労災は“残業100時間”じゃない。ライン未満でも認定されるケースと、判断ポイント

長時間労働や残業が続き、労災認定を検討している方をイメージした落ち着いた写真

メンタル不調・長時間労働で迷っている方へ

労災は「残業100時間」を超えないと無理?
結論:ライン未満でも“複合負荷”で認定されることがあります

「残業が100時間を超えていないと労災は無理ですよね?」
そう思っている方が多いですが、実務はもう少し立体的です。
この記事では、残業時間の“目安”と、ライン未満でも認定されやすくなる“複合負荷”の考え方を、できるだけ分かりやすく整理します。

労災(特に過労による健康障害)では、一定の時間外労働時間が「目安」として使われることはありますが、 時間だけで機械的に決まるものではありません。

  • 📌 発症前1か月:おおむね100時間超
  • 📌 発症前2〜6か月:月平均おおむね80時間超

※「100時間を超えない=労災不可」という意味ではありません。

これらは主に脳・心臓疾患(過労死等)の判断で用いられる目安です。 一方、精神障害(うつ病など)では、これらの時間に達していなくても、 業務内容・出来事・支援体制・ハラスメント等を含めた 「心理的負荷の総合評価」で認定されることがあります。

参考:厚生労働省の公式基準

  • 脳・心臓疾患
    発症前1か月でおおむね100時間、または発症前2〜6か月の平均で1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が目安
  • 精神障害
    発病前おおむね6か月間の「業務による強い心理的負荷」を、出来事・勤務状況・支援体制等を踏まえて総合評価 (2023年9月1日 認定基準改正)

※ 出典:厚生労働省「過労死等の労災認定基準」「精神障害の労災認定基準」

この記事の結論
✅ 「過労死ライン(80/100)」は、主に脳・心臓疾患の基準でよく出てきます。
精神障害(うつ等)は、残業時間だけで決まりません。
✅ ライン未満でも、勤務態様・支援不足・出来事(トラブル、叱責、ハラスメント等)が重なると、総合評価で認定されることがあります。

まず押さえる:労災には「見られ方が違う」2系統があります

① 脳・心臓疾患(脳梗塞・心筋梗塞など) 時間数が強い材料
発症前の時間外労働が、判断の中心になります。
目安として「発症前1か月おおむね100時間」、または「2~6か月平均で1か月おおむね80時間超」がよく使われます。
② 精神障害(うつ・適応障害など) “総合評価”が中心
残業時間は重要ですが、それだけで決まりません。
発病前おおむね6か月に、どんな出来事があり、どれくらい負荷が重なったか(心理的負荷)を総合評価して判断されます。

よくある誤解

❌「100時間を超えないと労災にならない」
精神障害(メンタル不調)の労災は、時間数が目安に届かなくても、他の負荷と合わさって認定されることがあります。

残業時間の「目安」:いわゆる80/100ライン(脳・心臓疾患)

いわゆる「過労死ライン」として語られることが多いのがこの部分です。
実務では、次の時間数が“業務と発症の関連性が強い”目安として扱われます。

  • 発症前1か月:時間外労働がおおむね100時間
  • 発症前2~6か月:平均して1か月当たりの時間外労働がおおむね80時間超

※「必ず認定される」「これ未満は無理」という意味ではなく、あくまで“強い目安”です。

ライン未満でも認定される:精神障害は「複合負荷」で見られます

メンタル不調の労災は、残業時間(量)に加えて、勤務のしかた(質)や、職場で起きた出来事が重なって評価されます。
ここが、いわゆる「ラインだけで決まらない」理由です。

複合負荷になりやすい典型パターン

  • 遅い時間帯までの勤務が常態化している
  • 早出・休日稼働・突発対応が断続的に重なっている
  • 業務量の調整や軽減が行われない/相談しても改善が見られない
  • 特定の労働者に責任や負荷が集中している(支援体制不足・属人化)
  • 心理的に負荷の大きい出来事が重なっている(トラブル対応、叱責、ハラスメント、顧客対応など)
ここが大事:
残業時間がいわゆる「過労死ライン」に達していなくても、勤務態様出来事が重なることで、
心理的負荷の総合評価が「強」に近づくことがあります。
そのため、タイムカード等の客観資料と、出来事の整理(時系列)が重要になります。

ライン未満で迷っている方のよくある質問

※ 数字だけでは判断しきれず、ここで迷われる方がとても多いです。

Q. 残業時間は「申請した残業」だけですか?

いいえ。基本は実労働(実態)で見られます。タイムカード等の客観資料が重要です。

Q. 固定残業がある会社だと、労災は不利になりますか?

固定残業があるかどうかで、労災の判断が自動的に不利になるわけではありません。
重要なのは、実際にどれだけ長時間の勤務が続いたか、そして職場での出来事・支援体制です。

Q. 自分は「ライン未満」かも…相談してもいい?

はい。むしろ迷っている段階での整理が大切です。
残業時間だけでなく、勤務態様や出来事を一緒に整理すると、進め方(労災・休職・会社対応)が見えやすくなります。

Q. 自分のケースが「複合負荷」に当たるか分かりません

ご自身で判断が難しいケースがほとんどです。
残業時間・出来事・勤務態様を並べて整理すると、見え方が変わることがあります。

「残業の時間だけで判断していいのか不安」な方へ

LINEで状況を伺い、残業時間+出来事+勤務態様を一緒に整理します。
※状況整理の段階で、無理に手続きへ進めることはありません。

※ この段階では「申請するかどうか」を決めなくても大丈夫です。

※この記事は一般的な情報提供です。個別事案は、業務内容・時系列・資料状況により判断が変わります。

ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

こもれび社労士事務所ロゴ

ご相談・サービス案内

個人のご相談(労災・障害年金)/企業さまのご相談(労務DX・就業規則など)
どちらも、LINE・メール・オンラインで承っています。