公務災害が認定されたら使った年休は戻る?|地方公務員の年休・病気休暇・休職・休業補償

公務災害が認定されたら使った年休は戻るのかを解説する地方公務員向け記事のイメージ

「公務災害と認定されたら、すでに使った年休は戻るのでしょうか」
「公務災害を申請している間は、病気休暇や休職の期間は止まるのでしょうか」

地方公務員の公務災害についてご相談を受けていると、 公務災害の認定と、年休・病気休暇・休職・給与の扱いが混同されやすい と感じることがあります。

結論からいうと、 公務災害と認定されたからといって、すでに使った年次有給休暇が全国一律に自動で戻るとは限りません。

また、公務災害の認定請求をしているというだけで、 病気休暇や休職期間の進行・通算などが全国一律に自動で止まる、とも言い切れません。

なぜなら、地方公務員災害補償基金による 「公務災害の認定・補償」と、 各自治体が定める 「年休・病気休暇・休職・給与などの勤務条件」は、 関係はしていても同じ制度ではないからです。

この記事のポイント
  • 公務災害認定=使用済み年休が自動的に戻る、とは限らない
  • 認定後に休暇区分を変更できる場合もあるが、自治体ごとの確認が必要
  • 公務災害の「申請中」だけで休職期間等が全国一律に止まるとは限らない
  • 休業補償は、年休や病気休暇とは別の制度
  • 最終的には勤務先の条例・規則・運用を確認することが重要

公務災害の認定と「年休・病気休暇・休職」は別に考える

まず整理しておきたいのが、 公務災害の認定と、勤務先での休暇・休職の処理は別の問題 だということです。

地方公務員災害補償基金の制度では、 公務上の負傷・疾病などが公務災害に該当するかについて認定手続が行われ、 認定された傷病について、療養補償や休業補償などの制度が設けられています。

一方、次のような勤務条件は、勤務先自治体の条例・規則などが関係します。

  • 年次有給休暇
  • 病気休暇
  • 公務上の傷病に関する休暇
  • 休職
  • 休職期間の上限や通算
  • 休職中の給与

そのため、 「基金から公務災害と認定された」ことだけで、すべての休暇・休職処理が自動的に変更されるとは限りません。

注意
公務災害として認定された後に、年休・病気休暇・欠勤・休職などの取扱いを遡って見直すことがあるかどうかは、 地方公務員災害補償基金の補償制度だけでは決まりません。 勤務先自治体の勤務時間・休暇条例、分限条例、給与条例、運用通知などの確認が必要です。

公務災害が認定されたら、使った年休は戻る?

答え: 全国共通の制度として、認定後に使用済み年休が自動的に復元されるルールは確認できません。 ただし、自治体の条例・規則・運用によっては、認定後に休暇区分を見直せる場合があります。

特に気になる方が多いのが、 「療養のために使った年休が、公務災害認定後に戻るのか」 という点です。

2026年9月時点で確認した法令・地方公務員災害補償基金の資料では、 公務災害と認定された場合に、すでに使用した年休を全国一律に当然に取り消し・復元する制度は確認できません。

ただし、これだけで 「一度使った年休は絶対に戻らない」 という意味でもありません。

自治体によっては、公務災害の認定前には別の休暇として処理し、 認定後に公務上の傷病に対応する休暇へ切り替える運用が設けられている場合があります。

したがって、実際には勤務先の人事・公務災害担当に、次の点を確認することが大切です。

年休について確認したいこと
  • 公務災害認定後に、すでに使用した年休の区分を変更できるか
  • 変更できる場合、年休残日数も復元されるのか
  • 前年度から繰り越した年休も対象になるのか
  • 認定前の期間をどの休暇区分で処理するのか
  • 年休の変更に伴い、給与・手当・勤勉手当などの取扱いに影響があるのか

つまり、 「認定されたら必ず戻る」「一度使ったら絶対に戻らない」のどちらも、全国一律の答えにはできません。

病気休暇も「公務上」と「私傷病」で扱いが違うことがある

病気休暇についても同様です。

自治体によっては、公務上の負傷・疾病と、私生活上の病気やけがとで、 病気休暇として認められる期間などを分けている場合があります。

たとえば、公務上の傷病については「療養に必要と認められる期間」とし、 私傷病については90日などの上限を定めている自治体があります。 一方で、公務災害による病気休暇の期間を私傷病と同様に扱う自治体例もあります。

そのため、公務災害認定前には私傷病として扱われていても、 認定後の取扱いについて改めて確認が必要になる場合があります。

ここでも重要なのは、 他の自治体の取扱いを、そのまま自分の勤務先にも当てはめないこと です。

公務災害を申請中なら、休職期間は止まる?

答え: 公務災害の認定請求中であることだけを理由に、休職期間の進行・通算・満了が全国一律に自動停止する規定は確認できません。 勤務先自治体の分限条例・規則を確認する必要があります。

もう一つ注意したいのが、 「公務災害を申請している間は、休職期間のカウントが止まるのではないか」 という点です。

2026年9月時点で確認した全国共通の法令では、 公務災害の認定請求中であるという理由だけで、休職期間の進行・通算・満了などが自動的に停止する全国共通の規定は確認できません。

休職期間やその通算方法については、自治体の分限条例・規則などを確認する必要があります。

特に、復職後に再び同じ傷病や関連する傷病で休職する場合、 過去の休職期間を通算する規定を設けている自治体もあります。

精神疾患についても、診断名が変われば必ず別の傷病として扱われるとは限りません。 同一・関連する傷病の判断方法も含め、勤務先の規定を確認することが重要です。

特に確認したい方
過去にも同じような症状で病気休暇・休職をしたことがある方や、 復職後に再び体調を崩している方は、 「以前の休職期間が通算されるのか」も確認しておくとよいでしょう。

「公務災害の申請中」と「認定済み」は同じではありません

公務災害について考えるときは、 「認定請求中」と「公務災害として認定された後」も分けて考える必要があります。

認定請求中の段階では、基金による公務上の認定はまだ確定していません。

一方、認定後は、公務上の傷病であることを前提として、 療養補償や休業補償などの要件を確認していくことになります。

ただし、認定後であっても、年休・病気休暇・休職・給与などの人事上の処理が、 全国一律に同じ方法で変更されるわけではありません。

休業補償は「年休が戻るか」とは別の制度

答え: 休業補償は、年休を復元する制度ではありません。 公務上または通勤による傷病の療養のため勤務できず、給与を受けない場合の所得喪失を補う制度です。

年休の問題と混同されやすいのが、地方公務員災害補償基金の休業補償です。

地方公務員災害補償法第28条では、公務上または通勤による負傷・疾病について、 次の要件を満たす場合に休業補償が定められています。

  • 療養のため勤務することができないこと
  • その期間について給与を受けないこと

要件を満たす場合には、原則として平均給与額の60%に相当する休業補償が支給されます。

そのため、年休を取得して通常どおり給与が全額支給されている日は、 一般には「給与を受けないとき」という要件を満たさず、休業補償の対象にはなりません。

同じように、公務上の傷病による病気休暇や休職中であっても、 その日に給与が全額支給されている場合には、 通常は「給与を受けないとき」という要件を満たさず、休業補償は支給されません。

もっとも、給与が一部だけ支給される場合や、 勤務時間の一部について療養のため勤務できない場合には、 実際に支払われた給与額を踏まえた調整計算が問題になります。

休業補償の「様式第7号」では給与額も確認する

在職中の地方公務員が休業補償を請求する際には、地方公務員災害補償基金の 「休業補償請求書・休業援護金申請書(様式第7号)」 が関係します。

この様式では、次のような事項を確認する構造になっています。

  • 全部休業した日数
  • 一部休業した日数
  • 全部休業した日に支払われた給与額
  • 一部休業した日に支払われた給与額
  • 療養のため勤務できなかった期間
  • 平均給与額

つまり、休業補償は単純に 「休んだ日数×一定額」 で決まる制度ではありません。

実際にどの程度勤務できなかったのか、その日に給与がどの程度支払われたのかを確認して計算します。

※実際に使用する様式や提出方法については、勤務先の公務災害担当や地方公務員災害補償基金の各支部に確認してください。

休職期間の上限や分限の扱いは自治体の規定確認が重要

長期間の療養になっている場合には、病気休暇だけでなく休職期間や分限制度との関係も問題になることがあります。

ここでも、 「公務災害を申請しているから大丈夫」 「公務災害と認定されたら休職期間は無期限になる」 と全国一律に考えることはできません。

公務上の傷病について私傷病より長い休職期間や、療養に必要な期間を定める自治体はあります。 しかし、その内容は自治体ごとに異なり、 公務災害と認定されれば全国一律に無期限で休職できる制度があるわけではありません。

自治体によって、次のような点が異なります。

  • 公務上の傷病と私傷病で休職期間が異なるか
  • 過去の休職期間をどのように通算するか
  • 休職中の給与をどの程度支給するか
  • 休職期間満了時にどのような手続きを行うか

なお、公務上の傷病による療養のための休業については、 労働基準法第19条の免職制限との関係も検討が必要になります。

ただし、実際に分限免職などが問題となる場面では、 公務上の傷病に当たるか、療養のための休業に当たるか、 地方公務員法・勤務先の分限条例や規則の内容、職員の職種などを踏まえた個別の確認が必要です。

人事・公務災害担当に確認しておきたいこと

公務災害の申請と休暇・休職が重なっている場合には、 次のような点を確認しておくと整理しやすくなります。

  • 認定前は、年休・病気休暇・休職などのどの区分で処理されるのか
  • 認定後に休暇区分を遡って変更できるのか
  • 使用済みの年休を変更した場合、残日数も復元されるのか
  • 公務上の傷病と私傷病で、病気休暇・休職期間に違いがあるのか
  • 過去の病気休暇・休職期間が通算されるのか
  • 認定請求中に休職期間の上限が来る場合、どのように扱われるのか
  • 休職中の給与はどの程度支給されるのか
  • 無給・減額となった期間について休業補償の対象となる可能性があるか
  • 公務上の傷病による療養休業中の分限免職について、どの規定を適用するのか

「公務災害になるか」だけではなく、 現在どの休暇区分になっているのか、給与がどう処理されているのか も一緒に確認することが大切です。

精神疾患の公務災害では、休職歴も含めて時系列を整理する

うつ病・適応障害などの精神疾患では、公務上の出来事だけでなく、 受診・休暇・休職・復職などの経過が長期間にわたることがあります。

そのため、次のような事項を時系列で整理しておくと役立ちます。

  • 症状が強くなった時期
  • 初診・通院の時期
  • 年休や病気休暇を取得した時期
  • 休職した時期
  • 復職した時期
  • 復職後に再び症状が悪化した時期
  • 人事・上司へ相談した時期
  • 公務災害認定請求を行った時期

こうした時系列は、公務災害の申請だけでなく、休暇・休職制度を確認する際にも状況を把握しやすくします。

まとめ|「公務災害」と「休暇・休職・休業補償」を分けて確認する

地方公務員の公務災害では、 公務災害として認定されるかどうかと、年休・病気休暇・休職がどう扱われるかは、分けて整理する必要があります。

公務災害と認定されたとしても、使用済みの年休が全国一律に自動で戻るとは限りません。

また、認定請求中というだけで、休職期間の進行や通算などが全国一律に停止するとも限りません。

一方で、公務上の傷病について、私傷病とは異なる病気休暇・休職の取扱いを定めている自治体もあります。

そして、地方公務員災害補償基金の休業補償は、年休を戻す制度ではなく、 療養のため勤務できず、給与を受けない期間の所得喪失を補う制度 として整理する必要があります。

自分の場合にどう扱われるのか分からないときは、公務災害の認定だけで結論を出さず、 勤務先の条例・規則、現在の休暇・休職区分、給与の支給状況を一つずつ確認していきましょう。

精神疾患の公務災害について、LINEでご相談いただけます

こもれび社労士事務所では、地方公務員の精神疾患による公務災害について、 出来事・時系列・受診経過・休職歴・現在お持ちの資料などを確認しながら整理しています。

最初から資料がすべて揃っている必要はありません。 「公務災害を申請した方がよいのか分からない」 「何から整理すればよいか分からない」 という段階からでも大丈夫です。

まずはLINEで現在の状況を少し教えてください。 必要な確認事項を一緒に整理します。

LINEで相談する

全国対応/LINE・PDF中心で進められます

参考資料

ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です

「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。

※ 個人のご相談(労災・後遺障害・障害年金)/全国対応(LINE・オンライン)
※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です