20歳前傷病の障害年金|中学・高校時代は申立書にどこまで書く?社労士が解説

20歳前に初診日がある障害年金の請求では、 病歴・就労状況等申立書を作る際に、 「中学・高校時代のことを、どこまで書けばよいのか」 と迷うことがあります。
不登校や欠席が多かった。 保健室や別室で過ごしていた。 人間関係がうまくいかなかった。 家族に毎朝起こしてもらっていた。 通信制高校へ転校した。 当時は症状があっても医療機関を受診していなかった。
このような出来事がある場合、 すべて細かく書く必要があるのか、 反対に、受診していなかった時期は書かなくてもよいのか、 判断しづらいところです。
結論からいうと、 中学・高校時代のすべての出来事を細かく再現する必要はありません。
一方で、病歴・就労状況等申立書では、 発病から現在までの状況を時系列で整理するため、 当時の症状、学校生活への影響、家族や学校から受けていた支援、 受診・未受診の状況、状態の変化 などを、必要な範囲で整理することが大切です。
ポイントは、 「つらかった出来事をできるだけ多く書くこと」ではなく、 当時どのような状態で生活していたのかが分かるようにすること です。
結論|中学・高校時代は「当時の状態が分かる範囲」で整理する
20歳前傷病の病歴・就労状況等申立書だからといって、 中学・高校時代に起きたことを すべて細かく書かなければならないわけではありません。
たとえば、
- 学校行事を一つずつ書く
- すべての友人関係を説明する
- 通知表の成績を全部書き写す
- 毎日の出来事を再現する
といった書き方をする必要はありません。
一方で、日本年金機構の記載要領では、 病歴について 発病から現在までの状況を期間をあけずに記載する ことが案内されています。 また、1つの期間が5年を超える場合には、 3~5年ごとに区切って記載する方法が示されています。
記憶が曖昧な部分について、無理に年月日や出来事を断定する必要はありません。 通知表、出席記録、学校との連絡、診療録、家族の記憶などを確認し、 分かる範囲で経過を整理します。
「中学・高校時代の出来事を全部書く必要はない」 けれど、 「発病後の経過を空白にする」のも避ける。
この間で、 症状・学校生活・受診・支援・生活状況の変化を 必要な範囲で整理するのが基本です。
20歳前傷病で中学・高校時代の記載が大切になる理由
20歳前に初診日がある障害年金の請求では、 学生時代の状況が病歴の一部になるケースがあります。
特に精神障害や発達障害などでは、 現在の診断書だけを見ても、 学生時代にどのような困難があったのかまでは 十分に分からないことがあります。
そのため申立書では、
- いつ頃から症状や困難が現れたのか
- 学校生活にどのような影響があったのか
- 家族や学校からどの程度の支援を受けていたのか
- 受診していたのか、していなかったのか
- その後の進学・就労・通院へどうつながったのか
といった経過を時系列で確認していきます。
ただし、 不登校、転校、保健室登校、対人関係の困難などがあれば、 それだけで障害年金が認められるという意味ではありません。
実際の障害年金では、 診断書、初診日、病歴、現在の日常生活状況や就労状況などを踏まえて判断されます。
20歳前傷病なら、中学・高校時代を全部細かく書く必要がある?
「20歳前傷病だから、出生時や小学校時代から全部詳しく書かなければいけない」 と考える必要はありません。
傷病や初診時期によって、 どこからどの程度書くかは異なります。
また、日本年金機構では、 20歳前に初診日がある方のうち、 一定の場合について 病歴・就労状況等申立書の病歴状況の記載を簡素化できる取扱いも案内しています。
たとえば、 生来性の知的障害の場合には、 出生時から現在までについて、 特に大きな変化があった場合を中心に、 1つの欄にまとめて記載できる取扱いがあります。
また、20歳前傷病について初診日証明手続の簡素化を利用する場合には、 発病から、受診状況等証明書を発行した医療機関の受診日までの経過を、 1つの欄にまとめて記載できる取扱いがあります。
ただし、証明書を発行した医療機関の受診日以後については、 通常どおり、受診医療機関等ごとに経過を整理する必要があります。
そのため、 「20歳前傷病なら全員が同じ書き方」 というわけではありません。
まず確認したいのは、 傷病の種類、発病時期、初診日、 受診状況等証明書や診断書の内容です。
20歳前傷病で初診日の証明が難しい場合については、こちらで解説しています。
中学・高校時代に整理したい7つの項目
中学・高校時代について何を書けばよいか分からない場合は、 次の7つの視点で整理すると分かりやすくなります。
| 整理する項目 | 確認する内容の例 |
|---|---|
| 症状・困りごと | 不安、気分の落ち込み、不眠、集中困難、対人関係の困難、感覚過敏、こだわりなど |
| 出席・通学状況 | 欠席、遅刻、早退、登校しぶり、不登校、保健室登校、別室登校など |
| 学習・学校生活 | 授業への参加、提出物の管理、集団活動、学校行事、学習上の支障など |
| 友人関係・集団生活 | 孤立、対人トラブル、いじめ、会話や意思表示の難しさ、集団場面での不安など |
| 家族・学校の支援 | 家族の送迎・起床支援、担任・養護教諭との面談、学校での配慮など |
| 受診・未受診 | 医療機関、診断、服薬、通院中断、受診していなかった理由など |
| 大きな変化 | 転校、通信制・定時制への変更、休学、退学、入院、救急受診など |
これらは、 「該当項目が多いほど障害年金が認められやすい」 というチェックリストではありません。
あくまで、 当時の状態を具体的に整理するための視点です。
受診していなかった中学・高校時代はどう書く?
中学・高校時代に症状や困難があっても、 精神科や心療内科を受診していなかったというケースはあります。
この場合、 「受診していないから、その期間は書かなくてよい」 ということではありません。
日本年金機構の申立書では、 医療機関を受診していなかった期間についても 「受診していない」を選択して、 その期間の状況を記載する様式になっています。
未受診期間では、たとえば次の点を整理します。
- 医療機関を受診していなかったこと
- なぜ受診していなかったのか
- 当時どのような症状・困難があったのか
- 学校生活や家庭生活にどのような影響があったのか
- 家族や学校がどのように対応していたのか
記載イメージ
中学2年頃から朝起きることが難しくなり、 欠席や遅刻が増えた。 教室へ入ることへの不安もあり、 保健室で過ごすことがあった。
当時は本人・家族ともに精神科等への受診が必要という認識がなく、 医療機関は受診していなかった。 母が毎朝起床を促し、 担任や養護教諭と連絡を取りながら登校を支援していた。
※上記は書き方のイメージです。 実際の申立書では、本人の事実関係に沿って記載する必要があります。
通院していなかった期間の整理については、 次の記事でも詳しく解説しています。
「普通に通学できた時期」は書かなくてよい?
申立書を作っていると、 「比較的元気だった時期を書くと不利になるのではないか」 と心配になる方もいます。
しかし、 実際に安定していた時期があるのであれば、 その事実も経過の一部です。
たとえば、
- 比較的安定して通学できていた時期
- 部活動に参加できていた時期
- 友人関係が比較的安定していた時期
- 転校後に状態が改善した時期
などがあれば、 事実に沿って整理します。
一方で、 「学校には通えていた」という事実だけでは 当時の生活実態が十分に分からないこともあります。
たとえば、
- 家族に毎朝何度も起こしてもらっていた
- 送迎がなければ通学できなかった
- 学校では何とか過ごしていたが、帰宅後は寝込んでいた
- 少人数や配慮のある環境では通学できた
- 特定の授業や集団場面には参加できなかった
といった事情があれば、 その実態も合わせて整理します。
「不利になりそうな事実は書かない」 「診断書に合わせるために過去の状態を強く書き換える」 といった整理は避けましょう。
学校資料、医療資料、その後の就労歴などとのつながりも意識しながら、 事実に沿って記載することが大切です。
不登校・保健室登校・転校はどう整理する?
不登校、保健室登校、別室登校、転校などがあった場合は、 その出来事だけを書くのではなく、 「なぜそうなったのか」「その前後で状態がどう変化したのか」 を整理すると分かりやすくなります。
たとえば不登校であれば、
- いつ頃から欠席が増えたのか
- どの程度の頻度だったのか
- 朝起きられない、不安が強い、対人関係が難しいなどの事情があったか
- 保健室や別室なら登校できたのか
- 家族や学校はどのような対応をしていたのか
といった点を確認します。
転校した場合には、
- 転校した時期
- 転校した理由
- 全日制・通信制・定時制など学校形態の変化
- 転校後に状態が改善したのか、困難が続いたのか
- 卒業までにどのような支援が必要だったのか
を時系列で整理します。
「通信制高校だったから重い」 「全日制高校を卒業できたから軽い」 と一律に判断できるものではありません。
学校形態だけでなく、 その環境の中で実際にどのような生活を送っていたのかを見ることが大切です。
家族や学校から受けていた支援はどこまで書く?
学生時代の状態を整理する際には、 本人が「できた・できなかった」だけでなく、 その生活が誰かの支援によって成り立っていたのか も確認したいところです。
たとえば、
- 家族が毎朝起こしていた
- 家族が学校まで送迎していた
- 提出物や時間割を家族が管理していた
- 家族が学校との連絡を継続して行っていた
- 担任や養護教諭が登校方法を調整していた
- 保健室・別室利用などの配慮があった
- スクールカウンセラー等との面談があった
などです。
本人にとっては当たり前になっていて、 「支援されていた」と認識していないこともあります。
そのため、 家族に当時の様子を確認することで、 初めて分かることもあります。
中学・高校時代のことを、申立書にどこまで書けばよいか迷っていませんか?
「昔のことで本人がよく覚えていない」 「受診していない期間が長い」 「不登校ではなかったが、家族の支援が多かった」 「転校・通信制高校・休学などをどう書けばよいか分からない」 という場合は、 申立書を書き始める前に時系列を整理すると分かりやすくなります。
こもれび社労士事務所では、 診断書、受診状況等証明書、学校生活、家族からの聞き取りなどを確認しながら、 発病から現在までの経過を整理しています。
全国対応。LINEからご相談いただけます。
書類の写真・PDFや、箇条書きの説明からでも大丈夫です。
自傷・過量服薬・救急受診があった場合はどう書く?
学生時代に、 自傷行為、過量服薬、救急受診、入院などがあった場合は、 それらも病歴を整理するうえで重要な出来事になることがあります。
ただし、 申立書に行為の方法や状況を必要以上に細かく再現する必要はありません。
整理したいのは、
- いつ頃の出来事だったのか
- その頃どのような状態だったのか
- 医療機関の受診・救急搬送・入院があったのか
- 家族や学校がどのように対応したのか
- その後の受診・治療にどうつながったのか
といった経過です。
記憶だけで書くのではなく、 当時の診療録、救急受診歴、家族の記録などが確認できる場合は、 それらも参考にして時系列を整理します。
中学・高校時代から現在の障害状態までをどうつなげる?
学生時代の申立書で大切なのは、 「昔こんなことがありました」と出来事を並べるだけではありません。
その後の経過とのつながりを意識します。
学生時代の症状・困難
↓
学校や家族から受けていた支援
↓
進学・就職・通院の変化
↓
現在の日常生活・就労上の困難
たとえば、
- 学校で見られた対人関係の困難が、就職後にも続いた
- 学生時代は家族の支援で生活できていたが、成人後も生活管理に援助が必要だった
- 受診・服薬によって改善した時期があった
- 環境が変わると状態が悪化する傾向が続いた
など、 時期ごとの変化をつないでいくと、 病歴全体が分かりやすくなります。
発病日の考え方については、 次の記事で詳しく解説しています。
障害年金の「発病日」とは?初診日との違い・診断書ごとに日付が違う場合を解説
認定日頃と現在の診断書で病名が違う場合はこちらをご覧ください。
中学・高校時代のことを正確に覚えていない場合はどうする?
20歳前傷病の請求では、 中学・高校時代から10年、20年以上経過していることもあります。
そのため、 本人だけでは当時のことを正確に思い出せないケースも珍しくありません。
この場合は、 記憶だけで無理に断定せず、 確認できる資料や周囲の記憶を整理します。
たとえば、
- 通知表
- 出席記録
- 学校からの連絡資料
- 母子手帳
- 当時の診療録
- お薬手帳
- 家族の日記や手帳
- 当時のメールやメッセージ
- 家族の記憶
などが手掛かりになることがあります。
覚えていない年月日を推測だけで断定したり、 受給に有利そうな経過へ作り替えたりすることは避けましょう。
分かる資料を確認しながら、 確認できる範囲で時期や状態を整理することが大切です。
20歳前傷病の中学・高校時代と申立書についてよくある質問
Q.20歳前傷病なら、中学・高校時代を必ず書く必要がありますか?
傷病の発病時期や初診日によって異なります。 病歴・就労状況等申立書では、 発病から現在までの経過を期間をあけずに整理することが基本です。
そのため、中学・高校時代が発病後の期間に含まれる場合は、 その時期の状態を整理することになります。
Q.中学・高校時代に受診していません。何を書けばよいですか?
受診していなかった事実だけでなく、 その期間の症状、学校生活、日常生活、家族や学校の支援、 受診していなかった理由などを整理します。
Q.不登校ではありませんでした。学生時代は書かなくてもよいですか?
不登校だったかどうかだけで判断するものではありません。
通学できていても、 家族の支援、学校での配慮、対人関係、帰宅後の状態などに 困難があったケースもあります。 反対に、本当に安定して生活できていた時期であれば、 その事実も経過として整理します。
Q.通信制高校や定時制高校に通っていたことは書くべきですか?
学校形態の変更が病歴や生活状況の変化と関係している場合は、 転校・進学の時期や理由、 変更後の状態などを整理すると分かりやすくなります。
ただし、 通信制・定時制だったという事実だけで 障害の程度が決まるものではありません。
Q.成績がよく、高校も卒業できています。障害年金は難しいですか?
成績や卒業の有無だけで、 障害年金の可否を一律に判断することはできません。
学校生活をどのように送っていたのか、 どのような支援があったのか、 現在の日常生活や就労状況がどうなっているのかなど、 個別の事情を確認します。
Q.家族の援助はどこまで書けばよいですか?
起床、通学、服薬、予定管理、学校との連絡、 生活面の声掛けなど、 本人の学校生活・日常生活を支えるために 実際に行われていた援助を具体的に整理します。
Q.自傷や救急受診があったことも書いた方がよいですか?
病歴上重要な出来事であれば、 時期、当時の状態、受診や搬送の有無、 その後の治療経過などを必要な範囲で整理します。
方法や状況を必要以上に細かく記載することが目的ではありません。
Q.昔のことをほとんど覚えていません。
本人の記憶だけで無理に書く必要はありません。
学校資料、医療記録、家族の記憶などを確認しながら、 確認できる範囲で時期と経過を整理します。
20歳前傷病の申立書で、学生時代をどう書けばよいか分からない方へ
20歳前傷病の障害年金では、 申立書を作り始めてから、
- 中学・高校時代をどこまで書けばよいか分からない
- 当時は受診していない
- 不登校ではなかったが、家族の援助が多かった
- 通信制・定時制・転校などの経過がある
- 昔のことを本人がほとんど覚えていない
- 診断書の内容と学生時代の経過をどうつなげればよいか分からない
- 発病日や初診日の整理も自信がない
といった疑問が出てくることがあります。
このような場合は、 いきなり文章を書き始めるより、 学校生活・受診歴・家族からの支援・症状の変化を 時系列に並べてから申立書へ落とし込む 方が整理しやすくなります。
中学・高校時代から現在までの経過を、一緒に整理しませんか
こもれび社労士事務所では、 診断書、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書、 学校生活や家族からの聞き取りなどを確認しながら、 発病から現在までの経過を整理します。
診断書の内容を認定されやすい表現へ変更することや、 医師の医学的判断をこちらから指定することはありません。
「昔のことなので、何から確認すればよいか分からない」 という段階からでもご相談いただけます。
全国対応。LINEでご相談いただけます。
書類の写真・PDF・スクリーンショットや、
短い文章・箇条書きからでも大丈夫です。
参考資料
※本記事は、日本年金機構が公開している資料をもとに、 20歳前傷病の障害年金請求における 病歴・就労状況等申立書の学生時代の整理方法について 一般的に解説したものです。 不登校、転校、家族の援助、学校での配慮など 特定の事情があることだけで障害年金の受給可否が決まるものではありません。 実際の取扱いは、傷病、初診日、診断書、 発病から現在までの経過、日常生活状況、就労状況、 提出資料等によって異なる場合があります。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
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