復職したのに仕事がないのはパワハラ?病気休職・育休明けに仕事を与えられないときに考えたいこと

「復職したのに、仕事を与えてもらえない」
「育休明けに戻ったら、自分だけ仕事がない」
「病気休職から復職したら、雑務だけになってしまった」
このようなご相談をいただくことがあります。
休職前は担当していた業務があったのに、復職後は席だけ用意され、実質的な仕事がない。 周囲は忙しそうにしているのに、自分だけ一日中やることがない。
その状態が続くと、 「自分はもう必要とされていないのではないか」、 「退職を促されているのではないか」 と感じ、強い不安や孤立感につながることがあります。
この記事では、育児休業や病気休職から復職した後に仕事を与えられない場合について、 パワハラにあたる可能性、メンタル労災を検討できるケース、記録しておきたいポイントを解説します。
※この記事は一般的な情報提供です。個別の労災認定や法的判断を保証するものではありません。 実際には、復職前後の経緯、会社の説明、業務内容、体調悪化との関係などを総合的に確認する必要があります。
復職後に仕事を与えられない相談は少なくありません
復職後に仕事を与えられないケースには、いくつかのパターンがあります。
- 病気休職から復職したが、以前の担当業務に戻してもらえない
- 育児休業から復帰したら、主要な仕事を別の人に渡されていた
- 復職後、簡単な雑務や単純作業だけを命じられるようになった
- 席はあるが、具体的な業務指示がほとんどない
- 会議や情報共有から外されるようになった
- 「無理しなくていい」と言われるだけで、実質的に放置されている
- 復職したものの、周囲から距離を置かれ孤立している
もちろん、復職直後に体調を見ながら業務量を調整すること自体が、直ちに問題になるわけではありません。 むしろ、段階的な復職や業務軽減が必要な場合もあります。
ただし、本人への説明がないまま長期間仕事を外されたり、 能力や体調に関係なく明らかに不自然な扱いを受けたりする場合には、 パワハラや不利益取扱い、メンタル不調の悪化との関係を検討する余地があります。
仕事を与えないことがパワハラになる場合
パワハラというと、怒鳴る、叱責する、人格を否定するといった行為をイメージしがちです。
しかし、実際には「仕事を与えない」「必要な情報を共有しない」「一人だけ業務から外す」といった形で、 精神的に追い詰められるケースもあります。
特に問題になりやすいのは、次のような場合です。
- 合理的な理由なく、以前の業務から外された
- 本人だけ会議・連絡・共有から外されている
- 復職後の業務内容について説明や面談がない
- 「いてもいなくても同じ」と感じさせる扱いを受けている
- 退職を促す目的で仕事を与えていないように見える
- 周囲の前で能力不足や病気を理由にした発言をされた
- 仕事を求めても「今はない」「そのうち」と言われ続けている
このような状態が続くと、単なる業務調整ではなく、 職場内での孤立や排除として評価される可能性があります。
一方で、すべてがパワハラになるわけではありません
復職後に仕事が少ないからといって、すべてがパワハラや労災になるわけではありません。
たとえば、次のような事情がある場合には、会社側の配慮や業務上の必要性として説明されることもあります。
- 主治医の意見を踏まえて、短時間勤務や軽作業から始めている
- 復職直後の体調確認期間として、業務量を一時的に減らしている
- 休職中に組織変更や担当変更があり、元の業務がなくなっている
- 安全配慮の観点から、負荷の高い業務を一時的に避けている
- 本人と相談しながら、段階的に業務を戻す予定がある
大切なのは、 「なぜその業務内容なのか」、 「いつまでその状態が続くのか」、 「今後どのように業務を戻していくのか」 が説明されているかどうかです。
説明も見通しもないまま、長期間放置されている場合には、 本人の精神的負担は非常に大きくなります。
病気休職から復職した場合に注意したいこと
うつ病、適応障害、不安障害などで休職した後に復職する場合、 会社は本人の体調に配慮しながら業務を調整する必要があります。
そのため、復職直後に業務量が少ないこと自体は、必ずしも悪いことではありません。
しかし、次のような場合には注意が必要です。
- 復職前の面談で説明された業務内容と実際が大きく違う
- 「復職しても仕事はない」といった発言がある
- 病気を理由に、本人の希望や能力と関係なく仕事を外されている
- 復職後の不安や不調を相談しても対応されない
- 再び体調が悪化し、通院や休職が必要になった
病気休職からの復職後に、仕事を与えられない状態が続き、 それによってメンタル不調が悪化した場合には、 労災申請を検討できることがあります。
育児休業から復職した場合に注意したいこと
育児休業から復職した後に、 「前の仕事に戻れない」、 「責任ある仕事を外された」、 「時短勤務だから重要な仕事は任せられないと言われた」 という相談もあります。
育児休業や時短勤務を理由に、不利益な取扱いをすることは問題になり得ます。
特に、次のような場合には記録を残しておくことが大切です。
- 育休前の担当業務に戻してもらえない理由を説明されていない
- 「子どもがいるから無理でしょう」と一方的に判断された
- 時短勤務を理由に、明らかに不自然な雑務だけになった
- 昇進・評価・担当業務で不利益を受けている
- 育休取得後から上司や同僚の態度が変わった
育児休業からの復職後に、育休や時短勤務を理由として不利益な扱いを受ける場合には、 マタニティハラスメント(マタハラ)やパタニティハラスメント(パタハラ)として 問題になることがあります。
育児休業からの復職後に仕事を与えられないケースでは、 労働条件の不利益取扱い、マタハラ・パタハラ、職場での孤立、 そしてメンタル不調との関係を整理して考える必要があります。
メンタル労災を検討できるケース
復職後に仕事を与えられないことが原因でメンタル不調になった場合、 すぐに労災が認められるわけではありません。
ただし、次のような事情がある場合には、労災申請を検討する余地があります。
- 復職後、合理的な理由なく業務から外された
- 上司から退職を示唆するような発言があった
- 仕事を求めても与えられず、長期間放置された
- 一人だけ会議や情報共有から外された
- 病気や育児を理由に、能力と関係なく扱いを下げられた
- 復職後の扱いにより、うつ病・適応障害などを発症または悪化した
- 通院記録や診断書上も、職場の出来事との関係がうかがえる
労災では、単に「つらかった」というだけでなく、 どのような出来事があり、それがどの程度の心理的負荷だったのかを整理することが重要です。
そのため、復職後の扱いについては、 日付、発言、業務内容、周囲との違い、体調悪化の経過をできるだけ具体的に残しておくことが大切です。
復職後の扱いは、精神障害の労災認定で用いられる 「業務による心理的負荷評価表 心理的負荷評価表の見方 」の中でも、 退職を強要された、仕事の支援が行われなかった、 一人だけ業務から外された、といった出来事に関係することがあります。
こうした出来事が「弱・中・強」のどの程度に評価されるかを整理しておくことも、 労災申請を考える際には重要です。
記録しておきたいポイント
復職後に仕事を与えられない状態が続いている場合、 まずは記録を残しておきましょう。
- 復職日
- 復職前の面談内容
- 会社から説明された業務内容
- 実際に与えられた業務
- 仕事を求めた日時と相手の反応
- 会議や情報共有から外された事実
- 上司や同僚から言われた言葉
- 休職前の業務との違い
- 体調が悪化した時期
- 通院日、診断名、医師に伝えた内容
記録は、きれいな文章でなくても大丈夫です。 メモ、LINE、メール、カレンダー、日記、スクリーンショットなど、 後から時系列を確認できる形で残しておくことが大切です。
会社に確認するときの伝え方
すぐに強い言い方で会社に抗議する前に、 まずは業務内容や今後の見通しを確認する方法もあります。
たとえば、次のように伝えることが考えられます。
復職後の業務について確認させてください。
現在、具体的な担当業務が少ない状態が続いており、
今後どのように業務を担当していく予定か不安があります。
体調に配慮いただいている面もあるかと思いますが、
今後の業務内容や段階的な復帰の見通しについて、
一度ご相談させていただけますでしょうか。
このように、まずは確認の形でやり取りを残すことで、 会社がどのような理由で仕事を与えていないのかが見えやすくなります。
ただし、すでに強いハラスメントがある場合や、会社とのやり取り自体が大きな負担になる場合には、 無理に一人で対応しないことも大切です。
傷病手当金や再休職との関係
復職後に仕事を与えられない状態が続き、再び体調が悪化した場合、 傷病手当金や再休職の問題も出てきます。
特に、病気休職から復職した方の場合、 次の点を確認しておく必要があります。
- 再休職が可能か
- 傷病手当金の支給期間が残っているか
- 同一傷病として扱われるか
- 労災申請を検討する場合、傷病手当金との調整が必要になるか
- 退職を検討する場合、退職後も傷病手当金を受けられる条件を満たしているか
病気休職と労災申請をあわせて検討する場合、 傷病手当金と労災保険給付の調整、 つまり支給の重複や返還の可能性についても、 あらかじめ確認しておく必要があります。
生活費の不安が強いと、労災申請や会社対応を冷静に考えることが難しくなります。 そのため、労災だけでなく、傷病手当金や休職制度も含めて整理することが大切です。
一人で「自分が悪い」と抱え込まないでください
復職後に仕事を与えられない状態が続くと、 「自分が休職したから悪い」、 「育休を取ったから迷惑をかけた」、 「能力がないと思われているのではないか」 と感じてしまうことがあります。
しかし、復職後の業務調整には、会社側にも説明や配慮が求められます。
仕事を与えられないことによって心身の不調が悪化している場合には、 それは単なる気のせいではなく、整理して考えるべき職場の問題かもしれません。
まずは、何が起きているのかを時系列で整理するところから始めてみてください。
まとめ
復職後に仕事を与えられない場合でも、 すべてが直ちにパワハラや労災になるわけではありません。
しかし、合理的な説明がないまま業務から外されたり、 育児休業や病気休職を理由に不自然な扱いを受けたり、 その結果としてメンタル不調が悪化している場合には、 労災申請や職場対応を検討する余地があります。
大切なのは、 「復職後に何が変わったのか」、 「会社からどのような説明があったのか」、 「体調がいつから悪化したのか」 を整理することです。
一人で判断するのが難しい場合には、早めに相談してみてください。
復職後の扱いで悩んでいる方へ
こもれび社労士事務所では、病気休職や育児休業から復職した後に、 仕事を与えられない、業務から外された、職場で孤立しているといったご相談をお受けしています。
「これはパワハラなのか」、 「メンタル労災を検討できるのか」、 「会社にどう伝えればよいのか」 という段階でも大丈夫です。
まずは、これまでの経緯を短文や箇条書きでお知らせください。 「いつから復職していて、どんな扱いが続いているのか」、 「通院や診断書の有無」など、分かる範囲で大丈夫です。
きれいに整理されていなくても問題ありません。 スクリーンショットやメモの状態でも、状況を確認しながら整理していければと思います。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
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※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です


