社労士の1号・2号・3号業務とは?仕事内容と相談できる範囲をわかりやすく解説

「社労士には、書類作成以外に何を相談できるのだろう?」と思ったことはありませんか。社会保険労務士(社労士)の仕事は、労働保険・社会保険の手続だけではありません。労務管理などの相談や助言も、法律に定められた大切な業務です。
この記事では、社労士の1号業務・2号業務・3号業務の違いを具体例とともに整理し、後半では公務災害について社労士に相談する際の注意点も解説します。
法令確認の基準日:2026年11月3日。個別の業務の可否は、適用法令・手続・依頼内容によって異なります。
動画で解説|社労士の1号・2号・3号業務
社労士の3つの業務の違いを、動画でもわかりやすく解説しています。 書類作成だけではない社労士の役割について、ぜひご覧ください。
社労士は何をする専門家?
社労士は、労働・社会保険に関する手続や、労務管理などの相談・指導を扱う国家資格者です。社会保険労務士法第2条第1項には、申請書等の作成、提出代行、事務代理、帳簿書類の作成、相談・指導などが定められています。
実務では、主な仕事を大きく「1号業務」「2号業務」「3号業務」と分類して説明することがあります。ただし、法律上は第1号に加えて「第1号の2」「第1号の3」なども設けられており、通称と条文上の号番号は完全に同じではありません。
「独占業務」と「非独占業務」の違い
一定の要件の下で、資格を持たない人などが報酬を得て業として行うことを制限される仕事を、一般に「独占業務」といいます。社労士法第27条では、他人の求めに応じ、報酬を得て業として行う一定の手続・書類作成業務について、制限を設けています。
これは、本人が自分の手続を行うことや、会社の担当者が自社の手続を行うことまで禁止するものではありません。また、他の法律に別段の定めがある場合など、法定の例外もあります。
一方、3号の相談・指導は、社労士だけに独占されている業務ではありません。ただし、非独占業務だからといって、他の法律で制限される書類作成や法律事務まで自由に行えるわけではありません。
根拠:社会保険労務士法第2条第1項・第4項、第27条。参考法令はこちら
1号業務|申請書作成・提出代行・事務代理
一般に1号業務と呼ばれるのは、主に社労士法が対象とする法令に基づく申請・届出などの手続に関する仕事です。ここでは、第1号、第1号の2、第1号の3に分けて説明します。
第1号:申請書等の作成
社労士法別表第一に掲げられた労働・社会保険関係の法令に基づき、行政機関等に提出する申請書・届出書などを作成する業務です。
例えば、労災保険の給付請求に関する書類や、健康保険・厚生年金保険の届出書類などが挙げられます。専門家に依頼することで、記載事項や必要な添付資料を整理しながら手続を進められます。
第1号の2:提出代行
対象となる申請書等について、依頼者に代わって行政機関等への提出手続を行う業務です。書類を作成することとは区別され、依頼者の提出に伴う負担を軽減する役割があります。
第1号の3:事務代理
対象となる申請等について、法令上認められた範囲で依頼者を代理する業務です。申請等に関する主張や陳述など、条文で定められた行為を代理することが含まれます。
提出代行と事務代理は同じ意味ではありません。また、事務代理が認められることは、あらゆる交渉や裁判の代理までできるという意味でもありません。
例えば労災保険の申請では、資料を確認し、請求内容や必要書類を整理して手続を支援します。ただし、認定や支給を決定するのは行政機関であり、社労士が結果を保証することはできません。
根拠:社会保険労務士法第2条第1項第1号・第1号の2・第1号の3、別表第一。
2号業務|労働社会保険関係の帳簿書類の作成
2号業務は、対象となる労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成する仕事です。第1号の申請書等の作成とは区別されます。
具体例としては、労働基準法に基づく労働者名簿や賃金台帳などが挙げられます。これらの書類を適切に整備することは、事業所の労務管理の基礎になります。
1号業務が主に行政機関等への申請・届出に関わるのに対し、2号業務は事業所が法令に従って整備する帳簿書類に関わる点が特徴です。
ただし、会社で使う書類がすべて2号業務になるわけではありません。根拠法令や書類の性質によって判断します。
根拠:社会保険労務士法第2条第1項第2号、労働基準法第107条・第108条。
3号業務|労務管理や労働・社会保険に関する相談・指導
3号業務は、事業における労務管理その他の労働に関する事項や、労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項についての相談・指導です。
例えば、労働時間や休暇の管理、賃金制度、職場の労務管理に関する相談などが挙げられます。社労士の仕事は、書類を作って提出することだけではありません。
個人からのご相談では、労働に関する制度を説明したり、勤務状況を伺い、確認すべき事項を整理したりする支援が考えられます。
労務監査も3号業務に含まれる
現行の社労士法では、関係法令や労働協約、就業規則、労働契約が守られているかを確認する「労務監査」も、3号業務に含まれることが明記されています。
労務管理の状況を点検し、課題を把握することも、社労士の役割の一つです。
3号業務は非独占業務
3号業務は、社労士の独占業務ではありません。これは「社労士が相談・指導を行えない」という意味ではなく、社労士だけに認められた仕事ではないという意味です。
相談・指導にも法的な限界がある
相談・指導として扱える事項であっても、実際の仕事が官公署提出書類等の有償作成や、法律事件に関する代理・交渉に及ぶ場合は、行政書士法や弁護士法などとの関係を確認する必要があります。
特に、本人が署名・提出する書類であっても、専門家が提出用の文案を実質的に作成する場合には、単なる相談・助言とは区別して考える必要があります。「文案」「たたき台」「添削」といった名称だけで、対応できるかどうかが決まるわけではありません。
根拠:社会保険労務士法第2条第1項第3号・第4項、行政書士法第1条の3・第19条、弁護士法第72条。
社労士の1号・2号・3号業務を比較
| 分類 | 主な内容 | 具体例 | 独占性 |
|---|---|---|---|
| 1号業務 | 対象法令に基づく申請書等の作成・提出代行・事務代理 | 労災保険の給付請求、社会保険の届出など | 原則として独占業務の範囲に含まれる。法定の例外あり |
| 2号業務 | 対象法令に基づく帳簿書類の作成 | 労働者名簿、賃金台帳など | 原則として独占業務の範囲に含まれる。法定の例外あり |
| 3号業務 | 労務管理その他の労働・社会保険に関する相談・指導。労務監査を含む | 労働時間・休暇管理の相談、制度説明、労務管理の点検など | 非独占業務。ただし他法令の制限は受ける |
※上表は、主な業務を通称で分類した概要です。実際の受任可否は、社労士法第2条・第27条、別表第一、個別法令などによって確認します。
※このほか、特定社会保険労務士に認められる一定の紛争解決手続の代理などがあります。
公務災害も社労士に相談できる?
公務員の仕事中のけがや病気については、労災保険とは異なる公務災害補償制度が適用される場合があります。職員の身分や任用形態などによって適用制度が異なるため、まずは自分にどの制度が適用されるかを確認することが大切です。
労災保険と公務災害では、手続の根拠が異なる
社労士法別表第一には、労働者災害補償保険法が第2号に掲げられています。一方、国家公務員災害補償法と地方公務員災害補償法は、法律名として掲げられていません。
そのため、労災保険の手続と同じように、社労士資格を根拠として公務災害の申請書作成や代理を行えるとはいえません。
相談・指導と、申請書の作成・代理は分けて考える
公務災害に関することでも、一般的な制度説明や勤務状況・出来事の聞き取りなど、まずはご相談ください。当事務所では、お話を伺い、社労士の相談・指導として対応できる範囲をご案内します。
社労士法第2条第1項第3号は、労務管理その他の労働に関する事項についての相談・指導を定めています。ただし、相談に対応できることと、提出用書類を作成したり、本人に代わって手続を行ったりできることは別です。
勤務記録や診断書などを確認・整理する場合も、相談内容を把握するための作業なのか、提出用の主張や書類を実質的に作成する作業なのかを区別する必要があります。
認定請求書や提出用申立書の作成、提出代理、不服申立ての代理、交渉などについては、適用法令と具体的な依頼内容を確認します。3号業務であることだけを理由に、これらを一括して引き受けられるわけではありません。
適用制度と希望する支援を確認しましょう
相談先を選ぶ際は、「制度について知りたい」「勤務状況を整理したい」「提出書類を作成してほしい」「不認定処分を争いたい」など、希望する支援を伝えることが大切です。
当事務所では、適用される制度とご相談内容を確認し、対応できる支援をご案内します。書類作成や紛争対応など、当事務所の対応範囲を超える内容については、必要に応じて行政書士・弁護士等、対応可能な専門家への相談をご案内します。
根拠:社会保険労務士法第2条第1項・第4項、別表第一。別表への掲載状況と、相談・指導として扱える範囲は、区別して検討する必要があります。
よくある質問
Q.社労士には書類作成だけでなく、相談だけでも依頼できますか?
A.はい。社労士法には、相談・指導を行う3号業務が定められています。手続の依頼を前提としない相談もあります。具体的な対応内容や料金は、各事務所にご確認ください。
Q.3号業務なら、どんな書類でも作成できますか?
A.いいえ。3号業務は相談・指導に関する規定です。提出用書類等の作成には、社労士法上の対象範囲や、行政書士法などによる制限を別に確認する必要があります。
Q.公務員でも社労士に相談できますか?
A.公務員の勤務や公務災害に関することでも、まずは相談内容をお伝えください。当事務所では、適用される制度とご希望の支援を確認し、相談・指導として対応できる範囲をご案内します。
Q.公務災害の申請を丸ごと代行してもらえますか?
A.公務災害の相談に対応できることと、申請書作成・提出代理ができることは別です。労災保険と同じように代行できるとは限らないため、適用される制度と依頼内容、専門家の業務範囲を確認する必要があります。
Q.社労士と行政書士・弁護士はどう違いますか?
A.それぞれ法律で定められた業務範囲が異なります。社労士は労働・社会保険の手続や相談、行政書士は一定の官公署提出書類等の作成、弁護士は法律事件に関する代理・交渉などを扱います。ただし、法律上の例外や業務の重なりもあるため、資格名だけでなく具体的な依頼内容で判断します。
60秒でおさらい|社労士の3つの業務
1号業務は手続、2号業務は帳簿書類の作成、3号業務は相談・指導。 3つの違いをショート動画でも簡単にご紹介しています。
まとめ|社労士は手続だけでなく、相談・指導も行う専門家です
一般に、社労士の1号業務は申請書等の作成・提出代行・事務代理、2号業務は法令に基づく帳簿書類の作成、3号業務は労務管理その他の労働・社会保険に関する相談・指導を指します。
公務災害について相談する場合は、適用される制度と希望する支援を確認することが大切です。相談・指導と、書類作成・代理・交渉を分けて考え、具体的な対応範囲を事前に確認しましょう。
労災・障害年金・公務災害に関するご相談
こもれび社労士事務所では、まず現在の状況を伺い、当事務所で対応できるサポートの範囲をご案内します。
初回の簡単な状況確認は無料です。
有料の相談・支援をご希望の場合は、当事務所で対応できる業務の範囲と費用を事前にご説明します。ご同意なく有料の対応へ移ることはありません。
※ご相談内容により、当事務所ではお引き受けできない業務や、他の専門家への相談をご案内する場合があります。
参考法令・公的資料
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索) :第2条第1項・第4項、第27条、別表第一
- 労働基準法(e-Gov法令検索) :第107条(労働者名簿)、第108条(賃金台帳)
- 行政書士法(e-Gov法令検索) :第1条の3、第1条の4、第19条
- 弁護士法(e-Gov法令検索) :第72条
- 労働者災害補償保険法(e-Gov法令検索)
- 国家公務員災害補償法(e-Gov法令検索)
- 地方公務員災害補償法(e-Gov法令検索)
- 社会保険労務士法の一部を改正する法律の公布等について(厚生労働省) :労務監査に関する業務の明記など
本記事は一般的な制度解説です。個別事案の適法性、申請の見通し、専門家の受任権限を保証するものではありません。法令改正や制度の変更により、掲載内容が変わる場合があります。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

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