労災扱いで病院が傷病手当金の申請書を書いてくれないときの確認手順

「労災として治療を受けているため、傷病手当金の申請書には記載できません」
病院からこのように言われ、休業中の生活費をどうすればよいのか、不安になっている方もいると思います。
労災の休業給付について、労働基準監督署の支給決定が出るまで時間がかかる場合があります。その間に傷病手当金を申請できないかと考えることは、自然なことです。
ただし、病院が傷病手当金の書類を作成しないからといって、先に労災扱いを取り消したり、別の医療機関へ書類の作成だけを依頼したりすることは、慎重に考える必要があります。
- 病院が傷病手当金の申請書を書かない具体的な理由を確認する
- 労災の様式第8号がどこまで進んでいるか整理する
- 労災の支給決定前に傷病手当金を申請できるか、加入先の健保へ確認する
- 健保の回答を病院の医事課・文書受付へ伝えて再相談する
- 健保と病院の確認前に、労災扱いだけを取り消さない
この記事では、労災扱いを理由に病院が傷病手当金支給申請書を書いてくれない場合に、何をどの順番で確認すればよいかを解説します。
動画で解説|病院が傷病手当金を書いてくれないとき
病院から「労災扱いなので傷病手当金の書類は書けません」と言われた場合に、 健保や病院へ何を確認すればよいのか、労災の取扱いを取り消す前の注意点とあわせて動画で解説しています。
病院が傷病手当金の書類を書かない主な理由
傷病手当金は、原則として業務外の病気やけがにより仕事に就くことができない場合の生活保障です。一方、仕事または通勤が原因となった病気やけがは、労災保険の対象として扱われます。
医療機関が同じ傷病を労災として取り扱っている場合には、業務外傷病としての証明との整合性や、労務不能についての医学的判断の観点から、傷病手当金支給申請書への記載が難しいと案内されることがあります。
ほかにも、次のような理由が考えられます。
- 医師が、申請対象期間の労務不能を医学的に証明できないと考えている
- 申請対象期間中の受診状況や症状経過を十分に確認できない
- 受付段階で「労災なら傷病手当金は不可」と案内されている
- 病院内で、医師・医事課・文書受付の取扱い確認が必要になっている
受付で断られた場合でも、それが医師や医事課・文書受付としての最終的な取扱いとは限りません。
「労災扱いだから記載が難しい」のか、「労務不能と判断できない」のか、「対象期間の診療状況を確認できない」のかを、できる範囲で確認しましょう。
最初に確認したい労災の様式第8号
業務上の傷病による休業については、原則として様式第8号を使用して、休業補償給付と休業特別支給金を請求します。
病院が治療費を労災扱いにしていても、休業給付の手続まで自動的に進むわけではありません。傷病手当金の書類の問題とあわせて、次の点を確認しましょう。
- 様式第8号を病院へ渡したか
- 医師の証明欄を記載してもらえるか
- 会社の事業主証明欄は記載されているか
- 対象となる休業期間はいつからいつまでか
- 休業中に賃金の支払いがあったか
- 労働基準監督署へ提出済みか
休業補償給付を請求する様式第8号では、休業特別支給金も原則としてあわせて申請します。治療費の労災扱いと、休業給付の請求状況は分けて整理することが大切です。
傷病手当金と労災は「申請」と「受給」を分けて考える
労災の休業給付が未決定で、生活費に不安がある場合には、傷病手当金の申請を受け付ける取扱いがあるか、加入先の協会けんぽまたは健康保険組合へ確認することが考えられます。
ただし、同じ傷病・同じ休業期間について、労災の休業給付と傷病手当金を重ねて満額受給することはできません。傷病手当金が先に支給され、その後に同じ期間の労災給付が決定した場合には、返還や支給額の調整が必要になることがあります。
| 状況 | まず確認すること |
|---|---|
| 労災の休業給付が未決定 | 傷病手当金の申請を受け付ける取扱いがあるか、加入健保へ確認します。 |
| 病院が療養担当者欄を書かない | 記載しない理由と、健保が求める医師の証明・追加書類の有無を確認します。 |
| 傷病手当金が先に支給された | 後から同じ期間の労災給付が決定した場合、返還や支給額の調整が必要になることがあります。 |
同時申請、返還・調整、無給期間を避けるための考え方は、次の記事で詳しく解説しています。
病院が書いてくれない場合の確認手順
まず、「労災扱いとの整合性のため」なのか、「医師が労務不能と判断していない」のか、「対象期間の診療状況を確認できない」のかを確認します。
協会けんぽまたは健康保険組合へ、労災の休業給付が請求中または準備中で、まだ支給決定が出ていないことを伝えます。
傷病手当金の申請を受け付けるか、療養担当者欄の記載が必要か、追加の申立書や照会書類があるかを確認します。
健保から申請を受け付けるとの回答があれば、問い合わせ日、担当部署、担当者名、回答内容を控え、病院の受付だけでなく医事課または文書受付へ伝えて再相談します。
傷病手当金は、通常、療養担当者の意見を前提に判断されます。病院の記載が得られない場合には申請自体が難しくなることがあるため、保険者へ申請の可否、必要な医師の証明、追加資料の要否を確認します。
健保へ確認するときの伝え方
加入している協会けんぽまたは健康保険組合へ、次のように伝えると状況を説明しやすくなります。
電話で確認した場合は、後から病院へ説明できるよう、次の事項をメモしておきましょう。
- 問い合わせた日
- 担当部署・担当者名
- 傷病手当金の申請を受け付けるか
- 療養担当者の記載が必要か
- 追加書類の有無
- 労災給付が決定した場合の申告・調整方法
労災扱いを取り消す前に確認すること
「職場を責めたくない」「復職後の関係を悪くしたくない」という気持ちから、労災扱いを取り消して健康保険や傷病手当金だけで進めたいと考える方もいます。
しかし、労災保険と健康保険は、ご本人や会社の希望だけで自由に選べる制度ではありません。業務上または通勤による傷病に該当する場合には、原則として労災保険の対象になります。
労災扱いを取り消したからといって、健康保険への切替えや傷病手当金の支給が当然に認められるわけではありません。
健保と病院の確認が取れないまま、先に労災扱いだけを取り消すことは避けましょう。
労災の手続を進めることは、必ずしも会社を非難したり、損害賠償を請求したりすることを意味しません。業務との関係で生じた傷病について、治療費や休業中の補償を求めるための制度上の手続です。
整骨院・鍼灸院で代わりに書いてもらえる?
整形外科で書類の記載が難しいと言われると、整骨院や鍼灸院で代わりに記載してもらえないかと考える方もいます。
ただし、傷病手当金では、労務不能期間などについて医師等の意見が問題になります。柔道整復師の意見書が扱われる場面もありますが、傷病の種類、施術内容、施術者の資格、加入健保の取扱いによって異なります。鍼灸師・柔道整復師の記載だけで申請できると決めつけず、事前に加入健保へ確認してください。
健保から受け付け可能との明確な回答を得てから、整骨院・鍼灸院へ相談するのが安全です。
病院・健保・労基署の説明が違うときは
傷病手当金と労災が関係するケースでは、病院、会社、健保、労働基準監督署から、それぞれ異なる説明を受けることがあります。
そのような場合は、誰か一人の説明だけで労災を取り消したり、申請を諦めたりせず、次の情報を並べて整理することが大切です。
- 傷病名と初診日
- 症状が出た経緯
- 休業開始日と現在の就労状況
- 休業中の賃金支払い
- 様式第8号の提出状況
- 病院が傷病手当金の書類を書かない理由
- 健保から受けた回答
電話で確認した場合は、問い合わせ日、担当部署、担当者名、回答内容をメモしておくと、その後の説明がしやすくなります。
まとめ
- 病院が傷病手当金の書類を書かない場合は、まず具体的な理由を確認する
- 治療費の労災扱いと、様式第8号による休業給付の手続状況を分けて整理する
- 労災の支給決定前に傷病手当金を申請できるかは、加入健保へ確認する
- 健保の回答を病院の医事課・文書受付へ伝えて再相談する
- 整骨院・鍼灸院の記載で足りるかも、先に健保へ確認する
- 健保と病院への確認前に、労災扱いだけを取り消さない
傷病手当金と労災が重なる場面では、「どちらが得か」だけではなく、現在の治療、休業、賃金、申請状況を整理したうえで、手続の順番を考える必要があります。
何から確認すればよいか分からない方へ
病院から書類を断られた場合や、労災の決定を待つ間の生活費が不安な場合は、現在の手続状況を整理するところからご相談いただけます。
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参考資料
※本記事は一般的な制度と確認手順を解説したものです。実際の支給可否や必要書類は、傷病、休業、賃金、診療状況、加入する健康保険などによって異なります。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
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※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です


