会社に迷惑をかけたくない人ほど、壊れる。|休むことに罪悪感があるあなたへ

会社に迷惑をかけたくないと考え、仕事を抱え込む人を描いた水彩画
会社に迷惑をかけないために、あなたが壊れるまで頑張らなくていい。

「自分が休んだら、みんなに迷惑がかかる」

「今は忙しい時期だから、もう少しだけ頑張ろう」

「自分さえ我慢すればいい」

そうやって、つらくても仕事を続けている人がいます。

メンタル不調や職場のハラスメントについてご相談を受けていると、 自分のつらさより、会社や周囲への迷惑を先に考えている方に出会うことがあります。

真面目に仕事をしてきた人ほど、 「ここで休んだら無責任ではないか」 「同僚に仕事を押しつけることになるのではないか」 と考えてしまうこともあります。

でも、会社に迷惑をかけないために、 自分が限界になるまで働き続けなければならないわけではありません。

「まだ働けているから大丈夫」とは限らない

朝になると、会社へ行くのが怖い。

上司から連絡が来るだけで、動悸がする。

家に帰っても、仕事のことが頭から離れない。

夜眠れないのに、翌朝になると何とか会社へ行く。

こうした状態でも、出勤を続けている人はいます。

「会社に行けている」ことと、
「心身に問題がない」ことは、同じではありません。

周囲から見ると、いつもどおり仕事をしているように見えるかもしれません。

だからこそ、本人の苦しさが職場に伝わらないまま、 一人で抱え込んでしまうことがあります。

※こうした状態があるからといって、直ちに特定の病気だと判断できるわけではありません。 ただ、つらさが続いているときは、一人で抱えず、医療機関などに相談する方法があります。

苦しい人が、必ず「助けて」と言えるわけではありません

本当につらければ、上司や人事に相談するはず。

そう思われることがあります。

しかし、現実はそれほど単純ではありません。

厚生労働省の「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」では、 過去3年間にパワーハラスメントを経験した労働者のうち、 36.9%が、受けた後の行動として「何もしなかった」 と回答しています。

また、「何もしなかった」理由として、 65.6%が「何をしても解決にならないと思ったから」 と回答しています。

※2024年3月公表。全国の20~64歳の労働者8,000人を対象とした調査です。
※この調査は、「会社に迷惑をかけたくない人ほど重症化する」という因果関係を示したものではありません。
※また、「何もしなかった」理由が会社への配慮だったことを示す数字でもありません。

それでも、この数字から一つ分かることがあります。

苦しい状況に置かれた人が、必ずしもすぐ相談したり、行動したりできるわけではない ということです。

「相談しても何も変わらないかもしれない」

「自分が我慢した方が早い」

「大ごとにしたくない」

そう考えて、何も言えないまま働き続けることもあります。

休むことは、仕事を投げ出すことではありません

休むことに罪悪感を持つ方は少なくありません。

「同僚に申し訳ない」

「自分だけ休むなんてできない」

「復帰したとき、どう思われるだろう」

そう考える気持ちは、自然なことだと思います。

ただ、メンタルヘルス不調による休業は、 ごく特殊な人だけに起きている問題ではありません。

厚生労働省の「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」では、 過去1年間にメンタルヘルス不調によって連続1か月以上休業した労働者がいた事業所は10.2%でした。

※統計上の「休業」と、各会社の就業規則などに定められた「休職制度」は同じものではありません。

メンタルヘルスの問題は、 本人がもっと強くなれば解決する、という話でもありません。

厚生労働省の調査でも、職場のメンタルヘルス対策として、 相談体制や本人への配慮だけではなく、 業務配分、人員体制、残業、休暇、職場環境などの見直し が扱われています。

本人だけに「何とかしてください」と背負わせる問題ではないのです。

会社のことを考える前に、自分の状態を考えていい

あなたが休んだときの業務配分や人員体制は、 会社が組織として調整していくことです。

誰が仕事を引き継ぐのか。
業務量をどう調整するのか。
人員体制をどう整えるのか。

それらすべてを、体調を崩した一人の労働者が 背負わなければならないわけではありません。

あなたが休むことと、会社が仕事を回すことは、分けて考えていい。

体調が悪いときには、まず自分の状態について医療機関などに相談し、 休養が必要なのか、現在の働き方を続けてよいのかを、 専門家と一緒に考えることも大切です。

休むのか。
業務を軽くしてもらうのか。
配置について相談するのか。
医療機関を受診するのか。

選択肢は一つではありません。

「このまま働き続ける」か「会社を辞める」か。

苦しいときほど、その二択だけで考えなくていいのです。

もし、仕事が原因で心の調子を崩したのなら

そして、もう一つ知っておいてほしいことがあります。

心の調子を崩した原因に、

長時間労働、強い叱責、パワーハラスメント、 人間関係上の重大なトラブル、配置転換など、 仕事上の出来事が関係している場合があります。

その場合、単に 「自分が弱かったから」 「自分が耐えられなかったから」 という話だけで終わらないことがあります。

一定の要件を満たす場合には、精神障害について 労災として認定される可能性もあります。

もちろん、仕事でつらいことがあったからといって、 すべてのメンタル不調が労災になるわけではありません。

大切なのは、 「自分が弱かった」と最初から決めつけず、何が起きていたのかを整理すること です。

「迷惑をかけたくない」と思っているあなたへ

周りのことを考えられるのは、大切なことだと思います。

仕事を途中で投げ出したくない。
一緒に働いている人を困らせたくない。

その気持ちまで否定する必要はありません。

でも、

会社に迷惑をかけないために、
あなたが壊れるまで働く必要はありません。

今すぐ何かを決めなくても構いません。

まずは、 「自分は今、どのくらいつらいのだろう」 と、自分の状態を考えるところからでもいいと思います。

そして、一人で整理するのが難しいときには、 医療機関や公的な相談窓口、職場の相談窓口などを利用する方法もあります。

仕事が原因かもしれない、と感じている方へ

こもれび社労士事務所では、 パワハラ、長時間労働、強い叱責などをきっかけとした メンタル不調の労災申請についてご相談をお受けしています。

「労災になるか分からない」
「何から整理すればいいか分からない」
という段階でも、まず資料や経緯を確認しながら考えていきます。

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参考資料

厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書」
パワーハラスメント経験後の行動や心身への影響などを参照。

厚生労働省・調査報告書(PDF)

厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」
メンタルヘルス不調による休業・退職、職場のメンタルヘルス対策等を参照。

厚生労働省・令和6年 労働安全衛生調査

ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です

「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。

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