労災が不支給になったとき、労基署の判断資料を確認できることがあります

労災申請をしたものの不支給決定の通知が届いたとき、「なぜ認められなかったのか分からない」と感じる方は少なくありません。不支給通知だけでは判断の中身が見えにくいことがあるため、審査請求を考える前に、調査復命書などの開示請求を検討する場面があります。
労災申請をしたものの、不支給決定の通知が届いた。
そのとき、多くの方がまず感じるのは、「なぜ認められなかったのか分からない」という戸惑いではないでしょうか。
不支給通知書には理由が書かれていますが、そこにすべての調査内容や判断過程が詳しく書かれているわけではありません。
労災が不支給になったとき、不支給通知だけでは判断の中身が分からないことがあります
労災の不支給通知には、たとえば次のような理由が記載されることがあります。
- 業務による強い心理的負荷は認められない
- 発症前おおむね6か月の出来事として評価できない
- 業務以外の要因が大きいと判断された
- 請求人の主張と会社側の説明に違いがある
しかし、通知書だけを見ても、「どの出来事が評価されなかったのか」「会社は何と説明したのか」「主治医への照会はどのように扱われたのか」までは分からないことがあります。
そのため、不支給決定に納得できず、審査請求や再審査請求を検討する場合には、まず判断の土台となった資料を確認することが大切になる場合があります。
調査復命書とは何か
労災の調査では、労働基準監督署が、本人からの申立てだけでなく、会社への照会、関係者からの聴取、医療機関への確認、提出資料などをもとに判断します。
その調査結果や判断過程がまとめられている資料の一つが、いわゆる調査復命書です。
なお、実際の開示の対象には、調査復命書のほか、会社や関係者へのヒアリング記録、照会文書、回答書、診療報酬明細書などが含まれることもあります。もっとも、案件によって範囲は異なり、個人情報や第三者情報との関係で一部が黒塗りになることもあります。
調査復命書や添付資料を確認することで、次のような点が見えてくることがあります。
- 労基署がどの出来事を重視したのか
- どの出来事が心理的負荷として弱いと判断されたのか
- 会社側がどのような説明をしていたのか
- 関係者の聴取内容にどのような記載があるのか
- 主治医照会や医療機関の回答がどのように扱われたのか
開示請求をすれば、必ず有利になるわけではありません
ただし、開示請求をすれば必ず結果が変わる、というものではありません。
開示された資料を見ても、不支給判断の理由が大きく変わらない場合もあります。また、個人情報や第三者情報などの関係で、一部が黒塗りになることもあります。
そのため、開示請求は「逆転のための魔法の手続き」ではありません。
しかし、審査請求をするのであれば、何が不利に評価されたのか、どこを補うべきなのかを確認する意味で、検討する価値のある手続きです。
開示請求を検討しやすいケース
- 不支給理由に納得できない
- 会社側の説明と自分の認識が大きく違う
- どの出来事が評価されなかったのか確認したい
- 審査請求をするか迷っている
- すでに審査請求を考えており、主張の組み立てを見直したい
開示請求と審査請求は、目的が違います
ここで注意したいのは、開示請求と審査請求は別の手続きだという点です。
開示請求は、労基署や労働局が保有している個人情報や関係資料の開示を求める手続きです。
一方、審査請求は、不支給決定そのものの見直しを求める手続きです。
つまり、開示請求は「判断の材料を確認するための手続き」であり、審査請求は「その判断を争うための手続き」と考えると分かりやすいです。
開示請求には一定の時間がかかることがあります。 そのため、開示資料を待っているうちに審査請求の期限が近づく場合もありますので、全体の進め方は早めに検討することが大切です。
進め方のイメージ
- 不支給通知の内容を確認する。
- 審査請求を考える前に、資料を確認したいかを整理する。
- 必要に応じて開示請求を検討する。
- 開示資料を見ながら、どこを補強するべきか検討する。
- 期限を意識しながら、審査請求の主張を組み立てる。
審査請求には期限があります。開示請求の結果を待っているうちに期限を過ぎてしまうことがないよう、不支給通知が届いた場合は早めに全体の進め方を確認することが大切です。
また、開示請求をするかどうかは、「審査請求をする前に一度資料を確認しておきたい」と感じたタイミングで検討することが多い印象です。
大切なのは、資料を取ること自体ではなく、どう読み解くかです
調査復命書などの資料を取り寄せても、そこに書かれている内容をどう読むかによって、その後の対応は変わります。
たとえば、会社側の説明が事実と違う場合でも、単に「違います」と反論するだけでは足りないことがあります。
どの資料と矛盾しているのか。どの出来事が発症前6か月の心理的負荷として評価されるべきなのか。既往歴や家庭事情がある場合に、業務上の出来事との関係をどう整理するのか。
こうした点を整理したうえで、審査請求の主張を組み立てる必要があります。
まとめ
労災が不支給になった場合、不支給通知だけを見てすぐに諦める必要はありません。
ただし、感情的に反論するのではなく、まずは労基署がどのような資料をもとに判断したのかを確認することが大切です。
その方法の一つとして、調査復命書や添付資料などの開示請求を検討することがあります。
開示請求は必ず結果を変える手続きではありませんが、不支給理由を確認し、審査請求で何を補うべきかを考えるうえで、重要な手がかりになることがあります。
労災が不支給になり、審査請求をするべきか迷っている方へ。
こもれび社労士事務所では、不支給理由の整理、資料の確認、審査請求に向けた主張の組み立てについてご相談をお受けしています。
まずは、不支給通知書の内容や、これまでの経過を分かる範囲でお送りください。うまくまとまっていなくても大丈夫です。
不支給通知書や労基署から届いた書類がありましたら、そのままお送りいただいても大丈夫です。
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