8時間超えていないのに、限界だった ― 労基署が見る「本当の長時間労働」と心理的負荷

夜遅くまで一人で働くデスクワークの様子(長時間労働による心理的負荷のイメージ)
夜遅くまで続くデスクワークの様子。長時間労働や業務負荷が積み重なる状況を表したイメージです。

労災(メンタル)・心理的負荷で迷っている方へ 所定 / 法定の違い

「8時間は超えていないのに、もう限界…」
でも、労基署が見るのは “8時間を超えたかどうか”だけ ではありません。
この記事では、長時間労働の捉え方心理的負荷の見られ方 を、実務目線で整理します。

① 過労死ラインの誤解 ② 実務は「法定だけ」ではない ③ 心理的負荷は“組み合わせ”

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①「過労死ライン100時間」は、法定8時間だけが基準?

ここで混乱が起きやすいポイント

  • ニュース等で「月100時間」「月80時間」が“残業の目安”として語られる
  • そのため「法定8時間を超えた残業(=時間外労働)」だけが論点に見える
  • 結果として「8時間を超えてない=セーフ」と誤解されやすい

ただ、精神障害の労災実務では、“時間”だけで結論を出しません
次の②③が、今回のキモです。

②労災実務は「法定8時間」だけで判断しません

労災(特にメンタル)は、勤務実態(拘束の長さ・深夜化・回復困難)が強く影響します。
そのため、会社の所定労働時間が7時間30分・7時間45分の職場でも、“所定を超える長時間化”が継続していれば、負荷として十分に問題になります。

③心理的負荷で大きいのは「長時間労働」より“組み合わせ”

労基署に伝わりやすい形(基本形)

  • 勤務実態の悪化(発病前1か月〜数か月の増加・深夜化・回復困難)
  • 相談しても調整されない/逆に負担増(相談→不利益の構図)
  • 支援の欠如(引継ぎ不十分・単独対応・責任集中)
  • 対人・職場環境の悪化(強い叱責、体制不安、将来不安など)

文章は「つらかった」ではなく、
①いつから何が変わったか②その状態がどれだけ続いたか③発病直前に何が重なったか
の順で組むと、心理的負荷の評価軸に合います。

④所定労働時間でも評価され得る理由

所定 / 法定を混ぜると、話が崩れます(重要)

法定労働時間:原則 1日8時間・週40時間(法律の枠)
所定労働時間:会社が決めた就業時間(例:7時間30分、7時間45分など)

ここでやりがちなのが、途中で所定労働時間の数字を“整える目的”で変えることです。
読み手からすると「どっち基準?」となり、整合性が落ちて弱くなります
※所定労働時間は、就業規則・雇用契約・会社の運用実態(実際の始業終業)に合わせて、事実ベースで固定するのが安全です。

⑤実務で強く見られやすい「勤務実態」の特徴

数字で強くなるポイント

  • 発病前1か月が突出(急激な悪化)
  • 発病前2〜3か月平均が高い(高負荷が継続)
  • 22時以降や深夜帯の退勤が増える(回復困難・睡眠圧迫)
  • 早出が増える(拘束の延長・相談後の不利益と結びつく)

大事なのは、単に「残業何時間」よりも、回復の余地が潰れていく形(深夜化・早朝化・継続)が見えることです。

⑥「法定8時間超じゃないとダメ?」と言われることは?

結論:その一言で終わる話ではありません

精神障害の労災は、出来事・勤務実態・職場環境の総合評価です。
だからこそ、所定基準で“実態”を一貫して示すだけでも十分に戦えます。
ただし「より強く見せたい」場面では、補足資料で法定8時間超を“別枠”で併記すると、読み手に親切です。

※ポイントは「本文で混ぜない」。両方を出すなら、表を分けるのが一番きれいです。

目的別:所定超過と法定(8時間)超過の“きれいな使い分け”

資料 おすすめの基準 理由
心理的負荷評価表 所定労働時間超過で一貫 会社の勤務実態にフィットし、整合性が保てる
別紙(勤務実態一覧) 必要なら法定8時間超も併記 読み手の理解が早い/“過労死ライン”の文脈に合わせやすい

⑦社労士として大切にしている視点(ここが差別化)

「数字を作る」ではなく「伝わる形に整える」

  • タイムカード等の客観資料と、本人の体感・出来事を同じ時系列に並べる
  • 「何が論点か」を先に確定してから、文章の順序を決める
  • 所定/法定の基準を混ぜず、読み手が迷わない表現にする

労災は、事実が同じでも“伝わり方”で結果が変わり得る領域です。
迷っている段階でも大丈夫なので、まずは状況を送ってください。整理から一緒にやれます。


まとめ:8時間を超えていなくても、労基署が見る“本当のポイント”がある

  • 精神障害の労災は「法定8時間」だけで決まりません
  • 心理的負荷は「長時間労働 × 出来事 × 職場環境」の組み合わせが強い
  • 所定/法定は混ぜない(整合性が命)。出すなら表で分ける
  • 別紙(勤務実態一覧)は客観資料として非常に強力

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※本記事は一般的な情報提供であり、個別事案の結論を保証するものではありません。状況により評価は変わります。

よくある質問(3つだけ)

Q1. 「法定8時間」を超えていないと、労災(メンタル)は無理ですか?

いいえ。精神障害の労災は、勤務実態(継続・深夜化・回復困難)と、 出来事職場環境を合わせて評価されます。
「8時間を超えたかどうか」だけで結論が出るわけではありません。

Q2. 所定労働時間と法定労働時間、どちらで書けばいいですか?

基本は、心理的負荷評価表は「所定労働時間超過」で一貫させるのが安全です。
もし法定(8時間)超過も出したい場合は、別紙(勤務実態一覧)で“欄を分けて”併記すると読み手に親切で、整合性も崩れません。

Q3. まず何を用意すればいいですか?(まだ文章にできません)

文章になっていなくて大丈夫です。まずは次のどれか1つでもOKです。

  • タイムカード/勤怠のスクショ(発病前6か月が目安)
  • 出来事のメモ(箇条書きでOK)
  • 上司や会社からのメール・チャットの一部
こちらで時系列と論点を整理して、労基署に伝わる順序に整えます。