傷病手当金の⑤欄はどう書く?労災申請予定の場合の記載方法と注意点【業務上と書いても大丈夫?】

傷病手当金の⑤欄と労災申請予定時の記載方法を解説するイラスト

「業務上と書いたら、傷病手当金がもらえなくなるのでしょうか」

労災申請を検討されている方から、実際によくいただくご質問です。

仕事が原因で体調を崩したと思っていても、傷病手当金支給申請書では 「業務上」と書くべきか、「業務外」と書くべきか迷う方は少なくありません。

特に、パワハラ・長時間労働・職場での事故・精神疾患のケースでは、 「業務上と書くと支給が止まるのではないか」と不安になることがあります。

この記事では、傷病手当金支給申請書の⑤欄について、 労災申請を予定している場合の記載方法と注意点を、社会保険労務士の視点から整理します。

この記事で分かること

  • 「業務上」と書くと傷病手当金はもらえないのか
  • 労災申請予定の場合、⑤欄をどう考えればよいか
  • ⑤-1・⑤-2の記載イメージ
  • 「業務外」と書いてしまってよいのか
  • 精神疾患の労災申請で特に注意したい点
  • 労災認定後の返納・調整の考え方

まず確認したいのは傷病手当金支給申請書の⑤欄です

労災申請を予定している方が、傷病手当金支給申請書で特に注意したいのは、 「⑤ 療養のため休んだ原因」の部分です。

協会けんぽの申請書では、⑤欄において 「⑤-1 傷病の原因」と「⑤-2 労働災害、通勤災害の認定を受けていますか。」を確認する形式になっています。

傷病手当金支給申請書の⑤欄(業務上・通勤災害・労災請求中の記載箇所)
傷病手当金支給申請書の⑤欄です。労災申請を予定している場合は、 ⑤-1「傷病の原因」と⑤-2「労働災害・通勤災害の認定状況」の記載方法を確認しておきましょう。

赤枠部分が今回の記事で解説する⑤欄です。 実際のご相談でも、この部分の記載方法についてご質問をいただくことがあります。

  • ⑤-1 傷病の原因(業務上・通勤途中など原因を選択)
  • ⑤-2 労働災害・通勤災害の認定状況(請求中・認定済みなどを記載)

「業務上」と書くと傷病手当金はもらえないのでしょうか?

結論からいうと、「業務上」と書いたからといって、その時点で必ず傷病手当金が支給されなくなるわけではありません。

協会けんぽの申請書・記入例でも、⑤-1に「仕事中(業務上)での傷病」、⑤-2に「請求中( 労働基準監督署)」と記載する欄が用意されており、 労災請求中であることを前提に記載する場面が想定されています。

ただし、仕事中や通勤途中の病気・けがについては、原則として労災保険の対象となる可能性があります。 そのため、傷病手当金と労災との関係を正しく整理したうえで記載することが大切です。

つまり、 「業務上と書いたら即アウト」ではなく、「労災との関係を正しく整理して書く」 という考え方になります。

労災申請予定の場合の⑤-1の書き方

⑤-1では、今回の傷病の原因を選択します。

仕事中の事故、職場での強い心理的負荷、パワハラ、長時間労働などが原因と考えられる場合には、 「仕事中(業務上)での傷病」を選択することになります。

通勤途中の事故などが原因であれば、 「通勤途中での傷病」を選択します。

⑤-1の記載イメージ

仕事中の出来事・パワハラ・長時間労働などが原因と考えられる場合
→ 「仕事中(業務上)での傷病」

通勤途中の事故などが原因の場合
→ 「通勤途中での傷病」

労災申請予定の場合の⑤-2の書き方

⑤-2では、労働災害・通勤災害の認定状況を記載します。

協会けんぽの申請書では、すでに労災申請をしている場合や、これから労災申請を予定している場合には、 「請求中」と記載することが想定されています。 ただし、健康保険組合などでは取扱いが異なる場合がありますので、加入している保険者へ確認すると安心です。

そして、かっこ内には、労災申請書類を提出する予定の 労働基準監督署名を記載します。

⑤-2の記載イメージ

⑤-2:請求中
かっこ内:〇〇労働基準監督署

提出先がまだ確定していない場合は、勤務先所在地を管轄する労働基準監督署を確認しておくとよいでしょう。

実際にあったご相談と協会けんぽ確認の実例

実際のご相談でも、労災申請を予定している方から、 次のようなご質問をいただくことがあります。

業務上での傷病なので、そのように記載したいと思っています。
ただ、業務上を選択した場合、労災扱いとなり、傷病手当金の支給が遅くなるのではないかと心配しています。

このような場合、まず大切なのは、 支給の早さだけを理由に、事実と異なる記載をしないことです。

実際にご相談いただいたケースでは、加入先の健康保険は協会けんぽ神奈川支部でした。 協会けんぽへ確認したところ、労災申請予定であっても、⑤-1を「仕事中(業務上)での傷病」、⑤-2を「請求中」とし、 かっこ内に提出予定の労働基準監督署名を記載する形で申請可能との案内がありました。

このケースでは、提出予定の監督署名として「〇〇労働基準監督署」を記載する方向で整理できました。 読者にとって大切なのは、 「業務上と書いてはいけない」のではなく、 事実に沿って書いたうえで、保険者の運用も確認しながら進める という点です。

一方で、健康保険組合によっては、労災申請中の取扱いや申請書の記載方法について、個別に確認を求められる場合もあります。 実際には、加入している保険者の案内に従って進めることが大切です。

保険者によって取扱いが異なることがあります

今回は協会けんぽ神奈川支部で確認した実例ですが、 実際の取扱いは、協会けんぽの支部、健康保険組合、共済など、加入している保険者によって異なる場合があります。

そのため、同じような事情でも、 「自分の保険者ではどう扱われるのか」を事前に確認しておくことが重要です。

「業務外」と書いた方が早く支給される?

生活費の不安があると、 「業務上と書くより、業務外と書いた方が早く支給されるのではないか」 と考えてしまうことがあります。

しかし、実際には仕事が原因と考えられるのに、あえて「業務外」と記載することはおすすめできません。

後から労災申請をする場合、 傷病手当金の申請書では「業務外」としているのに、 労災申請では「業務上」と主張することになります。

もちろん、事情を説明できる場合もあります。 ただ、最初から事実に沿って記載しておいた方が、後々の手続き全体としては安全です。

注意点

「早く支給されるかもしれない」という理由だけで業務外と記載すると、 後の労災申請との整合性が問題になることがあります。

精神疾患による労災申請は特に注意が必要です

パワハラ、長時間労働、いじめ、退職強要などを背景とする 適応障害、うつ病、PTSDなどの精神疾患では、 単に「業務上」「業務外」を選ぶだけでは足りません。

精神疾患による労災申請では、少なくとも次の点を整理しておくことが重要です。

  • 発症日
  • 初診日
  • 休職開始日
  • 会社で起きた出来事

傷病手当金の申請書だけを個別に見るのではなく、 後の労災申請、会社への説明、医師の証明内容との整合性まで見据えて整理しておくことが大切です。

労災認定後は傷病手当金の返納・調整が必要になることがあります

傷病手当金と労災保険の休業補償給付は、同じ期間について二重に受け取ることはできません。

協会けんぽの案内でも、別傷病により労災保険から休業補償給付を受給しているかどうかを確認する欄が設けられており、 労災保険から休業補償給付を受けている方は支給決定通知書の写しが添付書類として挙げられています。

そのため、先に傷病手当金を受け取り、その後に労災が認定された場合には、 重複する期間について、傷病手当金の返納や調整が必要になることがあります。

これは「傷病手当金を申請してはいけない」という意味ではありません。 労災の判断には時間がかかることがあるため、生活面を考えながら、傷病手当金と労災申請を並行して整理することが必要になる場合があります。

こんな場合は申請前に確認した方が安全です

次のような場合は、傷病手当金支給申請書を提出する前に、 一度整理しておくことをおすすめします。

  • 会社が労災ではないと言っている
  • パワハラや長時間労働で精神疾患になった
  • 労災申請をするか迷っている
  • 傷病手当金と労災申請を並行したい
  • 業務上・業務外のどちらを選べばよいか分からない
  • すでに「業務外」として提出してしまった
  • どこの労働基準監督署名を書けばよいか分からない
  • 会社の証明欄や医師の証明欄との整合性が不安
  • 加入先の保険者ごとの取扱いが分からない

このようなケースでは、記載内容ひとつで、 後の労災申請との整合性、保険者への説明、返納・調整リスクが変わることがあります。

実際のご相談でも、 「業務上と書くべきか、業務外と書くべきか」 という段階でご連絡いただくことがあります。 申請後に修正や説明が必要になることもあるため、 迷っている段階で確認しておく方が整理しやすいケースは少なくありません。

特に精神疾患の労災申請では、 発症日、初診日、休職開始日、会社で起きた出来事の整理が重要です。 傷病手当金の申請書だけを見て判断するのではなく、 後の労災申請まで見据えて、全体の流れを整えておくことが大切です。

よくある質問

Q. 労災申請予定でも傷病手当金は申請できますか?

労災申請予定・申請中でも傷病手当金を請求できる場合があります。 ただし、加入している協会けんぽや健康保険組合によって取扱いが異なることがありますので、事前に確認しておくと安心です。

Q. 「業務上」と書くと傷病手当金は止まりますか?

「業務上」と書いたことだけで、必ず支給されなくなるわけではありません。 ただし、仕事が原因であれば労災保険が優先されるため、 労災請求中であることや労働基準監督署名を正しく記載することが大切です。

Q. 保険者が協会けんぽ以外でも同じですか?

必ずしも同じとは限りません。 協会けんぽの支部、健康保険組合、共済などによって、実際の確認方法や案内内容が異なる場合があります。 そのため、加入先の保険者へ事前に確認しておくことが安全です。

Q. 支給を早めるために「業務外」と書いてもよいですか?

実際には業務上の出来事が原因と考えられるのに、 支給の早さだけを理由に「業務外」と記載することはおすすめできません。 後から労災申請をする場合、申請内容の整合性が問題になることがあります。

Q. どこの労働基準監督署名を書けばよいですか?

基本的には、実際に労災申請書類を提出する予定の労働基準監督署名を記載します。 提出先が分からない場合は、勤務先所在地を管轄する労働基準監督署を確認します。

Q. すでに「業務外」で提出してしまった場合はどうすればよいですか?

すぐに労災申請ができなくなるわけではありません。 ただし、なぜ業務外と記載したのか、実際の経緯はどうだったのかを整理する必要があります。 労災申請を考えている場合は、早めに確認しておくことをおすすめします。

まとめ:⑤欄は「早くもらうため」ではなく「事実に沿って」書く

労災申請を予定している場合、傷病手当金支給申請書の⑤欄では、 次の点を意識しておくとよいでしょう。

  • 仕事が原因と考えられる場合は、安易に「業務外」としない
  • ⑤-1では、実際の原因に沿って「業務上」または「通勤途中」を選択する
  • 協会けんぽでは、労災申請予定・請求中の場合に⑤-2を「請求中」と整理することが想定されている
  • ただし、健康保険組合などでは取扱いが異なる場合があるため、加入先の保険者へ確認する
  • 提出予定の労働基準監督署名を確認しておく
  • 精神疾患のケースでは、発症日・初診日・休職開始日・出来事の整理を特に重視する
  • 後に労災が認定された場合、傷病手当金との調整・返納があり得る
  • 迷う場合は、申請前に確認してから提出する

大切なのは、「業務上」と書くこと自体を恐れることではありません。

実際の経緯と申請書の内容が矛盾しないように、 傷病手当金と労災申請を一緒に整理しておくことです。

傷病手当金と労災申請の整理で迷っている方へ

こもれび社労士事務所では、 パワハラ・長時間労働・職場での事故などによる労災申請のご相談をお受けしています。

特に、適応障害、うつ病、PTSDなどの精神疾患による労災申請では、 傷病手当金の申請書の書き方だけでなく、 発症時期や初診日、休職開始日、会社で起きた出来事との整合性まで見ながら整理することが重要です。

「傷病手当金の⑤欄をどう書けばよいか不安」
「業務上と書いてよいのか分からない」
「労災申請も考えているが、先に傷病手当金を出してよいか分からない」
「すでに業務外で出してしまったが、あとから労災申請したい」

このような段階でも、申請書のお写真や状況を拝見しながら、一緒に整理できます。

短文・箇条書き・スクリーンショットでも大丈夫です。
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ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

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ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です

「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。

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