仕事を与えないパワハラで労災認定された事例|メンタル不調との関係を解説

仕事を与えないパワハラで孤立した社員のイメージ。業務外しや干される状態とメンタル不調・労災認定事例を解説
干される・仕事を外されるケースで労災認定された事例|メンタル不調との関係を解説

仕事を与えないパワハラで労災認定された事例|メンタル不調との関係を解説

「仕事を外された」

「会議に呼ばれなくなった」

「自分だけ何も任されなくなった」

「事実上、干されているように感じる」

このような状態が続くと、強い不安や孤立感を抱え、メンタル不調につながることがあります。

ただ、暴言や長時間労働に比べると、「干される」「仕事を外される」という扱いは外から見えにくく、自分でも「これで労災になるのだろうか」と迷いやすい問題です。

そこでこの記事では、干される・仕事を外されるケースで労災認定が問題になった事例をふまえながら、どのような点が重視されやすいのかを整理します。

この記事でわかること

  • 干される・仕事を外される扱いで労災が問題になる理由
  • 認定事例で見られる共通点
  • どんな事情があると認定に近づきやすいか
  • 自分のケースを整理するときの視点
  • 相談前にまとめておきたいこと

干される・仕事を外される扱いは、労災で問題になることがあります

メンタル不調の労災では、暴言、叱責、長時間労働だけが問題になるわけではありません。

仕事を外される、役割を奪われる、孤立させられる、周囲から切り離されるといった扱いも、状況によっては強い心理的負荷として評価されることがあります。

実際、厚生労働省の精神障害の労災認定基準では、心理的負荷評価表によって業務上の出来事を評価する仕組みが示されており、パワーハラスメントや仕事上の差別・不利益取扱い、配置転換、退職強要などが検討対象になります。

「干される」「仕事を与えられない」という一場面だけで即座に結論が出るわけではありませんが、周囲との比較、期間の長さ、会社の説明の有無、他の出来事との組み合わせによっては、労災として十分に問題になることがあります。

まず知っておきたいのは、「仕事がない」だけではなく全体で見られるということ

干される・仕事を外されるケースでは、「たまたま仕事が少なかっただけではないか」と会社側から言われることがあります。

そのため、労災で問題になるときは、単に業務量が減ったことだけではなく、次のような事情を含めて全体で見られることが多いです。

  • いつから仕事を外されたのか
  • どの業務から外されたのか
  • 会議・メール共有・担当案件から外されたか
  • 周囲には通常どおり仕事があるのに、自分だけ仕事がないのか
  • 配置転換、降格、退職勧奨などとセットになっていないか
  • 相談しても改善されなかったか
  • その後、どのように体調が悪化したか

つまり、「仕事を与えない」という一点だけではなく、その前後を含めた流れが大切です。

証拠の残し方を先に確認したい方は、仕事を与えないパワハラの証拠の残し方もあわせてご覧ください。

事例1|隔離され、仕事を与えられず、読書だけをする日々が続いたケース

代表的なものとしてよく知られているのが、転籍を拒否した社員が人事部預かりのような状態に置かれ、隔離されて仕事を与えられず、読書だけをする日々が続いた事案です。

この事案では、単に仕事が減ったというだけでなく、転籍強要や隔離状態が続く中で、吐き気、頭痛、倦怠感などの症状が現れ、最終的にうつ病と診断され、労災認定に至ったと紹介されています。

このケースから見えてくるのは、仕事を外されたこと自体に加えて、

  • 実質的に孤立させられていたこと
  • 会社の人事対応と一体で進んでいたこと
  • その状態が一時的ではなく継続していたこと
  • 症状が具体的に出て受診に至っていること

が重視されやすいという点です。

読者の方の中にも、「自分も席にはいるが仕事がない」「周囲と切り離されている」と感じている方がいると思います。こうした事例は、「自分だけではない」と整理するうえで参考になります。

事例2|配置転換や異動の後に、業務から外されていったケース

干される・仕事を外されるケースは、最初から露骨な隔離で始まるとは限りません。

実務上は、人事異動や配置転換のあとに、徐々に担当を外される、重要な案件に関われなくなる、会議や共有から外されるといった形で進むことがあります。

厚生労働省の認定基準でも、配置転換そのものや、その後の業務内容・責任・人間関係の変化は評価対象とされています。

たとえば、

  • 過去に経験したことのない業務に突然就かされた
  • 異動後に責任だけが重く、支援がない
  • 逆に、異動後にほとんど仕事を与えられない
  • 明らかな左遷に近い配置転換で職場内で孤立した

というような事情が重なると、単なる配置転換ではなく、強い心理的負荷として評価される余地があります。

「異動後に実質的に干されている」と感じる場合は、配置転換が原因でうつ病になった場合、労災は認められる?も参考になります。

事例3|差別的な扱い、不利益取扱い、業務からの排除が続いたケース

精神障害の労災認定基準では、非正規社員であることなどを理由にした差別・不利益取扱いや、業務の遂行から疎外・排除される取扱いも評価対象とされています。

そのため、干される・仕事を外されるケースでも、背景に差別的な扱い、不利益取扱い、人格を否定するような取り扱いがあると、より重く見られることがあります。

たとえば、

  • 自分だけ情報共有から外される
  • 自分だけ重要な仕事を一切与えられない
  • 周囲には通常どおり仕事があるのに、自分だけ雑務しかない
  • 会社に相談しても改善されず、そのまま孤立が続く

といった状態です。

これらは一つひとつを見ると小さく見えることがありますが、積み重なると精神的な負荷は大きくなります。

実際によくある相談例|徐々に仕事を外されていったケース

最初は担当業務が減っただけでした。 しかし数か月の間に、 会議から外され、 メール共有から外され、 最終的にはほとんど仕事がなくなりました。

このようなケースは実務上よくあります。 重要なのは、 いつから何が変わったのかを時系列で整理することです。

認定事例に共通しやすいポイント

干される・仕事を外されるケースの認定事例を見ると、次のような共通点が見えてきます。

  1. 一時的ではなく、ある程度続いていること
  2. 周囲と比べて不自然な扱いがあること
  3. 仕事上の孤立や切り離しが見て取れること
  4. 配置転換、退職勧奨、パワハラなど他の事情と重なっていること
  5. 受診や休職など、体調悪化の経過があること

特に大切なのは、「なぜそうなったのかが会社から十分に説明されていない」「相談しても改善されない」「本人だけが排除される状態が続く」という点です。

読者の方にとっては、「自分も同じだ」と感じる部分と、「自分のケースでは何が足りないか」を見比べることが大切になります。

逆に、そこだけでは足りないこともあります

注意したいのは、仕事を外されたり、業務量が減ったりしたからといって、直ちにすべて労災認定されるわけではないことです。

たとえば、会社側に合理的な業務上の説明がある場合や、一時的な業務調整にとどまる場合、本人以外にも同様の扱いがある場合などは、評価が分かれることがあります。

また、仕事を外されたことだけでなく、業務外の事情や既往歴なども含めて全体が見られるため、申請では「自分にとってつらかった」だけでなく、「同種の労働者でも強い心理的負荷を受ける状況だった」と整理していく必要があります。

事例は参考になりますが、そのまま同じである必要はありません

認定事例と完全に一致していなくても、仕事の外され方、期間、周囲との比較、体調悪化の流れを整理すると、見えてくることがあります。

「自分のケースは事例ほどひどくないかもしれない」と感じていても、まずは全体像を確認することが大切です。

自分のケースを整理するときの見方

認定事例を読むときは、「似た事例があるか」だけを見るのではなく、次の視点で比べるのがおすすめです。

  • 仕事を外されたきっかけは何か
  • どのくらいの期間続いたか
  • 周囲の人との扱いの違いがあったか
  • 会議、メール、担当案件、席配置などで孤立があったか
  • 上司や人事に相談したか、その結果どうなったか
  • 体調悪化はいつ始まり、いつ受診したか

こうした視点で整理すると、「自分のケースのどこがポイントになりそうか」が少しずつ見えてきます。

証拠が少ないと感じる場合でも、今あるメール、日記、業務分担表、診断書、休職までの経緯を並べることで、申請の見通しが立つことがあります。

相談前にまとめておきたいこと

干される・仕事を外されるケースで相談する前に、次の点を箇条書きにしておくと、状況整理がしやすくなります。

  • いつから干されていると感じたか
  • どの仕事を外されたか
  • 会議や共有から外されたか
  • 周囲との違いが分かる事情があるか
  • 会社に相談したか
  • 心療内科や精神科を初めて受診した日
  • 診断名、休職の有無
  • 今残っている証拠は何か

きれいな文章にまとめる必要はありません。

短文や箇条書きで、「何が起きたか」を時系列で並べるだけでも十分です。

まとめ|「自分だけではない」と知ったうえで、自分の事情を整理することが大切です

干される、仕事を外される、孤立させられるといった扱いは、外から見えにくい一方で、受けている本人には大きな負担になります。

実際にも、隔離、転籍強要、配置転換後の業務外し、不利益取扱いなどと結びついて、メンタル不調の労災として問題になった事例があります。

大切なのは、「自分だけではない」と知ることと同時に、自分のケースでは何が起きていたのかを、時系列で整理することです。

証拠が十分そろっていなくても、今あるメールやメモ、受診歴、休職までの流れを確認することで、労災申請を検討できることがあります。

会社に言う前でも、相談して大丈夫です

こもれび社労士事務所では、パワハラ・メンタル不調による労災申請について、LINEでのご相談を受け付けています。

「仕事を外されているが、これで労災になるのか分からない」

「干されている気がするが、証拠が少ない」

「配置転換や退職の話も絡んでいて整理できない」

そのような場合でも、まずは状況を整理するところから一緒に考えます。

短文・箇条書き・スクリーンショットでも大丈夫です。

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