【医師に渡すメモが運命を分ける】複数のケガ・病気がある場合の「主治医の選び方」と「後遺障害・障害年金の診断書」について
労災の後遺障害や、障害年金の申請では、“複数の症状が同時に存在するケース”や、“複数の病院・複数の診療科に通院しているケース”が少なくありません。
特に、痛みやしびれ・歩行の不安定さ・関節の機能障害など、症状が複数にまたがる場合は、「どの医師が主治医になるのか」や、「医師にどんな情報を渡せば診断書に反映されるのか」が非常に重要になります。
この記事では、実在の事例とは無関係の“別ケース”として、
後遺障害や障害年金の診断書に必要な情報整理の方法をまとめました。
「こういう社労士に頼みたい」という読者の参考にもなるはずです。
1. 複数の病院に通っている場合、「主治医」はどう決まる?
例えば次のようなケースがあります。
- 整形外科には「肩・腕の痛み」で通院
- 神経内科には「しびれ・脱力」で通院
- リハビリ科では「歩行訓練」を受けている
日常生活に関わる障害が複数あると、診療科も増えがちです。
その場合、後遺障害や障害年金では、「症状の中心を診ている医師=主治医」と判断されることが多いです。
ただし現実には、
- 整形外科では痛みを中心に診ている
- 神経内科ではしびれや麻痺を診ている
- どちらも「生活の細かい支障」までは把握していない
という状況が多く、主治医の選択が結果に影響することがあります。
そこで重要になるのが、次の項目です。
2. “症状固定”の前に「生活の実態メモ」を作る理由
後遺障害や障害年金の評価は、「症状固定」(もう大きく良くも悪くもならない状態)を前提に行われます。
ところが、症状固定の時点で初めて診断書を書こうとすると、
- 通院中にあったつらい症状が抜けてしまう
- 具体的な生活上の困りごとが医師に伝わらない
- 本来必要な項目が診断書に反映されない
…ということが頻繁に起こります。
これを防ぐために、社労士が固定前から“生活状況メモ”を作ることが非常に重要になります。
医師は患者の生活全体を把握していないため、このメモが診断書の精度を大きく左右します。
3. 医師に渡すメモは「診断書の質」を大きく変える
医師は医学の専門家ですが、後遺障害や障害年金の診断書には、 法律で決まった評価基準(動作・頻度・持続時間など)があり、 それを理解した上で書くのは簡単ではありません。
そのため、多くの医師はこう言います:
「生活上の困っている点をまとめてくれれば助かります。」
つまり、社労士が依頼しないと、必要な記載が漏れやすいということです。
例えば(完全に別ケースの例です):
- 手指のしびれが一日の中で何回あるのか
- 落とし物がどれくらいの頻度で起こるか
- ペットボトルの蓋を開けるのがどの程度難しいか
- 歩行は何分まで可能か
- 階段は手すりがあれば昇降できるか
こうした情報は、患者が自分から言わない限り医師は把握できません。
結果として、診断書の記載が薄くなり、等級に影響します。
4. 「併合認定」では、複数の症状がセットで評価される
後遺障害では、ひとつの症状だけでなく、複数の障害が合算される“併合認定”という仕組みがあります。
障害年金でも、複数の障害が重なると評価が変わることがあります。
このとき、それぞれの症状を記載する医師が異なる場合があるため、より一層メモが重要になります。
例えば(別ケース例):
- 整形外科……肩関節の可動域制限
- 神経内科……手指のしびれ・筋力低下
- リハビリ科……歩行・バランスの問題
こうした場合、すべての情報が“ひとつの診断書”にある必要があります。
その橋渡しをするのが社労士の役割です。
5. 社労士が入ると、診断書はこう変わる
社労士が介入すると、次のような変化が生まれます:
- 医師が「必要な項目」を理解できる
- 生活状況が明確になるため、診断書が説得力を持つ
- 併合認定の場合、必要な情報がまとめて整理される
- 結果として、給付の適正な判断がされやすくなる
もちろん、医師が判断する医学的部分には一切口を出しません。
「生活の情報を整理して医師が書きやすくする」
ここが社労士の専門領域です。
まとめ:医師に渡すメモは“診断書の土台”。併合ケースこそ専門家へ相談を。
複数の症状・複数の病院が絡むと、診断書の難易度は一気に上がります。
しかし、正しく情報整理をして医師に共有すれば、診断書の精度は大きく変わります。
後遺障害や障害年金は、患者さんの生活を守るための大切な制度。
そのために必要な“情報の橋渡し”をするのが、社労士の役割だと考えています。
ひとりで悩まず、ぜひ専門家にご相談ください。



