障害年金の「発病日」とは?初診日との違い・診断書ごとに日付が違う場合を解説

障害年金の書類を確認していると、 「発病日と初診日は同じ日なのか」 「診断書と受診状況等証明書で発病日が違う」 「昔から不調はあったが、いつを発病日として整理すればよいのか」 と迷うことがあります。
特に精神障害では、症状が徐々に現れることがあり、 治療経過の中で診断名が追加・変更されているケースでは、 発病時期を一日単位で明確に整理することが難しい場合もあります。
発病日と初診日は、障害年金の書類上では別の項目です。
病歴・就労状況等申立書では、発病日は「自覚症状が現れた日」を記入します。 一方、初診日は、その傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。
精神障害では症状が徐々に現れることもあり、 発病日を一日単位で特定することが難しい場合があります。 診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書で発病時期の記載が異なる場合には、 日付だけを機械的にそろえるのではなく、 症状が現れた時期、初診日、受診経過、学校・仕事・日常生活への影響を事実に沿って整理すること が大切です。
なお、公開されている日本年金機構等の資料を確認する限り、 発病日の記載が書類ごとに異なる場合の一律の取扱いや、 その違いだけを理由に不支給とする取扱いは確認できません。 明らかな誤記や、初診日より前の受診歴に関わる可能性がある場合には、 提出前に医療機関や年金事務所への確認を検討しましょう。
障害年金における「発病日」とは
日本年金機構の病歴・就労状況等申立書に関する案内では、 発病日は自覚症状が現れた日を記入するものとされています。
なお、自覚症状が現れる前に健康診断等で異常を指摘された場合や、 先天性疾患・生来性の知的障害などでは、別の取扱いが示されています。
つまり、発病日は必ずしも 「病院を受診した日」や 「医師から特定の診断名を告げられた日」 と同じではありません。
ただし、精神障害では症状が徐々に現れることもあるため、 いつの時点を発病日として整理するかは、 受診歴や当時の生活状況などを踏まえて個別に確認する必要があります。
たとえば精神障害の場合
学生の頃から不眠や強い不安などが続いていたものの、 実際に精神科を受診したのはその後だった、というケースがあります。
このような場合、症状が現れた時期と医療機関を初めて受診した時期が異なることがあります。
発病日と初診日は、障害年金の書類上では別の項目です。 症状が現れてから受診までに時間が空くこともありますが、 症状が現れた日に受診した場合など、 個別の経過によっては同じ日になることもあります。
発病日・初診日・診断名が付いた時期・障害認定日の違い
障害年金では、似たような時期や日付がいくつも出てきます。 それぞれの意味を分けて整理しておきましょう。
| 用語 | 基本的な意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 発病日 | 自覚症状が現れた日など | 初診日や特定の診断名が付いた時期と一致するとは限りません |
| 初診日 | 障害の原因となった傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日 | 障害年金では重要な基準日です |
| 診断名が付いた時期 | 医療機関で特定の傷病名が診断書や診療録に記載された時期 | 障害年金の受給要件上、初診日や障害認定日のように独立した基準日ではありません |
| 障害認定日 | 原則として初診日から1年6か月を経過した日など | 発病日から1年6か月ではありません |
特に重要なのが初診日です。 障害認定日は原則として初診日を基準に決まり、 保険料納付要件を確認する際にも初診日が重要になります。
そのため、 「発病日がいつなのか」という問題と 「障害年金上の初診日はいつなのか」という問題は、 関係はありますが同じものではありません。
40秒で解説|「発病日」と「初診日」の違い
発病日と初診日の違いを、約40秒でまとめています。
発病日がはっきり分からない場合はどうする?
発病日がはっきり分からない場合はどうする?
精神障害では、 「この日から病気になった」と一日単位で特定することが難しいことがあります。
たとえば、不眠、抑うつ気分、強い不安、 人との接触を避ける、学校へ行けなくなる、 自傷行為がみられるようになるなど、 状態が少しずつ変化していくケースがあります。
正確な日付を特定できない場合には、 記憶にない日付を無理に作らず、 診療記録、学校・就労の経過、家族からの聞き取りなどをもとに、 確認できる範囲で症状が現れた時期を整理することが大切です。
病歴・就労状況等申立書の公式記載例には、 「○年○月頃」といった時期の表現も用いられています。 ただし、発病日をどこまで特定できるかは個別の資料や経過によって異なるため、 根拠のない日付を作らず、確認できる範囲で整理することが大切です。
発病時期を整理するときに確認したいもの
- 当時の診療録や紹介状
- 受診状況等証明書
- 過去の診断書
- お薬手帳
- 学校の欠席・休学・転校などの記録
- 勤務記録や休職記録
- 本人や家族の記憶
一つの資料だけで決めようとせず、 複数の資料を見ながら時系列を整理していくと分かりやすくなります。
診断書・受診状況等証明書・申立書で発病日が違う場合
実際の障害年金申請では、 書類ごとに発病時期の記載が異なることがあります。
たとえば、
- 受診状況等証明書では「令和○年頃」
- 障害認定日頃の診断書では「平成○年頃」
- 現在の診断書ではさらに以前の時期が記載されている
といったケースです。
発病日が違えば不支給になる?
公開されている日本年金機構等の資料を確認する限り、 「発病日の記載が書類ごとに異なることだけを理由として、不支給になる」 と明記した取扱いは確認できません。
ただし、発病日の記載が大きく異なる場合に、 どのような確認や判断が行われるかについて、 公開資料上、一律の基準は確認できません。
そのため、書類を確認する際には、次のような点も整理しておくとよいでしょう。
- 現在説明している初診日より前に、同じ傷病または関係する症状で医療機関を受診していなかったか
- 診断書や診療録に記載された前医受診歴と、申立書上の病歴が対応しているか
- 以前からの症状と現在請求している傷病との関係をどのように整理できるか
- 診断名が途中で変更・追加された経過はどうなっているか
- 年月日などに明らかな誤記や転記ミスがないか
発病日の違いを見つけたからといって、 すべての書類を一番古い日付などへ機械的に統一すればよいわけではありません。
それぞれの書類が、 どの症状について、どのような資料や経過をもとに記載されているのかを確認することが大切です。
動画で詳しく解説|障害年金の「発病日」と「初診日」の違い
発病日と初診日の違いや、書類によって発病時期が異なる場合の確認ポイントを動画で解説しています。
精神障害では「病名が付いた日」だけで発病日を決めない
精神障害では、治療経過の中で診断名が変わったり、 新しい診断名が追加されたりすることがあります。
たとえば、当初は抑うつ状態などとして治療されていたものの、 その後の経過を踏まえて別の精神疾患と診断されるケースがあります。
このような場合、 「新しい診断名が付いた日=その傷病の発病日」 と単純に考えられるとは限りません。
一方で、診断名が変わったからといって、 必ずすべてが同じ傷病として扱われるとも限りません。 症状の経過、受診歴、診断内容、それぞれの傷病の関係などを個別に確認する必要があります。
複数の精神疾患が記載されている場合
日本年金機構の精神の障害用診断書の記載要領では、 複数の精神疾患がある場合について、 同時期に発症している場合と、順に発症している場合とで、 傷病の発生年月日や初診日の記載方法が分けられています。
そのため、複数の診断名がある場合には、 病名だけを見て一つの日付にまとめるのではなく、 それぞれの症状がいつ頃から現れ、 どのような経過で診断に至ったのかを確認することが大切です。
「いつ頃から、どのような症状があり、生活にどのような支障があり、 どのような経過で受診や診断に至ったのか」 を時系列で整理すると、書類同士の関係も確認しやすくなります。
20歳前傷病では中学・高校時代の経過も確認する
20歳前に初診日がある障害基礎年金では、 中学・高校時代など若い時期から症状が続いているケースもあります。
その場合、 精神科を初めて受診した時期だけではなく、 それ以前にどのような変化があったのかを整理することも重要です。
たとえば、
- 不眠や強い不安が続くようになった
- 欠席や遅刻が増えた
- 学校へ行けなくなった
- 全日制から通信制などへ転校した
- 自傷行為や希死念慮がみられるようになった
- 家族の付き添いや援助が必要になった
といった事情が、症状の経過や生活上の支障を整理する手がかりになることがあります。
ただし、単に「不登校だった」「転校した」という事実だけではなく、 その背景にどのような症状があり、学校生活や日常生活にどのような影響があったのか を整理することが大切です。
20歳前傷病では申立書の記載を簡素化できる場合があります
日本年金機構では、20歳前に初診日がある方について、 一定の要件に該当する場合に、 病歴・就労状況等申立書の病歴状況欄を簡素化して記載できる取扱いを設けています。
これは20歳前傷病であれば誰でも使える方法ではなく、 日本年金機構が示す対象要件に当てはまる場合に利用できる取扱いです。
発病日の記載が違うときは、この順番で確認する
-
それぞれの書類の発病日・発生年月日を並べる
受診状況等証明書、認定日頃の診断書、現在の診断書、病歴・就労状況等申立書を確認します。 -
発病日と初診日を分けて整理する
症状が現れた時期と、最初に医療機関で診療を受けた日を混同していないか確認します。 -
症状と生活状況を時系列に並べる
不調の出現、学校生活・仕事への影響、受診、休職、入院などを並べます。 -
初診日前の受診歴を確認する
精神科以外も含め、今回の傷病と関係する症状で別の医療機関を受診していなかったか確認します。 -
診断名が変わった時期を確認する
後から追加・変更された診断名がある場合、その時期とそれまでの症状経過を確認します。 -
明らかな誤記が疑われる場合は確認する
年月日などに明らかな誤りがある場合には、医療機関や年金事務所への確認を検討します。
大切なのは、「数字を合わせること」より「経過を事実に沿って整理すること」です。
発病日の記載が違うからといって、 申請者側の判断だけですべての書類を同じ年月日に変更するのではなく、 まずは違いが生じている理由を確認しましょう。
障害年金の発病日についてよくある質問
Q.発病日と初診日は同じ日でなければいけませんか?
発病日と初診日は、障害年金の書類上では別の項目です。 症状が出てから受診まで時間が空く場合には、両者が異なることがあります。 一方で、症状が現れた日に受診した場合など、 個別の経過によっては同じ日になることもあります。
Q.発病日が正確に分かりません。
記憶にない日付を無理に作らず、 診療記録、学校・仕事の状況、家族の記憶などから、 確認できる範囲で症状が現れた時期を整理します。
診断書などの記載と大きく異なる場合や、 初診日より前の受診歴がある場合には、 提出前に医療機関や年金事務所への確認を検討しましょう。
Q.診断書と申立書で発病日が違います。訂正した方がいいですか?
公開されている資料上、 発病日の不一致がある場合の一律の訂正ルールは確認できません。
日付が違うという理由だけで、 直ちにどちらかを訂正すべきとは限りません。 それぞれが何を根拠に記載されているのかを確認し、 明らかな誤記なのか、症状や診断の捉え方の違いなのかを整理する必要があります。
Q.昔から不調があれば、一番古い時期を発病日にすればいいですか?
必ずしもそうとは限りません。 昔の不調が今回請求する傷病とどのようにつながっているのかを確認する必要があります。 単に「一番古い不調の日を選ぶ」という公式なルールは確認できません。
発病日・初診日・診断書の内容が合わず迷っている方へ
障害年金の申請では、 一つひとつの書類だけを見ると問題がないように見えても、 並べて確認すると、発病日・初診日・診断名・病歴が少しずつ異なっていることがあります。
特に、 精神障害、20歳前傷病、複数の医療機関を受診しているケース、 診断名が途中で変更・追加されているケース では、書類全体を時系列で確認することが大切です。
こもれび社労士事務所では、 「まだ依頼するか決めていない」 「自分の書類のどこを確認すればよいか分からない」 という段階からご相談いただけます。
障害年金の書類を一度整理してみませんか
診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書などを確認しながら、 現在どこまで準備できているか、 これから何を確認した方がよいかを整理します。
全国対応。LINEでのご相談も可能です。
長い文章にまとめなくても、
短文・箇条書き・書類の写真やスクリーンショットからでも大丈夫です。
参考資料
- 日本年金機構「病歴・就労状況等申立書を提出するとき」
- 日本年金機構「病歴・就労状況等申立書の提出にあたって」
- 日本年金機構「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領」
- 日本年金機構「受診状況等証明書」
- 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
- 日本年金機構「障害認定日」
- 厚生労働省「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
※本記事は、公開されている日本年金機構・厚生労働省等の資料をもとに、 障害年金の一般的な制度と書類作成上の考え方を説明したものです。 実際の初診日、発病日、傷病の取扱い等は、 個別の受診歴、診断内容、提出資料等によって判断が異なる場合があります。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
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