【YouTube動画解説】仕事を与えないパワハラで労災認定された事例|メンタル不調との関係を解説

「仕事を外された」
「会議に呼ばれなくなった」
「自分だけ何も任されなくなった」
「事実上、干されているように感じる」
このような状態が続くと、強い不安や孤立感を抱え、メンタル不調につながることがあります。
ただ、暴言や長時間労働に比べると、「干される」「仕事を外される」という扱いは外から見えにくく、自分でも「これで労災になるのだろうか」と迷いやすい問題です。
そこでこの記事では、仕事を与えないパワハラで労災認定が問題になった事例を踏まえながら、どのような点が重視されやすいのかを整理します。
この記事の内容は、動画でも分かりやすく解説しています。「仕事を与えられない」「会議やメール共有から外される」「異動後に孤立した」といった状況が、精神障害の労災でどのように評価されるのかを知りたい方は、あわせてご覧ください。
この記事でわかること
- 仕事を与えないパワハラで労災が問題になる理由
- 認定事例で見られる共通点
- どのような事情があると認定上のポイントになるか
- 自分のケースを整理するときの視点
- 相談前にまとめておきたいこと
仕事を与えないパワハラは、労災で問題になることがあります
メンタル不調の労災では、暴言、叱責、長時間労働だけが問題になるわけではありません。
仕事を外される、役割を奪われる、孤立させられる、周囲から切り離されるといった扱いも、状況によっては強い心理的負荷として評価されることがあります。
精神障害の労災認定では、業務上の出来事を心理的負荷評価表に沿って検討します。パワーハラスメント、仕事上の差別や不利益取扱い、配置転換、退職強要なども、状況に応じて評価対象になります。
「干される」「仕事を与えられない」という一場面だけで直ちに結論が出るわけではありませんが、周囲との比較、期間の長さ、会社の説明、ほかの出来事との重なり方によっては、労災として問題になる可能性があります。
「仕事がない」という一点だけではなく、経過全体で見られます
仕事を外されるケースでは、会社から「たまたま仕事が少なかっただけ」「一時的な業務調整だった」と説明されることがあります。
そのため、労災申請では、単に業務量が減ったことだけでなく、次のような事情を含めて整理することが大切です。
- いつから仕事を外されたのか
- どの業務や担当から外されたのか
- 会議、メール共有、担当案件から外されたか
- 周囲には仕事があるのに、自分だけ仕事がないのか
- 配置転換、降格、退職勧奨などと結びついていないか
- 上司や人事へ相談したが、改善されなかったか
- その後、どのように体調が悪化したか
つまり、「仕事を与えない」という一点だけではなく、その前後を含めた一連の流れが重要になります。
事例1|隔離され、仕事を与えられない状態が続いたケース
代表的な例として、転籍を拒否した社員が人事部預かりのような状態に置かれ、隔離されて仕事を与えられず、読書だけをする日々が続いた事案があります。
この事案では、単に仕事が減っただけでなく、転籍をめぐる働きかけや隔離状態が続く中で、吐き気、頭痛、倦怠感などの症状が現れ、最終的にうつ病と診断され、労災認定に至った事例として紹介されています。
このケースから見えてくるポイントは、次のような点です。
- 実質的に職場で孤立させられていたこと
- 会社の人事対応と一体となって進んでいたこと
- 一時的ではなく、一定期間継続していたこと
- 具体的な症状が現れ、受診に至っていたこと
「席にはいるが仕事がない」「周囲と切り離されている」と感じている方にとって、自分の状況を整理する際の参考になる事例です。
事例2|配置転換後に、徐々に業務から外されたケース
仕事を外されるケースは、最初から露骨な隔離で始まるとは限りません。
人事異動や配置転換の後に、徐々に担当を外される、重要な案件に関われなくなる、会議や情報共有から外されるといった形で進むことがあります。
配置転換そのものに加えて、その後の仕事内容、責任、人間関係、支援体制などの変化も、心理的負荷を評価するうえで重要になります。
たとえば、次のような事情が考えられます。
- 経験のない業務へ突然異動させられた
- 異動後に責任だけが重くなり、十分な支援がない
- 反対に、異動後にほとんど仕事を与えられなくなった
- 実質的な左遷に近い配置転換で、職場内で孤立した
このような事情が重なる場合、単なる人事異動ではなく、一連の強い心理的負荷として評価される余地があります。
事例3|差別的な扱いや、業務からの排除が続いたケース
精神障害の労災では、差別的な扱いや不利益取扱い、業務の遂行から疎外・排除される取扱いも、状況に応じて評価の対象になります。
そのため、仕事を与えないケースでも、背景に差別的な扱い、不利益取扱い、人格を否定するような対応があると、より重要な事情となることがあります。
たとえば、次のような状態です。
- 自分だけ情報共有から外される
- 自分だけ重要な仕事を一切与えられない
- 周囲には通常の仕事があるのに、自分だけ雑務しかない
- 会社へ相談しても改善されず、孤立状態が続く
一つひとつは小さな出来事に見えても、それが継続し、積み重なることで、精神的な負担が大きくなることがあります。
実際によくある相談例|徐々に仕事を外されていったケース
最初は担当業務が少し減っただけでした。
しかし数か月の間に、会議から外され、メール共有から外され、最終的にはほとんど仕事がなくなりました。
上司へ相談しても、「今は任せる仕事がない」と言われるだけで、状況は改善しませんでした。
このようなケースでは、最終的に仕事がなくなった時点だけでなく、いつから何が変わり、どのように排除が進んだのかを時系列で整理することが重要です。
認定事例に共通しやすいポイント
仕事を与えない、業務から外すといったケースでは、次のような事情が重要になりやすいと考えられます。
- 一時的ではなく、一定期間継続している
- 周囲と比べて不自然な扱いがある
- 仕事上の孤立や切り離しが明確である
- 配置転換、退職勧奨、パワハラなどの事情が重なっている
- 会社へ相談しても改善されなかった
- 不眠、食欲低下、通院、欠勤、休職などの経過がある
特に、「なぜそのような扱いになったのか会社から十分な説明がない」「相談しても改善されない」「本人だけが排除される状態が続く」といった点は、状況を整理するうえで重要です。
仕事を外されたからといって、直ちに労災認定されるわけではありません
注意したいのは、仕事を外されたり業務量が減ったりしたからといって、すべてのケースが労災認定されるわけではないことです。
会社側に合理的な業務上の理由がある場合、一時的な業務調整にとどまる場合、本人以外にも同様の取扱いがある場合などは、評価が分かれることがあります。
また、労災申請では、「自分にとってつらかった」という主観だけでなく、同じような立場の労働者にとっても強い心理的負荷となる状況だったかという視点で、客観的な事情を整理する必要があります。
認定事例と完全に同じである必要はありません。
仕事の外され方、継続期間、周囲との比較、会社の対応、体調悪化までの流れを整理することで、自分のケースのポイントが見えてくることがあります。
自分のケースを整理するときの見方
認定事例を読むときは、単に「似た事例があるか」だけでなく、次の視点で自分の状況と比べてみてください。
- 仕事を外されたきっかけは何だったか
- どのくらいの期間続いたか
- 周囲の人との扱いに違いがあったか
- 会議、メール、担当案件、席配置などで孤立があったか
- 上司や人事へ相談したか、その結果どうなったか
- 体調悪化はいつ始まり、いつ受診したか
証拠が少ないと感じる場合でも、今あるメール、チャット、業務分担表、日記、診断書、休職までの経過を時系列に並べることで、申請の見通しが立つことがあります。
残しておきたい資料や記録
仕事を与えられない状態は外部から見えにくいため、日頃の記録が重要になります。
- 業務指示や担当変更が分かるメール・チャット
- 会議の案内や参加者が分かる記録
- 業務分担表、担当一覧、予定表
- 異動辞令、面談記録、人事からの通知
- 上司や人事へ相談した記録
- 毎日の仕事内容や仕事がなかった時間のメモ
- 不眠、食欲低下、動悸などの症状記録
- 診断書、受診歴、休職に関する資料
すべてがそろっている必要はありません。現時点で残っているものを確認し、出来事と体調の変化を結び付けて整理することが大切です。
相談前にまとめておきたいこと
相談する前に、次の内容を箇条書きにしておくと、状況を整理しやすくなります。
- いつから干されている、仕事を外されていると感じたか
- 具体的にどの仕事を外されたか
- 会議や情報共有から外されたか
- 周囲との違いが分かる事情があるか
- 会社へ相談したか、その後どうなったか
- 心療内科や精神科を初めて受診した日
- 診断名や休職の有無
- 現在残っている証拠や資料
きれいな文章にまとめる必要はありません。短文や箇条書きで、「何が起きたのか」を日付順に並べるだけでも十分です。
まとめ|仕事を外された前後の経過を整理することが大切です
仕事を与えられない、担当から外される、孤立させられるといった扱いは、外から見えにくい一方で、受けている本人には大きな負担となります。
実際にも、隔離、配置転換後の業務外し、不利益取扱い、退職を促すような対応などと結び付いて、メンタル不調の労災として問題になった事例があります。
大切なのは、「仕事を与えられなかった」という一点だけでなく、その前後に何が起きていたのかを時系列で整理することです。
証拠が十分にそろっていなくても、今あるメール、メモ、受診歴、休職までの流れを確認することで、労災申請を検討できることがあります。
仕事を与えられない状態では、その出来事だけでなく、会社の対応、孤立の継続、配置転換や退職勧奨との関係、体調悪化までの経過を整理することが、適切な評価につながる第一歩になります。
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配置転換や異動が原因でメンタル不調となった場合の労災認定については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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