障害者雇用で配慮がなく体調が悪化しました。労災になることはありますか?

「障害者雇用で配慮がなく体調が悪化しました。労災になることはありますか?」
このご相談は、精神障害の労災申請で実際に問題になることがあります。
結論からいうと、障害者雇用で働いていた方でも、会社の配慮不足や業務上の出来事によって精神状態が悪化した場合、労災として検討できることがあります。
ただし、「障害者雇用だった」「配慮が足りなかった」というだけで直ちに労災になるわけではありません。
大切なのは、どのような配慮が必要だったのか、会社が何を知っていたのか、実際にどのような出来事で悪化したのかを整理することです。
障害者雇用でも、労災申請の対象になることがあります
障害者雇用で働いている場合でも、仕事が原因で病気が悪化したり、新たに精神障害を発症したりした場合には、労災申請を検討できることがあります。
たとえば、
- うつ病や適応障害の既往がある方
- 発達障害、双極性障害、不安障害などを会社に伝えていた方
- 障害者手帳を提示して採用された方
- 配慮事項を会社に伝えて働いていた方
であっても、業務上の心理的負荷によって状態が悪化した場合には、労災として検討される余地があります。
会社の配慮不足が問題になるケース
障害者雇用では、採用時や面談時に、本人の特性や必要な配慮について会社へ伝えていることがあります。
しかし実際には、次のような対応で体調が悪化することがあります。
- 苦手な業務を繰り返し担当させられた
- 人前で強く叱責された
- 相談しても業務量が調整されなかった
- 配慮事項が現場に共有されていなかった
- 急な配置転換や担当変更があった
- 特性を理解しない言動を受けた
- 休職や退職を促すような対応をされた
このような出来事があり、その後に症状が悪化した場合には、業務との関係を整理することが大切です。
「もともとの病気だから労災にならない」とは限りません
ご相談の中で多いのが、
「もともと精神疾患があるから労災は無理ですよね」
という不安です。
たしかに、既往歴がある場合には、今回の悪化が仕事によるものか、もともとの病気の経過なのかが確認されます。
しかし、既往歴があることだけで、直ちに労災申請が否定されるわけではありません。
重要なのは、
- 入社前や配属前の状態はどうだったか
- 会社は本人の障害や配慮事項を知っていたか
- どのような業務や出来事があったか
- その後、どのように症状が悪化したか
- 受診、休職、退職に至る流れがどうだったか
を分けて整理することです。
ポイント
障害者雇用や既往歴があるからといって、それだけで労災にならないわけではありません。
大切なのは、もともとの状態と、今回の職場での悪化を分けて整理することです。
会社が知っていた内容が重要になります
配慮不足が問題になる場合、会社が何を知っていたのかは重要です。
たとえば、
- 障害者手帳を提出していた
- 診断名や特性を伝えていた
- 採用時に配慮事項を説明していた
- 産業医面談や人事面談で相談していた
- 主治医の意見書や診断書を提出していた
- 業務量や人間関係について繰り返し相談していた
といった事情がある場合、会社が本人の状態や必要な配慮を把握していた可能性があります。
そのうえで、必要な配慮がされず、状態が悪化した場合には、その経過を丁寧に整理することが大切です。
確認しておきたい資料
障害者雇用で配慮不足が問題になる場合、次のような資料が手がかりになることがあります。
- 雇用契約書、労働条件通知書
- 障害者雇用で採用されたことが分かる資料
- 採用時の面談記録
- 配慮事項を書いたメモや書面
- 人事や上司とのメール、チャット、LINE
- 診断書、主治医意見書
- 産業医面談記録
- 勤務表、業務指示、日報
- 体調悪化後の受診記録
ただし、最初から全部そろえる必要はありません。
まずは、どの資料が何を説明するためのものなのかを整理することが大切です。
時系列で整理すると見えやすくなります
障害者雇用で配慮不足や悪化を主張する場合には、時系列の整理がとても大切です。
たとえば、
- いつ障害や配慮事項を会社に伝えたのか
- どのような配慮を求めていたのか
- 実際にはどのような業務を担当したのか
- いつ頃から体調が悪化したのか
- 悪化のきっかけになった出来事は何か
- いつ受診・休職・退職に至ったのか
を整理していきます。
日付があいまいな場合でも、最初は「○月頃」「入社後しばらくしてから」など、大まかな整理で構いません。
後からメール、勤務表、診断書、カレンダーなどを見ながら整えていけば大丈夫です。
労災と障害者雇用の問題は、別々に整理することも大切です
障害者雇用で配慮不足があった場合、労災の問題だけでなく、雇用管理や合理的配慮の問題が関係することもあります。
ただし、労災申請では主に、業務上の出来事や心理的負荷と、精神障害の発症・悪化との関係が確認されます。
そのため、
- 会社の対応が適切だったか
- 合理的配慮が十分だったか
- その対応によって精神状態がどう悪化したか
- 労災認定上、どの出来事として評価されるか
を分けて考えることが大切です。
会社への不満や悔しさをそのまま書くだけでなく、労災申請では「どの出来事が、どのように体調悪化につながったのか」を整理する必要があります。
会社が否定しても、それだけで終わりではありません
会社側が、
「必要な配慮はしていた」
「本人の希望には対応していた」
「業務上の問題ではない」
と説明することもあります。
しかし、会社が否定したからといって、それだけで労災が否定されるわけではありません。
本人側の説明、会社資料、医療記録、勤務実態、相談履歴などを総合的に見て判断されます。
一人で判断しようとしなくて大丈夫です
障害者雇用で働いていた方が、配慮不足や職場対応によって体調を崩した場合、
「自分にも病気があったから仕方ないのでは」
「障害者雇用だから我慢しなければいけなかったのでは」
「会社に迷惑をかけたと思われるのでは」
と自分を責めてしまうことがあります。
しかし、障害者雇用であることや、もともとの疾患があることだけで、労災申請をあきらめる必要はありません。
まずは、入社時の状態、会社へ伝えていた内容、実際の業務、悪化の経過を分けて整理することが大切です。
まとめ
精神障害者の障害者雇用で働いていた方でも、会社の配慮不足や業務上の出来事によって状態が悪化した場合、労災申請を検討できることがあります。
大切なのは、
- もともとの状態と今回の悪化を分けること
- 会社が何を知っていたのかを整理すること
- どのような配慮が必要だったのかを確認すること
- 実際に何が起きたのかを時系列で整理すること
- 診断書や受診経過とのつながりを見ること
です。
「障害者雇用だったから労災は難しいのでは」
「配慮不足で悪化したけれど、どう整理すればよいか分からない」
「会社に伝えていた内容をどう説明すればよいか不安」
そのような段階でも、一人で抱え込まずにご相談ください。
障害者雇用での配慮不足や体調悪化に不安がある方へ
こもれび社労士事務所では、メンタル不調・パワハラ・長時間労働などに関する労災申請について、状況整理からサポートしています。
障害者雇用で働いていた方の配慮不足や悪化についても、会社に伝えていた内容、業務上の出来事、受診経過を分けて整理していきます。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
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※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です



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