障害年金の診断書「1」が多いと不支給?日常生活能力の判定1~4を社労士が解説

「料理はできるから、日常生活能力は『1』になるのでしょうか?」
「一人暮らしをしていると、全部『1』になってしまいますか?」
「働いていると、障害年金は難しいのでしょうか?」
「家族に言われればできる場合は、1・2・3のどれなのでしょうか?」
精神の障害による障害年金では、診断書の 「日常生活能力の判定」が重要な審査資料の一つになります。
特に、診断書に「1(できる)」が多いと、 「これでは障害年金が認められないのではないか」 「等級判定の表に当てはめると非該当になるのではないか」 と不安になる方も少なくありません。
先に結論をお伝えします。
診断書に「1」が多いことだけで、直ちに障害年金が不支給になるわけではありません。
ただし、精神の障害では日常生活能力の判定は重要な審査要素ですので、 一般的には「1」が多いほど、重い障害等級には結びつきにくくなります。
そして、非常に大切なのが、 「一度その行為ができたことがある」=「1(できる)」とは限らない という点です。
この記事では、精神の障害用診断書にある「日常生活能力の判定」1~4の意味、 インターネット上でも見かける「障害等級の目安」の表との関係、 料理、一人暮らし、金銭管理、通院、就労などの具体例を交えながら、 日常生活の実態をどのように考えればよいのかを社会保険労務士が解説します。
この記事を読む前に
この記事は、障害年金を受給しやすくするために、 診断書の数字を意図的に重くしてもらう方法を説明するものではありません。
診断書の1~4を判断して記載するのは医師です。 本人が「2にしてください」「3にしてください」と数字を指定するものではありません。
一方で、医師が日常生活の実態を十分に把握できるよう、 本人や家族が実際の困りごとや援助の状況を具体的に伝えることは大切です。
「1」が多くても障害年金は認定される?
「診断書に1が多かったら不支給になりますか?」 というご相談があります。
精神の障害による障害年金は、 「1が何個なら2級」「平均がいくつなら必ず不支給」 という単純な仕組みだけで決まるものではありません。
精神障害・知的障害については、 診断書の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」から 障害等級の目安を確認し、 そのうえで病状、療養状況、生活環境、就労状況、 家族や支援者から受けている援助などを含めて総合的に判断されます。
そのため、 「1がある」「1が多い」ということだけで障害年金を受給できないと決まるわけではありません。
一方で、「日常生活能力の判定」は、 精神の障害の程度を判断する重要な資料です。
したがって、 「1が多くてもまったく問題ない」という説明も正確ではありません。
「1が多いことだけで直ちに不支給ではない。
ただし、日常生活能力の判定は重要な判断材料である」
この両方を理解しておくことが大切です。
動画でもわかりやすく解説しています
「診断書に1が多いと不支給になる?」「できるとはどういう意味?」 という疑問について、動画でも解説しています。
そもそも「日常生活能力の判定」1~4とは?
精神の障害用診断書では、 日常生活の7つの場面について医師が1~4の4段階で評価します。
| 判定 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 1 | 自発的にできる・適切にできる |
| 2 | 自発的にできるが援助が必要、又はおおむねできるが援助が必要 |
| 3 | 自発的にできないが援助があればできる |
| 4 | 助言や指導をしてもできない、又は行わない |
ここでいう「できる」は、 単にその動作を物理的に行えるという意味だけではありません。
日常生活や社会生活を営むうえで、 他者から特別な援助、助言、指導を受けなくても適切に行える程度か という視点が重要になります。
重要なのは、「一度でもできたことがあるか」ではありません。
援助なしに、適切に、継続して行えているか という視点で考えることが大切です。
「障害等級の目安」の表とは?申立書の数字を平均するものではありません
精神の障害年金について調べていると、 「障害等級の目安」と書かれた表をインターネット上で見かけることがあります。
表の縦軸には「判定平均」、 横軸には「日常生活能力の程度(1)~(5)」があり、 その組み合わせによって 「1級」「2級」「3級」「3級非該当」などの目安が示されています。
この表自体は、 精神の障害に係る等級判定ガイドラインで示されている 障害等級の「目安」です。
ここで特に注意していただきたい点があります。
この表の「判定平均」は、 病歴・就労状況等申立書の日常生活状況欄に記載する数字を そのまま平均したものではありません。
「判定平均」に使用するのは、 医師が精神の障害用診断書に記載する 「日常生活能力の判定」7項目の1~4の評価です。
その7項目に医師が記載した1~4の評価を平均したものが、「判定平均」です。
さらに、診断書にある 「日常生活能力の程度」1~5 と組み合わせることで、 障害等級の目安を確認します。
申立書に「1」が多いから、 その数字をそのままガイドラインの表に入れて 「非該当になる」と判断することはできません。
ただし、 病歴・就労状況等申立書も障害年金の重要な審査資料です。
したがって、 「ガイドラインの計算には直接使わないから、申立書は関係ない」 という意味でもありません。
診断書と申立書で日常生活状況が大きく食い違っていないか、 実際の生活状況や援助の実態がそれぞれの書類に適切に反映されているかは重要です。
障害基礎年金には「3級」がありません
もう一つ、ガイドラインの表を見る際に注意したい点があります。
障害厚生年金には1級・2級・3級がありますが、 障害基礎年金には1級・2級しかありません。
そのため、障害基礎年金について等級判定ガイドラインを使用する場合は、 表にある「3級」は 「2級非該当」 と読み替えて考えます。
20歳前傷病による障害基礎年金についても、 「表に3級と書いてあるから3級が受給できる」という意味ではありません。
また、この表はあくまで 「障害等級の目安」です。
表だけで機械的に等級を決定するのではなく、 診断書のその他の記載内容、病状、療養状況、生活環境、 就労状況、援助の必要性なども含めて総合的に判断されます。
日常生活能力では何を見られる?7つの項目
精神の障害用診断書の「日常生活能力の判定」では、 次の7項目について評価されます。
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び対人関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
ここからは、 特にご相談の多い場面を具体的に見ていきます。
「料理ができる」なら1になる?
食事については、 「料理ができるかどうか」だけで判断するわけではありません。
例えば、本人が簡単な料理を作れるとしても、 次のような状態が続いている場合があります。
- 食事を抜いてしまうことが頻繁にある
- 菓子パンやインスタント食品だけで済ませることが多い
- 食事時間が大きく乱れている
- 家族から声をかけてもらわないと食べない
- 買い物や献立を考えることが難しい
- 家族が食事を準備している
- 体調が悪くなると調理も片付けもできなくなる
このような場合、 「料理を一品作れる」 「コンビニで弁当を買える」 という一つの事実だけで、 日常生活上まったく援助を必要としないとは限りません。
反対に、必要な食事を自分で準備し、 食事の量や時間、栄養面にも一定程度配慮しながら、 他者の援助なしで安定して食生活を維持できているのであれば、 「できる」と評価する方向の事情になります。
一人暮らしをしていると「全部1」になる?
これも非常に多い誤解です。
一人暮らしをしているという事実だけで、 日常生活能力がすべて「1」になるわけではありません。
独居であっても、 家族から継続的な援助を受けていたり、 訪問看護や福祉サービスなどを利用していたりすることがあります。
例えば、一人暮らしでも、
- 親が定期的に食料を持ってきている
- 家族が金銭管理をしている
- 家族が電話やLINEで服薬を確認している
- 通院には家族が付き添っている
- 訪問看護や相談支援を利用している
- 掃除ができず家族が定期的に片付けている
- 郵便物や役所の手続きを家族に任せている
といった状況で生活が成り立っていることがあります。
「一人で住んでいるか」だけではなく、 「援助がなければどのような生活になるのか」 を見ることが重要です。
入浴できる日があるなら「身辺の清潔保持」は1?
「お風呂には入れるので、できるにしました」 という方もいます。
しかし、清潔保持では、 入浴という一つの行動だけではなく、 日常的に身だしなみや生活環境を保てているかも重要です。
例えば、
- 数日間入浴できないことが繰り返される
- 着替えをせず同じ服を着続ける
- 洗濯物をためてしまう
- ゴミを捨てられず部屋にたまる
- 歯磨きや洗顔を忘れる
- 家族の声かけがあって初めて入浴する
- 一度片付けても生活環境を維持できない
といった状況があれば、 「入浴する能力そのものはある」というだけでは 生活実態を十分に表せません。
買い物ができるなら「金銭管理」もできる?
コンビニやスーパーで代金を支払えることと、 生活全体の金銭管理を適切に行えることは別の問題です。
例えば、
- 家賃や光熱費の支払期限を管理できない
- 支払いを忘れて督促を受けることがある
- 衝動買いや課金などで生活費が足りなくなる
- 家族が通帳やキャッシュカードを管理している
- 家族から週ごと・月ごとに生活費を渡してもらっている
- 郵便物を開封できず、請求書などを放置する
- 契約や行政手続きの内容を理解して対応することが難しい
こうした事情がある場合は、 「買い物で会計できる」という一場面だけではなく、 実際にどの程度の援助を受けながら金銭管理をしているのかを確認することが重要です。
通院できているなら「通院と服薬」は1?
定期的に病院へ通っているからといって、 必ずしも援助が不要とは限りません。
例えば、
- 家族が受診日を管理している
- 家族に言われなければ受診を忘れる
- 一人では受診できず付き添いが必要
- 服薬を忘れるため家族が確認している
- 薬を自分で管理できず家族が仕分けしている
- 症状を医師へうまく説明できず家族が補足している
といった場合があります。
「病院には行けている」という結果だけではなく、 その受診や服薬が誰のどのような支援によって成り立っているのか を見ることが大切です。
働いていると障害年金は難しい?
精神の障害では、 「働いているから障害年金は受給できない」と 単純に判断されるわけではありません。
就労している場合には、 単に勤務しているかどうかだけではなく、 実際の就労状況が確認されます。
- 一般雇用か障害者雇用か
- 勤務日数・勤務時間
- 仕事内容
- 職場から受けている配慮や援助
- 欠勤・遅刻・早退の状況
- 仕事を継続するためにどの程度支援が必要か
- 就労後や休日に日常生活が大きく崩れていないか
などを含めて、就労の実態が考慮されます。
したがって、 「会社に在籍している」 「給料をもらっている」 という事実だけで判断するのは適切ではありません。
就労継続支援B型を利用しているとどうなる?
就労継続支援B型を利用している方からも、 「通所できているから障害年金は難しいですか?」 というご相談があります。
精神・知的障害の等級判定では、 就労継続支援A型・B型、就労移行支援、障害者雇用などについても、 その利用や就労の事実だけではなく、 支援の内容や就労の実態を踏まえて評価する ことが重要です。
例えば、
- 週に何日通えているか
- 一日何時間程度利用しているか
- 欠席や早退はどの程度あるか
- 職員からどのような援助を受けているか
- 作業内容はどの程度限定されているか
- 体調に応じた配慮があるか
など、実際の状況を具体的に確認することが大切です。
診断書や申立書についてお悩みの方へ
「1が多いけれど、このままで大丈夫なのか」
「ガイドラインの表を見ると不安になってしまう」
「自分の日常生活の状態をどう伝えればよいのかわからない」
診断書や申立書の数字だけを見るのではなく、 日常生活・就労・通院・支援の実態を整理したうえで、 今後の進め方をご案内します。
「悪い日」だけでも「良い日」だけでも判断しない
うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害などでは、 日によって状態に波がある方も少なくありません。
その場合、 一番状態が悪かった一日だけを切り取って説明することも、 比較的調子のよい日だけを基準にしてしまうことも、 日常生活の実態を正確に表しているとは限りません。
診察時の一時的な状態だけではなく、 一定期間における症状の変動や、 好転・増悪の状況を踏まえて考えることが大切です。
症状に波がある場合は、 例えば次のような点を整理すると伝わりやすくなります。
- 調子の悪い状態は週・月にどの程度あるか
- 悪化すると何ができなくなるのか
- その状態は何日程度続くのか
- 比較的調子がよい日はどこまでできるのか
- 普段からどのような援助を受けているのか
本人が診断書の「1・2・3・4」を決めるものではありません
ここは非常に重要なので、 あらためて確認しておきます。
精神の障害用診断書の 「日常生活能力の判定」を記載するのは医師です。
障害年金を受給するために、 本人が 「この項目を3にしてください」 と数字を指定するものではありません。
一方で、医師が本人の日常生活を24時間見ているわけではありません。
診察室では普通に受け答えができていても、 自宅では家族からかなりの援助を受けているということがあります。
例えば本人は「服薬は自分でできています」と思っていても……
- 実際には家族が薬を曜日ごとに分けている
- 毎日「薬を飲んだ?」と確認している
- 確認しなければ頻繁に飲み忘れる
ということがあります。
本人にとって家族からの援助が「当たり前」になっているため、 自分では援助を受けていることに気づいていないケースもあります。
可能であれば家族や支援者にも、 「普段どんなことを手伝ってもらっているか」 を確認してみるとよいでしょう。
診断書と病歴・就労状況等申立書は同じものではありません
「精神の障害用診断書の日常生活能力の判定」と、 「病歴・就労状況等申立書で本人が説明する日常生活状況」は、 役割が異なります。
診断書は医師が作成します。
一方、病歴・就労状況等申立書は、 発病から現在までの経過や治療状況、就労状況、 日常生活上の支障などを本人側から説明する重要な資料です。
したがって、 申立書の日常生活欄の数字と、 診断書の「日常生活能力の判定」の数字は、 同じ数字として直接比較するものではありません。
ただし、双方がまったく無関係ということでもありません。
例えば、診断書では継続的な援助が必要とされている一方で、 申立書では日常生活にまったく問題がないような内容になっていれば、 実際の生活状況がどちらなのか確認が必要になります。
診断書に合わせるために申立書の事実を変えるのではなく、 実際の生活状況を具体的に整理した結果として、 医師への説明と申立書の内容に自然な整合性があること が重要です。
「できる・できない」を伝えるときの5つのポイント
「食事ができません」 「金銭管理が苦手です」 というだけでは、 実際の日常生活の状況が十分に伝わらないことがあります。
診察時や申立書作成前に、 各項目について次の5点を整理してみてください。
- 具体的に何が難しいのか
- どのくらいの頻度で起こるのか
- 誰から、どのような援助・助言・見守りを受けているのか
- その援助がなければどうなるのか
- 比較的よい時と悪い時で、どの程度差があるのか
例えば、 「金銭管理が苦手です」 というだけでなく、 次のように具体化します。
光熱費などの支払期限を自分で管理することが難しく、 支払いを忘れることがある。 家族が毎月、請求書と支払期限を確認し、 本人に支払いを促している。 体調が悪い時期は郵便物を開封できず、 家族が確認して対応することがある。
このように説明すると、 単に「できる・できない」という言葉だけでは見えない 援助の必要性や生活上の支障 が伝わりやすくなります。
45秒でポイントを確認
「できる(1)が多いと不支給?」という疑問を、 ショート動画でも簡潔にまとめています。
認定されやすくするために数字を重くするのは違います
障害年金の申請では、 「1だと不利だから2にしよう」 「2級がほしいから3を増やそう」 と考えるものではありません。
実際の状態より重く伝えることも、 反対に 「これくらい普通だから」 と困りごとを軽く伝えてしまうことも、 どちらも適切ではありません。
大切なのは、 障害年金を受給しやすい数字を作ることではなく、 実際の日常生活の状態を正確に伝えることです。
まとめ|「できる」の意味を生活実態から考える
精神の障害年金の診断書に「1」が多いことだけで、 直ちに不支給になるわけではありません。
ただし、日常生活能力の判定は、 精神の障害の程度を判断するうえで重要な審査要素です。
また、インターネット上で見かける 「障害等級の目安」の表の「判定平均」は、 病歴・就労状況等申立書の数字をそのまま平均するものではありません。
医師が精神の障害用診断書に記載した 「日常生活能力の判定」7項目から算出するものです。
そして「できる」とは、 その行為を一度経験したことがあるという意味ではありません。
食事、清潔保持、金銭管理、通院・服薬、対人関係などについて、 他者の援助なしに適切かつ継続して行えているのか、 実際には家族や支援者からどのような援助を受けているのかを 具体的に確認することが大切です。
自分では「普通にできている」と思っていても、 家族に聞いてみると、 食事の準備、服薬確認、金銭管理、片付け、通院などで 想像以上に援助を受けていたことに気づく場合もあります。
障害年金の申請では、 診断書の数字を重くすることではなく、 実際の生活状況と必要な支援を、 診断書や病歴・就労状況等申立書に 矛盾なく具体的に反映させること が重要です。
障害年金の診断書・申立書でお悩みの方へ
「診断書に1が多く、このまま請求してよいのか不安」
「等級判定ガイドラインの表を見て不安になった」
「医師に日常生活の状態をどう伝えればよいかわからない」
「病歴・就労状況等申立書と診断書の内容が合っているか確認したい」
こもれび社労士事務所では、 診断書の数字を指定するのではなく、 日常生活、就労、通院、 家族や支援者から受けている援助などを一緒に整理し、 障害年金の申請資料に実際の状況を適切に反映させるための ご相談を承っています。
まずは現在の状況をお聞かせください。 ご相談内容を確認したうえで、 今後の進め方をご案内します。
参考資料
- 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
- 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」
- 日本年金機構「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」
- 日本年金機構「病歴・就労状況等申立書を提出するとき」
※本記事は2026年8月時点の制度・公表資料をもとに、 障害年金についての一般的な考え方を解説したものです。 個別の障害年金の認定結果を保証するものではありません。 実際の請求では、傷病名、初診日、加入制度、診断書、 病歴、生活状況、就労状況などによって判断が異なります。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
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