心理的負荷評価表の見方と「強・中・弱」セルフチェック

心理的負荷評価表の見方と「強・中・弱」セルフチェック
厚生労働省の認定基準シリーズ
心理的負荷評価表の強・中・弱のセルフチェックをイメージした、木目のデスク上に無地の書類とノート、3色の丸い付箋、ペンが置かれた落ち着いた写真風アイキャッチ画像

心理的負荷評価表の見方と「強・中・弱」セルフチェック

精神障害の労災認定では、「つらかったかどうか」だけではなく、厚生労働省の心理的負荷評価表に沿って、出来事の内容や強さが「強・中・弱」で評価されます。この記事では、評価表の見方を、パワハラや長時間労働の例を交えながら本人申請向けにわかりやすく整理します。

評価表をそのまま見ても分かりにくい方に向けて、「どこを見るか」「何が“強”に近づくのか」をかみ砕いてまとめています。

最初に結論

心理的負荷評価表は、発病前おおむね6か月の間に起きた出来事を、厚生労働省の定める「具体的出来事」に当てはめて、「弱」「中」「強」で評価するための表です。

  1. 「強・中・弱」は感情の強さではなく、出来事の内容・程度・継続性で見られます。
  2. 労災認定で重要なのは、最終的に心理的負荷が「強」と評価されるかどうかです。
  3. 同じ“叱責”でも、頻度、場所、人前かどうか、会社の対応の有無で評価は変わります。

ポイント1 評価表は「何が起きたか」を整理する表

厚生労働省の心理的負荷評価表では、まず実際に起きた業務上の出来事を、表の中の「具体的出来事」に当てはめます。たとえば、パワハラ、ひどい嫌がらせ、長時間労働、仕事の失敗への責任追及、配置転換などです。

そのうえで、同じ出来事でも軽いのか、反復しているのか、長期間か、改善措置があったかなどを見ながら、「弱・中・強」に振り分けていきます。

ここが大事:評価表は「出来事の名前」を見るだけの表ではありません。出来事の中身、回数、期間、態様、周囲との関係まで含めて総合的に見るための表です。

  • まず、何があったかを具体的出来事に当てはめる。
  • 次に、その出来事の強さを「弱・中・強」で検討する。
  • 必要に応じて、複数の出来事をまとめて総合評価する。

ポイント2 「強・中・弱」はこう違う

ざっくり言えば、「弱」は日常的な範囲にとどまるもの、「中」は一般の人でも相当きついと感じるレベル、「強」は精神障害の労災認定上、業務による強い心理的負荷と評価されうるレベルです。

ただし、これは単純な気分の強さではなく、客観的な事情を積み上げた結果として決まります。

日常の範囲に近い

一時的な注意や軽い叱責、短期の負担増など、中や強にまでは至らないレベルです。

かなりきつい

人前での叱責、継続的な圧迫、相応の長時間労働など、客観的に見ても負荷が重いレベルです。

労災認定の中心

重大なハラスメント、極端な長時間労働、改善されない反復的攻撃など、「業務による強い心理的負荷」となりうるレベルです。

2023年改正のポイント:厚生労働省は、心理的負荷評価表の具体例を拡充し、パワーハラスメント6類型すべての具体例も明記しました。そのため、以前よりも「どんなパワハラがどの強度か」を読み取りやすくなっています。

ポイント3 パワハラは何で“強”に近づくのか

パワハラの評価では、暴言があったかどうかだけでなく、誰の前で、どのくらい続き、どの程度威圧的で、会社に相談しても改善されなかったかなどが重要です。

同じ「叱責」でも、1回だけなのか、長時間なのか、皆の前で大声で行われたのか、人格否定が含まれるのかで、評価はかなり変わります。

態様

大声、威圧、人格否定、見せしめ、身体的攻撃など、方法がきついほど重くなります。

反復・継続

1回限りより、毎週・毎日のように続くほうが重く評価されやすくなります。

会社の対応

相談しても放置された、改善されなかったという事情は、負荷を重く見せる要素になります。

長時間労働も見落としやすいポイント

パワハラだけでなく、時間外労働時間数、休日の少なさ、業務密度の高さも評価表では重要です。対人関係の問題と長時間労働が重なると、全体としての負荷はさらに重く見られやすくなります。

「強・中・弱」セルフチェック

もちろん最終判断は労基署の調査と全資料を踏まえた総合判断ですが、最初の目安としては、次のように整理してみると現在地が見えやすくなります。

弱寄り
  • 単発の注意・叱責が中心だった
  • 短期間で終わった
  • 人格否定や見せしめ要素は薄い
  • 会社の対応で比較的早く収まった
中寄り
  • 人前での叱責や継続的圧迫があった
  • 数週間〜数か月単位で続いた
  • 仕事や睡眠に影響が出始めていた
  • 相談しても十分な改善がなかった
強寄り
  • 威圧的叱責や人格否定が反復していた
  • パワハラと長時間労働が重なっていた
  • 不眠、欠勤、受診、休職に至っている
  • 会社が把握後も改善せず継続した

セルフチェックの使い方:ここで「弱っぽい」と感じても、資料を並べ直すと中や強に近づくことはあります。逆に、本人は強い苦痛を感じていても、客観資料が乏しいと伝わりにくいこともあります。

本人申請でそろえたいもの

心理的負荷評価表を味方につけるには、「つらかった」よりも、「何が、いつ、どのくらい、どう続いたか」を示す資料が重要です。

  1. 出来事の時系列表。
  2. メール、チャット、録音、業務指示書などの客観資料。
  3. 診断書、受診歴、休職資料。
  4. 同僚や家族が知る経過の補足情報。
  5. 複数出来事をどう評価表に当てはめるかの整理メモ。

実務上のコツ:評価表を最初から全部読むより、自分の事案で関係がありそうな「具体的出来事」を先に仮置きしてから、強・中・弱の差を見たほうが理解しやすいです。

「自分のケースは表のどこに入るか」整理したい方へ

心理的負荷評価表は、知識がないまま読むと難しく感じますが、実際には「出来事をどこに置くか」「強く見える事情をどう拾うか」を整理できれば、かなり読みやすくなります。

もし今、パワハラのメモやメールはあるけれど、強・中・弱のどこに近いのか分からないという状態でしたら、時系列と出来事を送っていただければ、評価表のどのあたりを見ればよいかのラフ整理をお手伝いできます。

※ 「強いのか中なのか全然わからない」という段階でも大丈夫です。箇条書きのメモから整理できます。

参考:厚生労働省「業務による心理的負荷評価表」「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」等を踏まえて構成しています。制度運用は個別事情によって異なるため、最新の通達・公表資料での確認をおすすめします。

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