1つ1つは弱くても労災になる?精神障害の労災認定は「複数の出来事」で総合評価されます

精神障害の労災は複数の出来事で評価されることがあります

「上司から何度もきつく言われた」
「無視や孤立が続いた」
「相談しても会社が動いてくれなかった」

このような出来事が“いくつも”積み重なっているのに、 「一つひとつを見ると、労災とまでは言えないのではないか」と不安に感じている方は少なくありません。

しかし、精神障害の労災では、 一つの出来事だけで判断されるとは限りません。

複数の出来事がある場合には、それぞれの出来事の心理的負荷を確認したうえで、 全体として業務による心理的負荷が強いといえるかが判断されます。

つまり、「これだけでは弱いかも」と思う出来事でも、複数の出来事を整理することで、労災として検討できる可能性があります。

精神障害の労災認定率は、全体では3割前後です

精神障害の労災は、申請すれば必ず認定されるものではありません。

全体の認定率は、ざっくり見ると3割前後で推移しており、2024年度の支給決定率もおおむね約30%とされています。

厚生労働省の公表資料でも、精神障害の支給決定率は概ね2〜3割台で推移しています。

決して簡単な申請ではありません。

だからこそ、 出来事をどのように整理するかどの証拠をどの出来事と結びつけるかが重要になります。

認定事案では「上司からのパワハラ」が多い

精神障害の労災で認定されている事案の中では、上司からのパワハラ、暴言、人格否定、精神的攻撃などが原因となるケースが多く見られます。

厚生労働省の公表でも、精神障害の労災認定原因として、上司からのパワハラ・精神的攻撃が最も多いとされています。

たとえば、次のような出来事です。

  • 人前で強く叱責された
  • 人格を否定するような発言をされた
  • 長期間にわたり威圧的な対応を受けた
  • 相談しても会社が適切に対応しなかった
  • 孤立させられた、無視された

こうした出来事は、単独で評価される場合もありますが、複数重なっている場合には、全体の流れとして整理することが大切です。

「一つひとつは弱い」と思っても、あきらめなくて大丈夫です

精神障害の労災認定では、心理的負荷は「弱」「中」「強」の3段階で評価されます。

たとえば、人前での繰り返しの叱責、人格を否定するような発言、継続的な精神的攻撃などは、状況によって「中」や「強」と判断されることがあります。

そして、複数の出来事がある場合には、それぞれの出来事を確認したうえで、総合的に判断されます。

どれか一つの出来事が「強」と評価される場合には、業務による心理的負荷は「強」と評価される可能性があります。

また、一つひとつが「中」と評価される出来事であっても、それが複数重なることで、全体として「強」と評価されることもあります。

そのため、 「この出来事だけでは弱いかもしれない」 「証拠が少ないから無理かもしれない」 と思っていても、すぐにあきらめる必要はありません。

たとえば、このようなケースです

たとえば、次のような流れがあったとします。

  • 上司から継続的に強い叱責を受けていた
  • 相談しても会社が十分に対応しなかった
  • 配置転換や業務量の増加が重なった
  • その後、不眠・食欲低下・抑うつ状態が出て受診した

この場合、一つひとつの出来事をバラバラに見るのではなく、 発症までの流れとして整理することが重要です。

特に、発症前おおむね6か月間にどのような出来事があったのか、その出来事がどの程度の心理的負荷だったのかを、基準に沿って整理していく必要があります。

よくあるNGパターン

労災申請では、次のような状態のまま進めてしまうと、本来伝わるはずの内容が十分に伝わらないことがあります。

  • つらかった気持ちだけを長文で書いてしまう
  • 出来事と証拠がうまく結びついていない
  • 時系列が整理されていない
  • 発症とのつながりが曖昧なままになっている

これらはよくあるケースですが、 少し整理するだけで、評価のされ方が変わることもあります。
「書き方が悪いからダメだった」と一人で抱え込む必要はありません。

整理前と整理後の違い

整理前

「上司にひどいことを言われてつらかったです。ずっと我慢していました。」

整理後(基準に沿った形)

「〇月〇日ごろから、上司から人前で叱責されることが増え、
『役に立たない』『向いていない』といった発言が繰り返されました。
その状況が継続し、不眠や食欲低下が生じ、〇月に受診に至りました。
この頃からのLINEや診断書があります。」

このように、 出来事・時期・発症とのつながり・証拠を整理することが重要になります。

大切なのは「感情」ではなく「基準に沿った整理」です

労災申請では、「つらかったです」と伝えるだけでは足りません。

もちろん、つらかった事実はとても大切です。

ただ、労基署に伝えるためには、そのつらさを 心理的負荷評価表に沿って、出来事・時期・証拠に分けて整理すること が重要になります。

具体的には、次のような整理です。

  • いつ、どのような出来事があったのか
  • 誰から、どのような発言・対応を受けたのか
  • その出来事を裏付けるLINE・メール・録音・診断書などがあるか
  • その後、どのように体調が悪化したのか
  • 発症や休業とのつながりをどう説明するか

「自分でこの整理をするのは難しい」と感じた場合は、専門家に一度、出来事と証拠の整理を相談してみることも大切です。

関連記事

実際にどのような流れで整理するのかを知りたい方は、こちらもご覧ください。
▶ 労災申請は何から始める?|1ヶ月で労基署の聴取まで進んだケース

評価基準について詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。
▶ 心理的負荷評価表の見方と「強・中・弱」セルフチェック

「これくらいでは無理」と思う前に、一度整理してみてください

精神障害の労災は、簡単な申請ではありません。

しかし、 一つの出来事だけで判断されるわけではなく、複数の出来事を総合的に見てもらえる可能性があります。

そのため、 「自分のケースは弱い」 「証拠が足りない」 「会社に言えない」 と思っている場合でも、まずは状況を整理してみることが大切です。

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こもれび社労士事務所では、精神障害の労災申請について、初回相談を無料でお受けしています。

長文でなくても大丈夫です。短文・箇条書き・スクショだけでも構いません。

  • 上司から言われたこと
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まずは、今わかる範囲で送っていただければ大丈夫です。

会社や労基署に、こちらから無断で連絡することはありません。

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まとめ

  • 精神障害の労災認定率は全体で3割前後です
  • 認定事案では、上司からのパワハラ・精神的攻撃が多く見られます
  • 複数の出来事がある場合は、総合的に評価されます
  • 一つひとつが弱く見えても、全体として労災になる可能性があります
  • 大切なのは、心理的負荷評価表に沿って出来事と証拠を整理することです

「一つひとつは弱いかも」と思っても、複数の出来事を総合すると、労災として検討できる可能性があります。

今の時点で整理しきれていなくても大丈夫です。
いつ、どんな出来事があり、どんな証拠があるかを、一度書き出してみてください。

今ある情報だけでも大丈夫です。
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