私が引き受けなかったこと

労災相談で線を引く判断を象徴する、書類とペンが置かれた静かなデスクの写真

こもれび社労士事務所|仕事の裏側メモ

値引き交渉の話ではありません。
労災相談で、私が引き受けなかったこと

昨日の記事の続きとして、今日は「線を引く理由」について書き残します。
これは価格交渉の話ではなく、結果が不確実な制度において、専門家としてどこまで責任を引き受けるのかという話です。

※この記事は、迷われた方や条件を検討された方を否定する意図はありません。
不安がある中で「少しでも安全に進めたい」と考えるのは自然で、その発想自体はとても理解できます。
そのうえで、私が仕事として責任を持てる範囲をどう考えているかを整理しておきます。

実際の相談の中で、次のようなご提案をいただくことがあります(※要約です)。

・一部の実務だけを切り出して
・期間は限定せず
・金額は下げて
・結果が出なければ返金条件付きで

慎重になられるお気持ちは、よく分かります。私自身、同じ立場なら同じように考えると思います。

それでも、この条件のままでは、私が責任を持つ形にならないと判断しました。


理由は、金額の問題ではありません

理由は、金額の問題ではありません。「できる・できない」の線引きの問題です。

ご相談いただいた内容は、

  • 医師への伝え方
  • 診断書・意見書の読み取り
  • 労基署からの照会を想定した整理

など、休業補償の判断に強く影響しうる実務でした。

一見すると「助言だけ」に見えるかもしれません。ですが実務上は、その整理の仕方次第で、判断の流れそのものが変わりうる領域です。

条件次第で「助言」は継続関与になります

・期間は「休業補償が続く限り」
・照会が来るかどうかは不明
・結果に応じて返金

この条件になると、単発の助言ではなく、結果責任を前提にした継続関与に近づきます。
つまり「どこまで関わるか」を私がコントロールできない状態になります。

労災は、結果を約束できない制度です

労災給付は、医師と労基署の判断によって決まる制度です。社労士であっても、結果を約束することはできません。

そのため、結果に連動した返金条件は、私の業務責任の範囲を超えてしまいます。
(この点は、どの専門家であっても同じだと思います)


だから私は、範囲を区切って提案します

「判断材料と進め方を整理してお伝えする単発支援」としてのみ、ご提案しました。

金額を下げなかった理由
強気だからでも、冷たいからでもありません。
中途半端な関わり方で不信や後悔を生む方が、不誠実だと考えているからです。
そして、私が責任を持てる形でお引き受けするために、範囲と条件を明確にしています。

線を引くことは、突き放すことではありません

条件を変えずに提示し、判断は相手に委ねる。
それが、仕事として責任を持つために必要だと考えています。

もし「いまは合わない」と感じられたとしても、それで構いません。
必要になったタイミングで、また思い出していただければ十分です。

※この考え方は、労災に限らず、障害年金などの「結果が不確実な制度」全般に共通します。

ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

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