【YouTube動画解説】心理的負荷の「強・中・弱」とは?パワハラ・メンタル労災の見方

精神障害の労災では、仕事上の出来事による心理的負荷が 「強」「中」「弱」のどの程度に当たるかが、重要な判断ポイントになります。
しかし、実際にご相談を受けていると、
- 上司から強く叱責されたが、これは「強」になるのか
- 一つひとつの出来事が「中」や「弱」なら、労災は難しいのか
- パワハラと長時間労働が重なっている場合はどう評価されるのか
- 配置転換や職場での孤立も心理的負荷に含まれるのか
といった疑問を持たれている方が少なくありません。
今回のYouTube動画では、精神障害の労災認定で使われる 心理的負荷の「強・中・弱」の基本的な考え方について、 一般の方にもできるだけ分かりやすく解説しています。
🎥 YouTubeで解説しています
心理的負荷の「強・中・弱」の違いや、パワハラ・長時間労働・配置転換・孤立などを どのように整理して考えるのかを、動画で分かりやすく解説しています。
心理的負荷の「強・中・弱」とは?
精神障害の労災認定では、発病前おおむね6か月の間に、 業務による強い心理的負荷があったかどうかが確認されます。
この心理的負荷を整理する際に使われるのが、 「強」「中」「弱」という考え方です。
大まかに整理すると、次のようなイメージになります。
| 評価 | 基本的な見方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 強 | 労災認定につながり得る強い心理的負荷 | 出来事の内容だけでなく、継続性や支援の有無なども確認されます。 |
| 中 | 一定の心理的負荷はあるものの、単独では「強」に至らない場合がある | 複数の出来事や長時間労働などとの組み合わせが重要です。 |
| 弱 | 通常想定される範囲の出来事と評価されやすい | 本人がつらくなかったという意味ではありません。 |
ただし、「この出来事なら必ず強」「この出来事なら必ず弱」と、 出来事の名称だけで機械的に決まるものではありません。
本人がつらかっただけでは決まらない
心理的負荷の評価で難しいのは、 本人がどれほどつらかったかだけで判断されるわけではないという点です。
労災認定では、同じような職種、立場、経験を持つ労働者が、 一般的にどの程度の心理的負荷を受ける出来事だったのかという、 客観的な視点をもとに評価されます。
そのため、単に「とてもつらかった」と伝えるだけではなく、
- いつ起きた出来事なのか
- 誰から、何をされたのか
- 一度だけか、繰り返されていたのか
- 周囲の人も見聞きしていたのか
- 会社や上司に相談した後、改善されたのか
- その後、どのような症状が出たのか
といった具体的な事情を整理することが大切です。
一番重要なのは、複数の出来事を組み合わせて見ること
パワハラやメンタル不調の労災申請では、 一つの出来事だけを取り出して判断しないことが非常に重要です。
例えば、
- 上司から繰り返し強い叱責を受けていた
- 配置転換によって業務量や責任が増えていた
- 残業時間も増加していた
- 相談できる同僚がおらず、孤立していた
- 会社に相談しても十分な対応がされなかった
という事情が重なっていたとします。
それぞれを切り離して見ると、単独では「中」や「弱」と評価される出来事が含まれているかもしれません。
しかし、複数の出来事が関連して続いていた場合には、 出来事全体を一連の経過として評価することで、全体として「強」と判断される可能性があります。
「一つひとつは弱いかもしれない」と考えて、最初から諦める必要はありません。
発病に至るまでの出来事を時系列で並べることで、心理的負荷の見え方が変わることがあります。
パワハラで心理的負荷が強くなりやすい事情
パワハラに関する出来事では、単に「上司から注意された」というだけでなく、 その言動の内容、頻度、継続期間、周囲の状況などが確認されます。
例えば、次のような事情がある場合には、心理的負荷が強く評価される可能性があります。
- 人格や能力を否定するような発言があった
- 大勢の前で繰り返し叱責された
- 必要以上に長時間の叱責や追及を受けた
- 無視、仲間外し、職場での孤立が続いた
- 退職を迫るような言動が繰り返された
- 仕事を与えない、または過大な業務を与える対応が続いた
- 会社に相談しても状況が改善されなかった
特に、言動が一度だけではなく繰り返されていた場合や、 職場からの支援がない状態が続いていた場合には、 その継続性や孤立の程度も重要になります。
長時間労働だけでなく、ほかの出来事との関係も見る
精神障害の労災認定では、長時間労働も重要な評価要素です。
一定の水準を超える著しい長時間労働が認められる場合には、 それ自体が強い心理的負荷として評価される可能性があります。
また、その水準に達していない場合でも、
- パワハラ
- 配置転換
- 業務量や責任の増加
- ノルマや納期の重圧
- 職場での孤立
- 上司や会社からの支援不足
などと重なっている場合には、全体の心理的負荷を判断するうえで重要な事情になります。
「中」や「弱」と言われたら、労災は無理なのか
一つの出来事が「中」や「弱」と評価されたからといって、 直ちに労災認定の可能性がなくなるわけではありません。
大切なのは、
- ほかにどのような出来事があったのか
- それぞれの出来事が関連していたのか
- どのくらいの期間続いていたのか
- 発病時期と出来事の時期がどのように対応しているのか
を確認することです。
実際には、本人が最もつらかったと感じている出来事と、 労災認定上の重要な出来事が必ずしも同じとは限りません。
時系列を作成して全体を確認すると、 本人が当初は重要だと考えていなかった出来事が、 認定上の重要なポイントになることもあります。
証拠がなければ申請できないわけではありません
パワハラの録音など、直接的な証拠がないため、 労災申請を諦めてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、録音がないからといって、直ちに申請できないわけではありません。
例えば、次のような資料が状況を整理する手がかりになります。
- 上司や同僚とのメール、LINE、チャット
- 業務日報や手帳、当時のメモ
- 出退勤記録、パソコンの使用記録
- 人事面談や産業医面談の記録
- 会社への相談メールや相談窓口の記録
- 家族や同僚へ当時送っていたメッセージ
- 医療機関のカルテや診断書
今ある資料を消さずに保管し、出来事との対応関係を整理していくことが大切です。
まずは発病までの流れを時系列で整理する
ご自身のケースについて考えるときは、 最初から「強・中・弱」を正確に判断しようとする必要はありません。
まずは、次のような内容を時系列で書き出してみてください。
- 職場で最初に問題が起きた時期
- 上司や会社から受けた具体的な言動
- 業務内容、業務量、勤務時間の変化
- 会社や周囲へ相談した時期と対応内容
- 不眠、動悸、食欲低下などが出始めた時期
- 医療機関を受診した日
- 休職、欠勤、退職などに至った経過
完璧な文章にする必要はありません。
短い箇条書きや、LINE・メールのスクリーンショットを並べるところからでも、 状況を整理することはできます。
より詳しい解説は元記事をご覧ください
心理的負荷の「強・中・弱」の具体例や、長時間労働の評価、 自分のケースを整理するときのチェックポイントについては、 次の記事で詳しく解説しています。
```まとめ|一つの出来事だけで判断しないことが大切です
精神障害の労災認定では、 業務上の出来事による心理的負荷が「強」と評価されるかどうかが重要です。
ただし、パワハラ、長時間労働、配置転換、業務量の増加、職場での孤立などを、 一つずつ切り離して考えるだけでは、実際の心理的負荷を十分に捉えられないことがあります。
一つひとつは「中」や「弱」に見える場合でも、 複数の出来事を一連の経過として整理することで、 全体の評価が変わる可能性があります。
「自分のケースが強なのか分からない」という段階でも、 まずは発病までの出来事を時系列で整理することが第一歩です。
パワハラ・メンタル不調の労災申請でお悩みの方へ
会社に相談する前の段階でも大丈夫です。
今の状況をLINEで送っていただければ、 心理的負荷の見方や、労災としてどのように整理できる可能性があるかを確認します。
短文、箇条書き、スクリーンショットだけでも構いません。 こちらから無断で会社や労働基準監督署へ連絡することはありません。
```
こもれび社労士事務所
社会保険労務士 近藤明久
元・JR東日本グループ 労災担当
全国対応(LINE・オンライン)
※本記事は、厚生労働省の精神障害の労災認定に関する公表資料をもとに、 一般的な制度の考え方を整理したものです。 個別の認定の可否は、具体的な出来事、発病時期、証拠資料、診断内容などによって異なります。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
※ 個人のご相談(労災・後遺障害・障害年金)/全国対応(LINE・オンライン)
※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です


