ASDがある場合でも労災になることはありますか?仕事による悪化と配慮不足の考え方

ASDの特性がある方が仕事による体調悪化と労災申請について考えているイメージ

「ASDの特性があります」
「職場の人間関係や曖昧な指示がつらく、体調を崩しました」
「配慮を求めても改善されず、精神的に限界になりました」

精神障害の労災申請では、このようなご相談をいただくことがあります。

結論からいうと、ASDがあることだけで、労災申請ができなくなるわけではありません。

大切なのは、ASDという診断名そのものではなく、仕事上の出来事や職場の対応、配慮不足によって精神状態が悪化したといえるかです。

ASDの特性がある場合でも、強い叱責、孤立、曖昧な指示、感覚過敏への配慮不足、配置転換、人間関係の悪化などによって症状が悪化した場合には、労災申請を検討できることがあります。

ASDがあると労災では不利になりますか?

ASDがある場合、労基署では「もともとの特性によるものなのか」「仕事上の出来事によって悪化したのか」が確認されることがあります。

ただし、ASDの診断があること自体で、直ちに労災が否定されるわけではありません。

労災で重要になるのは、

  • 悪化する前はどの程度働けていたか
  • どのような業務上の出来事があったか
  • 会社がASDの特性や体調を把握していたか
  • どのような配慮を求めていたか
  • 相談後に職場環境が改善されたか
  • その後、症状がどのように悪化したか

といった点です。

「特性の問題だから自己責任」とは限りません

ASDの特性がある方は、曖昧な指示、急な予定変更、雑談中心の職場、人間関係の読み取り、感覚刺激などで大きな負担を感じることがあります。

しかし、それだけで「本人の特性の問題」として片づけられるわけではありません。

たとえば、

  • 具体的な指示を求めたのに改善されなかった
  • 苦手な業務や環境について相談していた
  • 音・光・人混みなどへの配慮を求めていた
  • 特性を理由に強く叱責された
  • 職場で孤立させられた
  • 一方的に「協調性がない」「空気が読めない」と扱われた
  • 配置転換や担当変更後に体調が急激に悪化した

といった事情がある場合は、仕事上の心理的負荷として整理できる可能性があります。

障害者雇用や合理的配慮が関係する場合

ASDの特性がある方の中には、障害者雇用で働いている方や、会社に診断名・特性を伝えたうえで勤務している方もいます。

この場合、労災申請では、会社が本人の状態をどの程度把握していたか、どのような配慮をしていたかが重要になることがあります。

たとえば、

  • 診断書や意見書を会社に提出していた
  • 面談で配慮事項を伝えていた
  • 指示の出し方について相談していた
  • 静かな環境や業務量の調整を求めていた
  • 感覚過敏や対人負担について相談していた
  • 相談後も改善されなかった

といった経過があれば、時系列で整理しておくことが大切です。

ASDがあることそのものよりも、会社が知っていた情報に対して、どのような対応をしたかが重要になります。

ASDの特性と仕事による悪化を分けて整理する

ASDがある場合、「もともとの特性」と「仕事による悪化」が混同されやすいことがあります。

そのため、労災申請を考える場合は、

  • 以前からあった困りごと
  • 今回の職場で新たに起きた出来事
  • 会社に相談した内容
  • 配慮を求めた内容
  • 悪化前後の体調の違い
  • 休職・退職に至った時期

を分けて整理することが大切です。

「ASDだから仕方ない」のではなく、職場の出来事や対応によって、どのように状態が変わったのかを見ていく必要があります。

労基署に見られやすいポイント

ASDがある場合、労基署では次のような点を確認する可能性があります。

  • 診断を受けた時期
  • 障害者雇用か一般雇用か
  • 会社がASDの特性を知っていたか
  • 配慮を求めた記録があるか
  • 悪化前の勤務状況
  • 業務上の出来事の内容
  • 症状が悪化した時期
  • 主治医の診断書やカルテの記載
  • 業務外の事情の有無

ここで大切なのは、ASDの診断を隠すことではありません。

むしろ、もともとの特性がある場合ほど、どこまでが特性による困りごとで、どこからが仕事による悪化なのかを分かりやすく整理することが重要です。

悪化前に働けていた事実は重要です

ASDの特性があっても、これまで働けていた時期がある場合、その事実は重要です。

たとえば、

  • 同じ会社で一定期間勤務できていた
  • 以前の部署では大きく体調を崩していなかった
  • 具体的な指示がある環境では働けていた
  • 配置転換後に急に悪化した
  • 特定の上司や職場環境で悪化した
  • 相談後も状況が変わらず限界になった

といった事情があれば、「もともとの特性だけ」とは言い切れない可能性があります。

勤務表、メール、LINE、面談記録、診断書、相談記録などをもとに、悪化前後の違いを整理していくことが大切です。

整理しておきたいこと

ASDの特性がある方が労災申請を検討する場合は、次の点を整理しておくとよいです。

  • ASDの診断を受けた時期
  • 会社に伝えていた内容
  • 障害者雇用か一般雇用か
  • 求めていた配慮の内容
  • 会社の対応
  • 悪化前の勤務状況
  • 悪化のきっかけになった出来事
  • 症状が悪化した時期
  • 休職・退職に至った経過
  • 主治医に伝えている内容

特に、会社に相談した記録や、配慮を求めた経過がある場合は、重要な資料になることがあります。

よくある誤解

ASDがあると、労災は認められませんか?

いいえ、ASDがあることだけで、労災申請ができなくなるわけではありません。

今回の仕事上の出来事や配慮不足によって、精神状態が悪化したといえるかどうかが重要です。

対人関係が苦手だと、自分の問題と見られますか?

対人関係の苦手さがあることだけで、労災申請が否定されるわけではありません。

問題になるのは、会社が特性を知りながら必要な配慮をしなかったのか、過度な叱責や孤立があったのか、相談後も負荷が続いたのかといった点です。

障害者雇用なら、体調悪化は自己責任になりますか?

障害者雇用であることだけで、体調悪化が自己責任になるわけではありません。

会社が状態を把握していたにもかかわらず、必要な配慮をしなかった場合には、重要な確認ポイントになることがあります。

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ご自身のケースで迷う場合

ASDの特性があるケースでは、「診断名」だけで判断するのではなく、仕事上の出来事、会社の配慮、悪化前後の経過を丁寧に整理する必要があります。

「自分の特性のせいだから無理」と決めつけず、仕事による悪化の可能性があるかを確認していくことが大切です。

ASDの特性がある場合でも、仕事による悪化がある場合は労災申請を検討できることがあります。

短文・箇条書き・スクリーンショットだけでも大丈夫です。
状況を確認しながら、どのように整理できるか一緒に考えます。

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既往歴や障害者雇用がある場合の考え方をまとめた記事はこちらです。

もともと病気があった場合でも労災になる? 既往歴・障害者雇用・悪化の考え方まとめ

ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です

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そんな段階でも大丈夫です。

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