働いていると障害年金は不利?病歴・就労状況等申立書の「就労中」の書き方

働いていると障害年金は不利か悩む会社員と病歴・就労状況等申立書を描いた水彩イラスト

障害年金のご相談では、こうしたご質問をよくいただきます。

「病歴・就労状況等申立書に仕事のことを書くと、不利になりそうで不安です」

障害年金のご相談では、このようなご質問をいただくことがあります。

結論からいうと、働いているという事実だけで、直ちに障害年金を受けられないと決まるわけではありません。 大切なのは、勤務日数や収入だけでなく、どのような配慮や支援を受け、どのような困難を抱えながら働いているのかを具体的に整理することです。

この記事のポイント

  • 働いているだけで障害年金が不支給になるとは限らない
  • 勤務日数や収入だけでなく、就労の実態を具体的に書く
  • 職場の配慮、援助、欠勤、ミスなども重要な情報になる
  • 診断書と病歴・就労状況等申立書の整合性を確認する
  • 一般就労、障害者雇用、A型・B型では状況を分けて整理する

働いていると障害年金は不利になるのか

大切なのは、働いている事実そのものではなく、働き方の実態です。

障害年金は、単に「働いているか、働いていないか」だけで判断される制度ではありません。

精神の障害については、症状、治療の経過、具体的な日常生活状況、労働能力などを総合的に確認したうえで、障害の程度が判断されます。

そのため、働いている場合でも、

  • 短時間勤務に限定されている
  • 担当業務を大きく減らしてもらっている
  • 周囲から継続的な援助や指導を受けている
  • 欠勤、遅刻、早退が多い
  • 一般的な業務遂行が難しく、単純な作業に限定されている
  • 帰宅後や休日はほとんど寝込んでいる

といった事情がある場合には、その実態を丁寧に伝えることが大切です。

「勤務している」という結果だけでなく、どのような支援や配慮があって勤務を続けられているのかを整理しましょう。

病歴・就労状況等申立書で就労中に書く内容

病歴・就労状況等申立書では、障害の原因となった病気やけがについて、発病時から現在までの経過を、期間を空けずに時系列で記載します。

就労中の場合は、会社名や勤務期間だけではなく、次の内容も整理しておくと、実際の働き方が伝わりやすくなります。

  • 雇用形態
  • 週の勤務日数と1日の勤務時間
  • 担当している仕事の内容
  • 障害者雇用か一般雇用か
  • 職場から受けている配慮
  • 上司や同僚による援助・見守り
  • 遅刻、早退、欠勤の頻度
  • 仕事上のミスや判断の難しさ
  • 勤務後や休日の生活状況
  • 休職や復職を繰り返した経過

すべてを長く書く必要はありませんが、就労実態を判断するために必要な事情は、できるだけ具体的に書くことが大切です。

勤務日数や収入だけで判断しない

就労状況を説明するとき、「週5日働いています」「毎月給与を受け取っています」といった事実だけを書くと、安定して問題なく勤務できているように見えることがあります。

しかし、同じ週5日勤務でも、実態は人によって大きく異なります。

例えば、

  • 一人では判断できず、毎回上司から具体的な指示を受けている
  • 通常の業務量では続けられず、仕事を大幅に減らしてもらっている
  • 体調悪化による欠勤が毎月続いている
  • 勤務中は何とか持ちこたえているが、帰宅後は食事や入浴ができない

といった場合には、単に勤務しているという事実だけでなく、その背景にある支援や生活への影響も記載することが重要です。

職場の配慮や援助は具体的に書く

「職場から配慮を受けています」とだけ書いても、どの程度の配慮なのかは伝わりません。

できる範囲で、実際の内容を具体的に書きます。

配慮の具体例

  • 勤務時間を1日4時間に短縮している
  • 残業や出張を免除されている
  • 電話対応や接客を外してもらっている
  • 複数の指示を同時に受けないよう調整されている
  • 業務内容を単純な反復作業に限定されている
  • 上司が進捗を頻繁に確認している
  • 体調不良時に休憩室を使用できる
  • 通院日に合わせて勤務日を調整している

「通常であれば本人だけで対応する仕事を、誰が、どのように補っているのか」という視点で整理すると、援助の実態が伝わりやすくなります。

欠勤・遅刻・早退はどこまで書くべきか

症状による欠勤、遅刻、早退がある場合は、その頻度を分かる範囲で書きます。

例えば、

  • 月に2回から3回程度欠勤している
  • 週に1回程度、出勤時間に間に合わない
  • 午後になると症状が悪化し、早退することがある
  • 連続して勤務すると翌日は起き上がれない

といった形です。

正確な回数が分からない場合に、事実と異なる数字を書く必要はありません。給与明細、勤怠記録、会社とのメールなどで確認できる範囲を整理しましょう。

仕事上のミスや困難も具体的にする

「仕事が大変です」「集中できません」といった抽象的な表現だけでは、実際の困難さが伝わりにくいことがあります。

次のように、具体的な状況へ置き換えると分かりやすくなります。

抽象的な表現

集中力がなく、仕事でミスが多いです。

具体的な表現

書類の入力ミスや確認漏れが週に数回あり、上司が提出前にすべて確認しています。指示を一度で理解できず、手順を紙に書いてもらわなければ作業を進められないことがあります。

誇張する必要はありませんが、第三者が読んでも勤務中の困難をイメージできるように整理します。

勤務後や休日の生活状況も大切

就労中の方の場合、勤務中の状況だけでなく、仕事を続けることで日常生活にどのような影響が出ているかも重要です。

例えば、

  • 帰宅後は横になり、食事を用意できない
  • 入浴や着替えができないまま寝てしまう
  • 休日は疲労で一日中寝込んでいる
  • 家事、買物、金銭管理を家族に任せている
  • 勤務を優先するため、通院以外の外出がほとんどできない

といった事情です。

職場には通えていても、それ以外の生活を保てなくなっている場合には、その実態も記載しておく必要があります。

一般就労・障害者雇用・A型・B型は分けて整理する

就労中といっても、その働き方はさまざまです。

一般就労

一般就労の場合は、通常の業務をどの程度行えているか、どのような配慮を受けているか、安定して勤務できているかを整理します。

障害者雇用

障害者雇用の場合も、勤務しているという事実だけではなく、業務内容、勤務時間、指導や援助の状況、職場での意思疎通の難しさなどを確認します。

就労継続支援A型

A型事業所では雇用契約を結びますが、一般企業での勤務とは支援環境が異なります。勤務時間、作業内容、支援員による援助、欠勤状況などを具体的に整理します。

就労継続支援B型

B型事業所への通所についても、通所日数だけでなく、作業内容、支援の程度、休む頻度、一人で通所できるか、作業中の援助状況などを確認します。

同じ「週3日通所」であっても、一人で安定して作業できる場合と、常に声かけや見守りが必要な場合とでは、実態が異なります。

休職中・復職直後の場合の書き方

休職中の場合は、休職に至った経過、休職開始日、医師からの指示、現在の生活状況などを整理します。

復職直後の場合は、

  • 試し出勤やリハビリ勤務である
  • 勤務時間を段階的に増やしている
  • 以前の担当業務には戻れていない
  • 復職後も欠勤や早退が続いている

といった事情も書いておきます。

復職したという事実だけで「回復した」と見えることがないよう、実際の勤務条件や症状の経過を具体的に伝えることが大切です。

診断書と申立書の内容をそろえる

病歴・就労状況等申立書は、診断書とは別の書類ですが、内容が大きく食い違わないよう確認する必要があります。

特に確認したいのは、次の点です。

  • 勤務先と雇用形態
  • 勤務日数と勤務時間
  • 仕事の内容
  • 職場から受けている援助
  • 欠勤、遅刻、早退の状況
  • 仕事上の意思疎通や判断の難しさ
  • 日常生活に必要な家族の援助

診断書に「就労していない」と記載されているのに、実際には勤務しているなど、明らかな事実誤認がある場合には、提出前に主治医へ確認した方がよいこともあります。

診断書に合わせて事実を変えるのではなく、診断書と申立書の双方に、実際の就労状況が正しく反映されているかを確認することが大切です。

避けたい書き方と改善例

NG例1:働けていることだけを書く

NG例

現在は週5日、会社で働いています。

改善例

現在は週5日勤務していますが、1日4時間の短時間勤務で、電話対応と接客は免除されています。作業手順は上司から一つずつ指示を受け、完成後も確認してもらっています。月に2回程度、体調不良による欠勤があります。

NG例2:つらさだけを書く

NG例

仕事がとてもつらく、毎日大変です。

改善例

複数の指示を受けると混乱し、作業の優先順位を決められません。上司がその都度作業内容を一つに絞り、紙に書いて説明しています。帰宅後は強い疲労で横になり、食事や入浴は家族の声かけがなければできません。

就労中の申立書を書く前のチェックリスト

  • 雇用形態を正確に書いている
  • 勤務日数と勤務時間を書いている
  • 具体的な仕事内容を書いている
  • 職場の配慮や援助を書いている
  • 欠勤、遅刻、早退の頻度を書いている
  • 仕事上のミスや判断の難しさを書いている
  • 勤務後や休日の生活状況を書いている
  • 家族から受けている援助を書いている
  • 診断書の就労状況と大きく食い違っていない
  • 事実を誇張したり、反対に軽く書きすぎたりしていない

病歴・就労状況等申立書の基本的な書き方

病歴・就労状況等申立書全体の書き方、例文、NG例、提出前チェックについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

病歴・就労状況等申立書の書き方テンプレ【そのまま使える例文つき】

まとめ:就労している事実だけでなく、働き方の実態を伝える

働いているからといって、直ちに障害年金の対象にならないと決まるわけではありません。

就労中の病歴・就労状況等申立書では、

  • どのような仕事をしているか
  • どのような配慮や援助を受けているか
  • 安定して勤務できているか
  • 仕事が日常生活にどのような影響を与えているか

を具体的に整理することが大切です。

「勤務している」という結果だけでなく、勤務を続けるために必要な支援や、仕事以外の生活で生じている困難も含めて、実態に沿って記載しましょう。

就労中の申立書の書き方に迷っている方へ

「働いているため軽く見られないか不安」「職場の配慮をどこまで書けばよいか分からない」という段階でも、ご相談いただけます。

こもれび社労士事務所では、勤務状況、職場の配慮、欠勤状況、日常生活への影響などを確認しながら、診断書と大きく食い違わない形で申立書を整理しています。

よろしければ、
・現在の診断名
・勤務日数と勤務時間
・雇用形態
・職場で受けている配慮
・欠勤、遅刻、早退の状況
を、分かる範囲でLINEからお送りください。

内容を確認したうえで、次に整理したい点や、必要に応じたサポートをご案内いたします。

※医療機関や勤務先へ無断で連絡することはありません。
※ご相談内容を確認したうえで、料金やサポート内容は事前にご案内します。

日本年金機構の案内

日本年金機構では、病歴・就労状況等申立書の様式や続紙を公開しています。

日本年金機構「病歴・就労状況等申立書を提出するとき」

※この記事は一般的な情報をお伝えするものです。実際の認定は、診断書、申立書、治療経過、日常生活状況、就労状況などを踏まえて個別に判断されます。

ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です

「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。

※ 個人のご相談(労災・後遺障害・障害年金)/全国対応(LINE・オンライン)
※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です