もともとうつ病で通院中でも労災になる?|既往歴がある方の「悪化」と労災認定

「もともとうつ病で通院していたから、労災は無理ですよね」
パワハラや長時間労働、配置転換などでメンタル不調が悪化した方から、 このようなご相談をいただくことがあります。
「うつ病の既往歴があると労災は認められないのでは?」 「以前から通院中だった場合は、仕事で悪化しても労災にならないのでは?」 と不安に感じている方も多いかもしれません。
結論からいうと、もともとうつ病などの既往歴がある場合でも、業務によって症状が悪化したと認められれば、労災認定される可能性はあります。
この記事では、うつ病などの既往歴がある方が、仕事によってメンタル不調を悪化させた場合に、労災でどのように考えられるのかを解説します。
もともとメンタル不調があった方でも、すぐに「労災は無理」と決めつける必要はありません。
大切なのは、「以前はどの程度働けていたのか」「仕事上のできごとの後に、どのように悪化したのか」を整理することです。
うつ病などの既往歴があっても、労災認定の対象になる可能性はあります
精神障害の労災では、基本的に 発病または悪化の前おおむね6か月以内に、業務による強い心理的負荷があったか が重要になります。
ここでいう「発病」には、まったく初めてメンタル疾患になった場合だけでなく、 もともとあったうつ病や適応障害などが、業務によって大きく悪化した場合も含まれ得ます。
つまり、
- 以前からうつ病で通院していた
- 過去に休職歴があった
- 抗うつ薬や不安薬を服用していた
- メンタル不調を抱えながら働いていた
という事情があっても、それだけで直ちに労災が否定されるわけではありません。
よくある誤解
「過去にうつ病で休職したことがある」 「精神科へ通院している」 という理由だけで労災が否定されるわけではありません。 実際には、その後どのように働いていたのか、そして業務上のできごとの後にどのような変化があったのかが重要になります。
ポイントは「自然経過を超える悪化」があったか
既往歴がある場合に特に重要になるのが、 その悪化が、もともとの病気の自然な経過を超えるものだったか という点です。
労災の認定基準でも、この「自然経過を超える悪化」かどうかが重要になります。
以前は、もともとのうつ病などの「悪化」は、 ごく例外的な場合を除いて労災として認められにくい運用でした。
しかし現在の認定基準では、 「自然経過を超える悪化」であれば、 業務による心理的負荷との関係を検討する考え方が明示されています。
たとえば、以前から軽い抑うつ症状があり通院はしていたものの、 仕事は続けられていた方が、次のような出来事をきっかけに急激に悪化した場合です。
- 上司からの強い叱責や人格否定が続いた
- 配置転換後に業務量や責任が急激に増えた
- 人員不足により長時間労働が続いた
- 退職を迫られるような言動を受けた
- カスタマーハラスメントや暴言対応が続いた
- 相談しても会社が適切に対応してくれなかった
このような業務上の出来事と、その後の症状悪化に時間的なつながりがある場合、 「もともとうつ病だったから仕方ない」とは限りません。
以前は働けていたのに、業務上のできごとの後から働けなくなった という流れを、時系列で整理することが大切です。
うつ病の悪化が労災認定されやすい方向に働く事情
既往歴がある方の場合、次のような事情があると、業務による悪化を説明しやすくなります。
- 悪化前は、通院しながらも通常勤務ができていた
- 業務上の出来事の後に、欠勤・遅刻・早退が増えた
- 薬の増量や変更があった
- 主治医から休職や就労制限を指示された
- 発病・悪化の直前に、長時間労働やハラスメントがあった
- 家族や周囲から見ても、仕事の出来事以降に明らかに様子が変わった
特に、カルテ・診断書・勤怠記録・LINE・メール・メモなどから、 業務上のできごとと症状悪化の流れが確認できる場合は、整理の余地があります。
反対に、労災認定が難しくなる場合もあります
既往歴があるケースの労災申請は、 一般的な「初めて発病したケース」よりも検討が難しくなることがあります。 特に、次のような場合は業務による悪化と説明するハードルが高くなることがあります。
- 業務上の強い出来事が確認しにくい
- 悪化の時期と仕事上のできごとの時期が離れている
- 家庭問題や経済問題など、業務外の要因が大きい
- 悪化前からすでに就労困難な状態だった
- 医療記録上、業務との関係がほとんど記載されていない
このような場合には、 「業務によって悪化した」と説明するハードルが高くなることがあります。
そのため、既往歴があるケースでは、 単に「つらかった」と書くだけではなく、悪化前後の変化を丁寧に整理すること が重要です。
既往歴がある方ほど、「悪化前」と「悪化後」の比較が重要です
うつ病などの既往歴がある方の労災申請では、 次のような比較が大切になります。
整理すべきポイント
- 悪化前は、どの程度働けていたか
- いつ、どのような業務上のできごとがあったか
- その後、症状がどう変化したか
- 通院内容・薬・診断書の内容に変化があったか
- 欠勤、休職、退職に至った時期はいつか
- 業務外の要因と、業務上の要因をどう切り分けるか
ここを整理せずに申請すると、 「もともとの病気が悪化しただけではないか」 と見られてしまう可能性があります。
反対に、悪化前後の違いを丁寧に示すことで、 業務による心理的負荷が悪化の主な原因だったと説明しやすくなります。
たとえば、このようなケースでは相談の余地があります
次のような方は、すぐに「自分は対象外」と判断せず、 一度状況を整理してみる価値があります。
- 以前からうつ病で通院していたが、仕事は続けられていた
- 上司の叱責やパワハラの後から、症状が急に悪化した
- 配置転換や人員不足の後から、眠れない・出勤できない状態になった
- 長時間労働が続き、通院や服薬だけでは耐えられなくなった
- 会社に相談したが、状況が改善されず悪化した
- 主治医から休職を指示されたが、労災になるのか分からない
既往歴がある場合でも、 「もともとの病気」だけで片づけられるのか、それとも「仕事による悪化」といえるのか は、具体的な経過を見なければ判断できません。
まとめ|既往歴があっても、労災認定をあきらめる必要はありません
もともとうつ病や適応障害などのメンタル不調があった場合でも、 業務による強い心理的負荷によって症状が悪化したのであれば、 労災認定される可能性はあります。
ただし、既往歴があるケースでは、 一般的な申請よりも 「悪化前後の変化」「業務上のできごととの関係」「業務外要因との切り分け」 が重要になります。
「昔からうつ病だから無理」 「通院歴があるから労災にはならない」 と決めつける前に、まずは時系列を整理してみることが大切です。
会社に言う前に、LINEで状況整理できます
こもれび社労士事務所では、パワハラ・長時間労働・配置転換などによる メンタル不調の労災申請について、状況整理を行っています。
もともと通院歴や既往歴がある方でも、 「悪化前はどの程度働けていたか」 「どの出来事の後に悪化したか」 「労災申請でどのように整理できるか」 を一緒に確認できます。
「これは労災になるのか分からない」 「自分のケースは対象外かもしれない」 という段階からでも大丈夫です。
まずは、労災の可能性があるかどうかを一緒に整理します。 会社に話す前の段階でも大丈夫です。
短文・箇条書き・スクショだけでも大丈夫です。
まずは今の状況をLINEで送ってください。
既往歴や障害者雇用がある場合の考え方をまとめた記事はこちらです。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
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