就労継続支援B型(B型事業所)に通っていても障害年金は受給できる?

障害年金を検討している方から、
「就労継続支援B型(B型事業所)に通っているのですが、障害年金は受給できますか?」
というご相談をいただくことがあります。
B型事業所で週に何日か作業をしていたり、毎月工賃を受け取っていたりすると、
「働けていると判断されて、障害年金はもらえないのでは?」
と不安になる方もいらっしゃいます。
しかし、結論からいうと、
B型事業所を利用しているという理由だけで、障害年金を受給できないと決まるわけではありません。
精神の障害による障害年金では、「働いているかどうか」だけではなく、
- どのような環境で作業しているのか
- どの程度の支援や配慮を受けているのか
- 安定して通所できているのか
- 一般就労が難しい理由は何か
- 日常生活ではどの程度援助が必要なのか
などを含めて、実際の生活・就労状況を確認することが重要です。
この記事では、就労継続支援B型とはどのような制度なのか、B型事業所を利用しながら障害年金を請求するときに何が確認されるのか、診断書や病歴・就労状況等申立書で整理したいポイントまで、社会保険労務士が実務の視点から解説します。
そもそも「就労継続支援B型」とは?
就労継続支援B型とは、障害や病気などによって一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に対し、
- 生産活動
- 軽作業
- 就労に必要な訓練
- 生活面を含めた支援
などの機会を提供する障害福祉サービスです。
一般的な会社員とは異なり、B型事業所では原則として事業所との雇用契約を結びません。
作業に応じて支払われるお金も、一般的な給与ではなく「工賃」と呼ばれます。
作業内容は事業所によって異なりますが、
- 商品の袋詰め
- 部品の組立て
- 清掃
- 農作業
- パソコン作業
- 作品制作
などがあります。
ポイント
B型事業所への通所は、一般企業で通常どおり働いている状態とは異なります。障害年金では、「B型に通っている」という事実だけではなく、実際にどのような支援を受けながら活動しているのかを確認することが大切です。
B型事業所に通っていても障害年金は受給できる?
B型事業所を利用していても、障害年金の要件を満たせば受給できる可能性があります。
精神の障害による障害年金では、就労しているという事実だけをもって、
「日常生活能力が高い」「障害が軽い」
と直ちに判断するわけではありません。
実際には、
- どのような仕事内容なのか
- 職場・事業所でどのような援助を受けているか
- 他の利用者や職員との意思疎通ができているか
- 欠席・遅刻・早退がどの程度あるか
- 作業後に強い疲労や症状悪化がないか
- 生活全体ではどの程度援助が必要なのか
などを含めて判断されます。
そのため、
「週5日B型に通っているから障害年金は無理」
「工賃をもらっているから受給できない」
と単純に判断する必要はありません。
通所日数だけで障害年金は決まらない
たとえば、月に20日程度B型事業所へ通っている方もいらっしゃいます。
一見すると、
「月20日も通えているなら、かなり働けているのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、同じ20日通所でも、実態は人によって大きく異なります。
たとえば、
- 1日2時間程度しか作業できない
- 職員から頻繁に声かけや指示を受けている
- 単純作業に限定している
- 体調不良時はすぐ休める
- 一般就労では求められる業務量に対応できない
- 対人関係の負担を避けるため個別作業をしている
ということがあります。
そのため、通所日数という数字だけではなく、その中身を確認することが重要です。
工賃が高いと障害年金は不利になる?
B型事業所では、作業に応じて工賃が支払われます。
「工賃があると障害年金を受給できないのでは」と心配される方もいますが、
工賃の金額だけで障害年金の受給可否が決まるわけではありません。
もちろん、就労状況を確認する資料の一つにはなりますが、
- 作業時間
- 仕事内容
- 支援内容
- 通所の安定性
- 一般就労が可能な状態なのか
などとあわせて確認する必要があります。
「何日通っているか」「いくら工賃をもらっているか」だけで判断しないことが大切です。
B型事業所でどのような支援・配慮を受けて活動できているのかまで整理しましょう。
B型事業所での「支援内容」が重要
障害年金を検討するときには、B型事業所でどのような支援を受けているかを具体的に整理します。
たとえば、
- 職員から作業手順を繰り返し説明してもらっている
- 一人では作業の開始・終了を判断できない
- 対人トラブルが起きないよう職員が間に入っている
- 体調に合わせて作業量を減らしてもらっている
- 休憩を頻繁に取る必要がある
- 体調不良時は当日の欠席が認められている
- 通所自体に家族の声かけや援助が必要
などです。
こうした事情は、
「B型事業所で作業できている」という結果だけを見ても分からない部分
です。
欠席・遅刻・早退も確認しておきたい
通所日数だけではなく、通所がどの程度安定しているかも確認しておきましょう。
たとえば、
- 月によって出席日数に大きな差がある
- 朝起きられず遅刻することが多い
- 途中で体調が悪くなり早退する
- 数日通うと疲労して翌日は休む
- 精神症状の悪化で長期間通えないことがある
という状況があれば、実態として整理しておくことが大切です。
「通えている日」だけではなく、通えない日や不安定になる場面も含めて全体像を見る必要があります。
作業時間・仕事内容も重要です
同じB型事業所でも、
1日何時間作業しているか
によって状況は大きく違います。
また、
- 単純な反復作業なのか
- 自分で判断する仕事なのか
- 他人とのコミュニケーションが必要なのか
- 職員の指示がどの程度必要なのか
なども確認します。
たとえば、
「週5日通っている」
という情報だけよりも、
「週5日、1日2時間程度。単純な袋詰め作業を、職員から声かけを受けながら行っている」
と整理した方が、実際の就労状況が分かりやすくなります。
一般就労との違いも整理する
B型事業所を利用している方の場合、
なぜ一般企業での就労ではなく、B型という福祉的な支援を受けながら活動しているのか
も重要なポイントです。
たとえば、
- 長時間勤務が難しい
- 決められた時間に毎日出勤することが難しい
- 一般企業の業務スピードについていけない
- 対人関係やコミュニケーションに強い負担がある
- 体調の波が大きく、安定した勤務ができない
- 職員による継続的な支援が必要
といった事情があります。
この部分を整理することで、単に
「働いている・働いていない」
という二択ではなく、実際の障害状態が伝わりやすくなります。
B型事業所に通えていても「日常生活」は別に確認されます
障害年金、特に精神の障害では、就労状況だけでなく日常生活能力も重要です。
B型事業所には通えていても、自宅では、
- 食事を自分で準備できない
- 入浴や着替えに声かけが必要
- 金銭管理を家族に任せている
- 服薬管理を一人ではできない
- 行政手続や病院予約を一人でできない
- 他人との交流がほとんどない
ということがあります。
逆に、事業所で支援を受けて一定時間活動できているからといって、家庭でも同じように自立して生活できているとは限りません。
障害年金では「事業所で何ができるか」だけではなく、「支援がない日常生活でどの程度できるか」も重要です。
診断書ではB型利用を主治医に伝えておく
障害年金の精神の障害用診断書には、就労状況を記載する欄があります。
そのため、診断書をお願いするときには、
- B型事業所を利用していること
- 週・月に何日程度通所しているか
- 1日何時間程度作業しているか
- どのような作業をしているか
- どのような支援を受けているか
- 欠席・遅刻・早退などの状況
を主治医に伝えておくことが大切です。
特に、
「B型に週5日通所」
という情報だけでは、実際にどの程度の支援が必要なのか分かりません。
支援内容や作業時間なども含めて、実態を共有しておきましょう。
病歴・就労状況等申立書には何を書く?
障害年金の請求では、病歴・就労状況等申立書を提出します。
B型事業所を利用している場合には、
- 利用開始時期
- 通所日数
- 作業時間
- 作業内容
- 工賃
- 支援内容
- 欠席・遅刻・早退
- 一般就労が難しい理由
などを整理しておくとよいでしょう。
大切なのは、
障害年金を受給するために状態を重く書くことではなく、実際の状況を具体的に書くこと
です。
診断書と病歴・就労状況等申立書の内容に大きなズレが生じないよう、実態を丁寧に整理します。
事業所に確認するとよいこと
自分では通所状況を正確に把握できていない場合、必要に応じてB型事業所へ確認することもあります。
たとえば、
- 月ごとの利用日数
- 平均的な作業時間
- 欠席・遅刻・早退の状況
- 作業内容
- どのような支援を受けているか
などです。
特に通所日数は、本人の記憶だけでなく、事業所の利用記録から確認できることがあります。
就労していることを隠すのはおすすめできません
「B型事業所に通っていることを書くと不利になるのでは」と考え、申立書や主治医への説明で利用状況を書かないことはおすすめできません。
重要なのは、
通っている事実を隠すことではなく、どのような支援を受けながら通えているのかを正確に伝えること
です。
障害年金では、実際の障害状態と提出書類の内容が整合していることが重要です。
一般就労している場合も障害年金を受給できる?
B型事業所だけでなく、一般企業で働いている方でも障害年金を受給しているケースがあります。
精神の障害では、現に仕事をしている場合でも、それだけを理由に障害が軽いと判断するのではなく、
- 仕事内容
- 職場での援助
- 他者との意思疎通
- 就労の安定性
- 就労以外の日常生活能力
などを含めて確認します。
その意味でも、B型事業所を利用しているという事実だけで受給可能性を判断する必要はありません。
よくある質問
Q.B型事業所に週5日通っていたら障害年金は無理ですか?
週5日通っていることだけで受給できないと決まるわけではありません。
1日の作業時間、仕事内容、支援内容、欠席状況、日常生活能力などを含めて障害状態が判断されます。
Q.毎月工賃をもらっていても障害年金は申請できますか?
工賃を受け取っていることだけを理由に障害年金を請求できなくなるわけではありません。
工賃額だけでなく、実際の作業・支援状況を確認します。
Q.B型事業所の出勤日数は申立書に書いた方がいいですか?
はい。実際の通所状況として整理しておくことをおすすめします。
可能であれば、事業所へ月ごとの利用日数を確認するとより正確です。
Q.B型に通っていることを診断書の先生に言った方がいいですか?
はい。
通所日数だけではなく、作業時間、作業内容、支援・配慮、欠席状況なども伝えることが大切です。
Q.B型事業所に通えていると「日常生活も自立している」と判断されますか?
必ずしもそうではありません。
事業所で支援を受けながら活動できることと、自宅など支援の少ない環境で自立して生活できることは別に確認する必要があります。
Q.将来一般就労したら障害年金は止まりますか?
就職したことだけで直ちに障害年金が停止されるとは限りません。
実際の障害状態や仕事内容、職場での支援、就労の安定性、日常生活状況などを踏まえて判断されます。
まとめ|B型事業所に通っている事実だけで障害年金を諦める必要はありません
就労継続支援B型事業所を利用していても、
「働いているから障害年金は受給できない」
と単純に判断する必要はありません。
障害年金では、
- 通所日数
- 作業時間
- 仕事内容
- 支援・配慮
- 欠席・遅刻・早退
- 一般就労が難しい理由
- 家庭での日常生活状況
などを含めて、実際の障害状態を整理することが重要です。
特に、
「週○日通っています」という数字だけではなく、「どのような支援があるから通えているのか」を具体的に整理する
ことが大切です。
B型事業所を利用しながら障害年金を検討している方へ
「B型に週5日通っているので障害年金は無理だと思っている」
「工賃をもらっていると不利になるのか心配」
「診断書や申立書にB型の状況をどう書けばよいか分からない」
という段階でもご相談いただけます。
こもれび社労士事務所では、通所日数、作業時間、仕事内容、事業所で受けている支援、日常生活状況などを確認しながら、現在の障害状態と障害年金の請求方針を一緒に整理しています。
「働いているから無理」と自己判断せず、まず実際の就労・生活状況を整理してみることが大切です。
B型事業所を利用中という段階でもご相談いただけます。
※障害年金の認定は、B型事業所の利用の有無、通所日数、工賃だけで決まるものではありません。傷病、障害状態、診断書、日常生活能力、就労状況、支援内容等を踏まえて個別に判断されます。本記事は一般的な制度・実務上の考え方を解説するものです。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
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※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です


