といった不公平感や、 会社側の裁量が広すぎる状態になってしまいます。

ポイント

  • 「業務外の傷病」による欠勤が〇か月続いたら休職とする、など具体的に書く
  • 連続欠勤だけでなく、「断続的な欠勤も含める」かどうかも明記する

条文イメージ

(例)
第○条 労働者が業務外の傷病により欠勤し、その期間が引き続き3か月
(または6か月)を超え、なお療養継続のため勤務できないときは、会社は
当該労働者を休職とする。

② イレギュラーケースに対応する「バスケット条項」

「①には当てはまらないけれど、休職にした方が良いケース」も現場ではよくあります。
たとえば、家庭の事情とメンタル不調が絡み合っている場合など、条文で事前に想定しきれないケースです。

そこで役に立つのが、会社が個別事情を見て休職を命じられる“包括条項(バスケット条項)”です。

条文イメージ

(例)
会社は前項に該当しない場合であっても、特別の事情があり休職させることが
適当と認められるときは、必要な期間、労働者を休職とすることができる。

③ 休職期間中は「療養に専念する義務」があること

休職は、あくまで「労働契約を維持しつつ、回復のために働く義務を免除している期間」です。
それにもかかわらず、副業に専念していたり、治療を受けていない場合、会社としても対応に困ってしまいます。

そこで、「休職中は療養に専念すること」を明文化しておくと、後の対応がしやすくなります。

条文イメージ

(例)
休職中の労働者は、療養に専念し、会社が求めたときは治療状況等について
会社に報告しなければならない。

④ 復職の際に「主治医の診断書」を提出してもらうこと

復職可否の判断に欠かせないのが、主治医の診断書です。
「本人が『もう大丈夫です』と言っているから」といった主観だけで復職させると、再発リスクや安全配慮義務の観点で会社も危険です。

ポイント

  • 「復職を申し出る場合は、主治医の診断書を提出すること」を義務として明記
  • 診断書の内容を見たうえで、会社が最終的に復職可否を判断することもセットで示す

条文イメージ

(例)
休職中の労働者が復職を申し出るときは、就労の可否について記載された
主治医の診断書を会社に提出しなければならない。

⑤ 会社指定医・産業医への受診・面談に協力してもらうこと

主治医の診断だけでは、「会社の仕事内容」や「職場環境」まで踏まえた判断が難しいことも多くあります。
そこで重要になるのが、産業医や会社が指定する医師・専門家の意見です。

就業規則には、会社が指定する医師への受診や面談への協力を義務付ける条文を入れておくと、 後のトラブル防止に役立ちます。

条文イメージ

(例)
会社は、必要があると認めるときは、休職中または復職を申し出た労働者に対し、
会社が指定する医師等の面談・診断を受けることを命じることができる。
労働者は正当な理由なくこれを拒んではならない。

⑥ 再発したときにどう扱うか「休職期間の通算規定」

いったん復職したものの、同じ病気・メンタル不調が数か月以内に再発するケースも珍しくありません。
このとき、以前の休職期間をリセットするのか、通算して扱うのかを決めておかないと、 また判断がぶれてしまいます。

ポイント

  • 「復職後〇か月以内に、同じ・類似の事由で欠勤した場合は、前の休職と通算する」と明記
  • 通算することで、休職期間の上限(1年など)との関係が分かりやすくなる

条文イメージ

(例)
労働者が私傷病による休職から復職後6か月以内に、同一または類似の事由により
欠勤した場合は、当該欠勤に係る休職期間は前回の休職期間と通算する。

3. 6つの項目を入れても「運用のしかた」が大切

ここまで見てきた6つの項目を就業規則に盛り込んでおくと、「後から理由を説明できる休職・復職の運用」がしやすくなります。

ただし、実際の場面では次のような点もあわせて検討する必要があります。

  • 休職命令を出す前に、どこまで面談や配置転換の可能性を探るか
  • 復職に向けて「試し出勤」や「短時間勤務」をどう設計するか
  • 就業規則の内容と、実際の運用・説明資料がズレていないか

休職・復職の対応は、従業員の人生にも、会社のリスクにも大きく関わるセンシティブなテーマです。
「なんとなく」「前例どおり」で判断するのではなく、就業規則と運用をセットで整えておくことがとても大切です。


4. 「うちの休職規定、このままで大丈夫?」と思ったら

この記事を読んで、もし少しでも

  • 「そもそも休職の条文がほとんど書かれていない」
  • 「昔作った就業規則のままで、メンタル不調のケースを想定できていない」
  • 「診断書の扱いや復職判定の流れを、きちんと文章にしておきたい」

と感じられたら、一度、専門家の目で「休職規定」と「運用のしくみ」を点検してみてください。

こもれび社労士事務所では、
・メンタル不調や長期休職が出たときに困らない就業規則づくり
・判例や最新のガイドラインを踏まえた休職・復職フローの設計

を、中小企業さま向けにやわらかくサポートしています。

休職規定の見直しは、一社一社の実態に合わせて調整する必要があります。 「うちはどう当てはまる?」という軽い質問でもOKですので、 まずはお気軽にご相談ください。
「まずは今の就業規則を一緒に確認してほしい」といったご相談だけでも大丈夫です。
お問い合わせは、フォームからお気軽にどうぞ。





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