障害年金で通院していない期間はどう書く?病歴・就労状況等申立書の記載ポイント

障害年金で通院していない期間の申立書の書き方を水彩画風に描いたイラスト

障害年金の病歴・就労状況等申立書を作成していると、 「数年間、病院に通っていない期間がある」 「通院を中断していた期間は、どう書けばよいのか」 「受診していない間に状態が悪化していたが、それをどう説明すればよいのか」 と迷うことがあります。

特に精神障害では、症状が続いていても、 受診への抵抗感、体調の悪化、生活環境の変化などによって、 継続して医療機関を受診できないことがあります。

病歴・就労状況等申立書では、受診していなかった期間についても、 その理由や当時の状態が分かるように整理することが大切です。

日本年金機構の様式では、受診していなかった期間について、 その理由だけではなく、 自覚症状の程度、日常生活状況、就労状況などを具体的に記入するよう案内されています。

そのため、単に 「通院なし」 「受診していない」 とだけ書くのではなく、 なぜ受診していなかったのか、その間どのような症状や生活上の支障があったのか を時系列に沿って整理していきます。

なお、公開されている資料を確認する限り、 通院していない期間があることだけを理由とする一律の不支給基準は確認できません。

障害年金では、診断書に記載される障害の状態のほか、 病歴・就労状況等申立書などの提出資料を通じて、 傷病の経過や日常生活・就労状況を整理していくことになります。

障害年金で通院していない期間は申立書に何を書く?

病歴・就労状況等申立書では、 発病から現在までの病歴や就労状況等について、 期間を空けずに整理して記載します。

この途中に医療機関を受診していない期間がある場合でも、 その期間を何も書かずに空白にするのではなく、 受診していなかった期間として経過を整理します。

大切なのは、 「病院へ行っていなかった」という事実だけを書くことではありません。

受診していなかった期間に確認したいこと

  • なぜ医療機関を受診していなかったのか
  • 当時どのような症状があったのか
  • 日常生活にどの程度の支障があったのか
  • 学校生活や仕事はどうしていたのか
  • 家族などからどのような援助を受けていたのか
  • その期間中に救急受診や入院などがなかったか

こうした事情を確認すると、 定期的な通院がなかった期間についても、 その人の状態や経過を説明しやすくなります。

日本年金機構は「受診していなかった期間」をどう書くよう案内している?

日本年金機構の病歴・就労状況等申立書の様式では、 受診していなかった期間について、 その理由、自覚症状の程度、日常生活状況、就労状況などを具体的に記入する よう案内されています。

つまり、申立書では単に、

「平成○年から令和○年まで通院していなかった」

とだけ書くのではなく、その間の状態が分かるように整理することが重要です。

たとえば

「受診していなかった。自宅で生活していた」

だけでは、当時の状態は十分には分かりません。

一方で、 「外出が難しく自宅で過ごすことが多かった」 「食事や家事は家族の援助を受けていた」 「就労していなかった」 など、確認できる事実を整理すると、 その期間の生活状況が伝わりやすくなります。

もちろん、記憶にないことまで作る必要はありません。 確認できる事実を、必要な範囲で具体的に整理すること が基本です。

通院を中断した理由はどこまで書けばいい?

通院していなかった理由は、人によってさまざまです。

たとえば、

  • 症状のため外出や受診そのものが難しかった
  • 医療機関へ行くことに強い抵抗感があった
  • 本人が治療の必要性を十分に認識できていなかった
  • 転居や進学、就職などで生活環境が変わった
  • 仕事や学校を優先して受診しなくなった
  • 家族関係や経済的事情などから受診が続かなかった
  • 医療機関との関係や予約などの事情で通院が途切れた

などがあります。

ただし、こうした理由を一般論として当てはめるのではなく、 実際に本人に起きていた事情を書くこと が大切です。

「受診していなかった=症状がなかった」 と単純に整理できるとは限りません。

一方で、 実際に症状が軽くなって受診の必要性を感じなくなっていた期間であれば、 そのことも事実に沿って記載する必要があります。

通院していなかった理由を、申請に有利になるように作るのではなく、 当時の経過をそのまま整理することが基本です。

受診していない間の症状・日常生活・就労状況はどう整理する?

医療機関への受診記録がない期間では、 当時の生活状況を確認することが重要になります。

症状について

たとえば、

  • 気分の落ち込みや強い不安が続いていた
  • 睡眠の乱れがあった
  • 人との接触を避けていた
  • 外出が難しかった
  • 感情の波が大きかった
  • 学校や仕事へ行けなくなった

など、本人や家族が確認できる範囲で整理します。

日常生活について

精神障害の場合には、 「通院していなかったか」だけではなく、 実際の日常生活がどのような状態だったのかも確認します。

  • 食事を自分で準備できていたか
  • 入浴や着替えなどができていたか
  • 掃除や洗濯などの家事ができていたか
  • 買い物や金銭管理ができていたか
  • 一人で外出できていたか
  • 家族の声かけや付き添いが必要だったか
  • 対人関係をどの程度保てていたか

学校・仕事について

学校へ通っていた、あるいは働いていたという事実があっても、 それだけで当時の状態を判断することはできません。

たとえば、

  • 欠席や遅刻が増えていた
  • 休学・退学・転校があった
  • 勤務日数や勤務時間が減っていた
  • 休職していた
  • 周囲から業務上の配慮を受けていた
  • 家族の援助を受けながら仕事を続けていた
  • 就職と退職を繰り返していた

など、実際の就学・就労状況を具体的に整理します。

通院していない期間に救急受診・救急搬送があった場合

精神科へ定期的に通院していなかった期間でも、 まったく医療機関との接点がなかったとは限りません。

たとえば、状態が急激に悪化し、 救急外来を受診したり、救急搬送されたり、 一時的に入院したりしていることがあります。

このような場合には、 「精神科の定期通院はしていなかった」という事実と、 「その期間中に救急受診等があった」という事実を分けて整理します。

確認したいポイント

  • いつ頃の出来事だったか
  • どのような状態で受診に至ったか
  • どの医療機関を受診したか
  • 入院の有無
  • その後、精神科治療につながったか
  • その後の学校・仕事・生活にどのような影響があったか

自傷行為や過量服薬などが背景にある場合も、 申立書では必要な範囲で経過を整理します。

ただし、出来事を強調するために、 手段や量などの詳細を必要以上に記載する必要はありません。 当時の症状、受診に至った経過、その後の生活や治療への影響 が分かる形で整理するとよいでしょう。

救急受診や入院歴がある場合には、 診療録、退院時の書類、紹介状、お薬手帳などが残っていないかも確認してみましょう。

通院していなかった期間が何年もある場合はどうする?

数か月ではなく、数年にわたって通院していないケースもあります。

その場合も、 「5年間受診なし」 と一行だけで終わらせるのではなく、 その期間の中で状態や生活に大きな変化がなかったかを確認します。

たとえば、

  • 高校を卒業した
  • 通信制高校へ転校した
  • 大学へ進学したが通学できなくなった
  • 就職した
  • 退職した
  • 引きこもるようになった
  • 家族との同居・別居が変わった
  • 救急受診や入院があった
  • 症状が大きく悪化・改善した

などの重要な変化があれば、 必要に応じて期間を分けて整理した方が分かりやすいことがあります。

病歴・就労状況等申立書は、 単なる「通院歴一覧」ではありません。

発病後、どのような症状や生活上の変化があり、 現在の状態までどのような経過をたどったのか が分かるように作成していきます。

通院していない期間の書き方に迷っていませんか?

「何年も受診していない期間がある」 「その間の症状をどう書けばよいか分からない」 「救急受診や別の医療機関への受診もあり、時系列を整理できない」 という場合は、資料を確認しながら一緒に整理できます。

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初診日前の未受診期間と、初診後の通院中断は分けて考える

「病院へ行っていない期間」といっても、 いつの期間なのかによって確認するポイントが異なります。

初診日前の期間

症状はあったものの、 まだ医療機関を受診していなかった期間です。

この場合には、 いつ頃から症状が現れていたのか という発病時期の整理にも関係します。

発病日と初診日は同じとは限りません。 詳しくは、次の記事で解説しています。

障害年金の「発病日」とは?初診日との違い・診断書ごとに日付が違う場合を解説

初診後に通院が途切れた期間

一度医療機関を受診した後、 定期的な通院が中断した期間です。

この場合には、 通院を中断した理由だけではなく、 中断中の症状、生活、就労・就学状況、 その後に再び受診した経過などを整理します。

また、本人が「通院していなかった」と記憶していても、 実際には別の医療機関、救急外来、内科などを受診していることがあります。

初診日や病歴の確認に関係する可能性があるため、 医療機関の受診歴はできるだけ時系列で確認しましょう。

通院していない期間を書く前に、この順番で確認する

  1. 受診していた医療機関を時系列に並べる
    精神科・心療内科だけでなく、 今回請求する傷病と関係する可能性がある症状で受診した他科や救急受診も確認します。
  2. 通院が途切れた時期を確認する
    いつからいつまで受診していなかったのかを整理します。
  3. 受診しなかった理由を確認する
    当時の状況を本人や家族の記憶、資料などから確認します。
  4. その間の症状を整理する
    不安、抑うつ、睡眠、外出、対人関係など、当時の状態を確認します。
  5. 日常生活・学校・仕事の状況を確認する
    家族の援助、欠席、休職、退職などの変化も整理します。
  6. 救急受診・入院などがなかったか確認する
    定期通院がなくても、別の形で医療機関を受診している場合があります。
  7. 再び受診するまでの経過を確認する
    何をきっかけに治療を再開したのかも時系列に加えます。

ただし、他科での受診が今回請求する傷病の初診日に当たるかどうかは、 受診時の症状や診療内容、傷病との関係によって異なるため、 個別に確認が必要です。

大切なのは、「受診していない」という空白を埋めるために話を作ることではなく、 その期間に実際にどのような生活をしていたのかを事実に沿って整理することです。

動画で解説|通院していない期間は申立書にどう書く?

通院を中断していた期間の整理方法や、症状・日常生活・就労状況の書き方を動画で解説しています。

障害年金の通院していない期間についてよくある質問

Q.数年間、精神科に通っていません。障害年金は申請できませんか?

公開されている資料上、 通院していない期間があることだけを理由に、 一律に障害年金を請求できないとする取扱いは確認できません。

一方、受診していなかった期間については、 その理由、症状、日常生活、就労状況などを具体的に整理することが大切です。 実際の認定は、診断書その他の資料を含めて個別に判断されます。

Q.受診していなかった期間は「通院なし」とだけ書けばいいですか?

日本年金機構の様式では、 受診していなかった理由、自覚症状の程度、 日常生活状況、就労状況などを具体的に記入するよう案内されています。

そのため、「通院なし」だけではなく、 確認できる範囲で当時の状態を記載します。

Q.通院していなかった期間に働いていたら不利ですか?

就労していたという事実だけで判断するのではなく、 仕事内容、勤務日数・時間、欠勤や休職、 職場で受けていた配慮なども含めて実際の就労状況を整理することが重要です。

Q.通院中断中に救急搬送されたことは書いた方がいいですか?

病歴の経過を説明するうえで関係する出来事であれば、 必要な範囲で時系列に整理します。

出来事そのものだけではなく、 当時の症状、受診に至った経過、 その後の治療や生活への影響も確認すると分かりやすくなります。

Q.昔のことなので、通院していなかった理由を覚えていません。

記憶にない理由を作る必要はありません。

診療録、紹介状、お薬手帳、学校や勤務の記録、 家族の記憶などを確認し、 分かる範囲で当時の経過を整理します。

通院していない期間の整理に迷っている方へ

障害年金の申請では、 医療機関へ通っていた期間だけでなく、 受診していなかった期間をどのように整理するか で迷うことがあります。

特に、 精神障害、20歳前傷病、長期間の通院中断があるケース、 救急受診や入院を挟んでいるケース、 複数の医療機関を受診しているケースでは、 病歴全体を時系列で確認することが大切です。

こもれび社労士事務所では、 「まだ依頼するか決めていない」 「自分の申立書のどこを確認すればよいか分からない」 という段階からご相談いただけます。

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参考資料

※本記事は、公開されている日本年金機構・厚生労働省等の資料をもとに、 障害年金の一般的な制度と病歴・就労状況等申立書の作成上の考え方を説明したものです。 実際の認定や傷病の取扱いは、 個別の受診歴、診断内容、生活状況、就労状況、提出資料等によって異なる場合があります。

ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です

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