病歴・就労状況等申立書を正確に作成するために、社労士が必ず確認している7つのポイント

障害年金を請求する際に提出する「病歴・就労状況等申立書」について、
- 何を書けばよいのか分からない
- 昔のことを正確に思い出せない
- 受診していない期間をどのように説明すればよいのか不安
- 診断書と内容が食い違わないか心配
と悩まれる方は少なくありません。
病歴・就労状況等申立書は、病気の経過を時系列で並べるだけの書類ではありません。
症状がいつ頃から現れ、学校生活、仕事、日常生活にどのような支障が生じ、どのような支援を受けながら生活してきたのかを、診断書や受診歴と矛盾しない形で整理する書類です。
そのため、正確な申立書を作成するには、「何を書くか」だけでなく、作成前に何を確認しておくかが重要になります。
この記事では、障害年金の病歴・就労状況等申立書を作成する際に、社労士がどのような点を確認しているのか、その理由とともに解説します。
※確認する内容は、傷病名、病歴、請求方法、お手元の資料などによって異なります。
この記事のポイント
病歴・就労状況等申立書は、申立内容を有利に見せるための作文ではありません。診断書、受診歴、ご本人の生活実態を丁寧につなぎ、障害の経過と生活上の困難を正確に伝えるための書類です。
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病歴・就労状況等申立書とは
病歴・就労状況等申立書は、障害年金の請求にあたり、発病から現在までの受診状況、症状の経過、日常生活や就労の状況などを申し立てる書類です。
診断書や受診状況等証明書だけでは十分に伝わりにくい生活上の事情を、経過に沿って整理する役割があります。
医師が作成する診断書には、傷病名、症状、治療内容、日常生活能力などが記載されます。しかし、限られた診察時間の中で、幼少期から現在までの生活状況や、家庭内で受けてきた支援のすべてを診断書に記載することは難しい場合があります。
病歴・就労状況等申立書には、診断書だけでは十分に伝わりにくい次のような事情を補う役割があります。
- 症状が現れた頃の具体的な様子
- 学校生活や対人関係で困っていたこと
- 通院や治療の経過
- 働くうえで受けていた配慮や支援
- 家族が代わりに行っていたこと
- 現在の日常生活で困っていること
したがって、申立書を作成するときは、診断書の内容を繰り返すだけではなく、障害によって実際の生活にどのような支障が生じていたのかを具体的に整理することが大切です。
なぜ申立書を作る前に詳しいヒアリングが必要なのか
病歴・就労状況等申立書には、発病時から現在までの長い経過を記載します。
しかし、ご本人が長年の出来事をすべて正確に覚えているとは限りません。また、ご本人にとっては当たり前になっている家族の支援や生活上の困難が、十分に認識されていない場合もあります。
例えば、次のようなケースです。
- 家族に起こしてもらい、声をかけてもらうことで通学できていた
- 一人暮らしをしていたが、家族が頻繁に訪問して生活を支えていた
- 一般就労をしていたが、業務内容や勤務時間を大幅に調整してもらっていた
- 買い物には行けるものの、混雑する時間帯には外出できなかった
- 服薬や通院予定を家族や支援者に管理してもらっていた
表面的には「通学できた」「一人暮らしができた」「働いていた」と見える場合でも、その背景に継続的な支援や特別な配慮があれば、実際の生活能力や就労能力は異なります。
そのため、こもれび社労士事務所では、資料を確認するだけでなく、状況に応じたヒアリングを行い、見えにくい支援や生活上の支障を一つずつ整理しています。
病歴・就労状況等申立書を作成するために、社労士が確認している7つのポイント
1.症状がいつ頃から、どのように現れたか
最初に確認するのは、症状が現れた時期と、その頃の具体的な生活状況です。
「昔から調子が悪かった」「子どもの頃から困っていた」という説明だけでは、症状がいつ頃から始まり、生活にどのような影響を与えていたのかが十分に伝わりません。
例えば、次のような点を確認します。
- 最初に自覚した症状は何だったか
- 家族が最初に気づいた変化は何だったか
- 症状が現れたのは何歳頃、または学校の何年生頃だったか
- 症状が出始めた頃、学校や家庭でどのような問題が生じたか
- 最初の受診に至ったきっかけは何だったか
発病時期と初診日は、障害年金の請求において重要な事項です。
特に初診日は、原則として最初に医療機関で診療を受けた日を確認する必要があるため、本人の記憶だけに頼らず、診療録、紹介状、お薬手帳、健康保険の記録など、確認できる資料を手がかりに整理します。
一方、学校の記録やご家族の記憶は、症状が現れた時期や、当時の学校生活・家庭生活への影響を整理するための手がかりになります。
確認のポイント
「症状があった」という結論だけでなく、当時どのような行動や生活上の変化があったのかを具体的に確認します。
2.幼少期や学生時代の学校生活
精神疾患、発達障害、知的障害などの請求では、幼少期や学生時代の状況が重要になることがあります。
ただし、確認するのは成績や出席日数だけではありません。
- 友人関係を築くことができていたか
- 集団行動に参加できていたか
- 授業中に落ち着いて過ごせていたか
- 先生の指示を理解して行動できていたか
- 忘れ物や提出物の遅れが多くなかったか
- 欠席、遅刻、早退、不登校がなかったか
- からかいやいじめを受けたことがなかったか
- 進学後に環境へ適応できていたか
学校へ通っていたという事実だけでは、学校生活を問題なく送れていたとは限りません。
本人が強い不安や緊張を抱えながら通学していた場合や、家族や学校の支援によって何とか通学を維持していた場合もあります。
学校生活の確認では、症状や特性が、対人関係、集団生活、学習、通学などにどのような影響を与えていたかを整理します。
3.家族や周囲から受けていた支援
障害年金の申立書では、ご本人が「できていたこと」だけでなく、誰かの支援があったからできていたことを確認することが重要です。
例えば、次のような支援が考えられます。
- 通院への付き添い
- 学校や勤務先への連絡
- 食事の準備
- 入浴や着替えを促す声かけ
- 服薬の準備や確認
- 金銭管理や支払いの代行
- 買い物や役所手続の付き添い
- 部屋の掃除やゴミ出し
- 予定やスケジュールの管理
例えば、「一人暮らしをしていた」という事実があっても、家族が定期的に訪問し、食事、掃除、支払い、通院などを支えていた場合があります。
また、「自分でできる」と話されていても、実際には家族から何度も声をかけてもらったり、失敗した後に家族が対応したりしていることもあります。
支援を受けた結果としてできていたことを、完全に自力でできていたこととして記載しないことが大切です。
4.通院経過と受診していない期間
病歴を整理するときは、医療機関の受診歴を時系列で確認します。
- 最初に受診した医療機関
- 受診のきっかけ
- 当時相談していた症状
- 通院頻度
- 処方されていた薬
- 転院した理由
- 通院を中断した理由
- 受診していなかった期間の生活状況
特に悩まれやすいのが、通院していない期間、いわゆる「受診の空白期間」です。
受診していない期間があることだけをもって、症状がなかったとは限りません。
経済的な事情、外出の困難、医療機関への不信感、病識の乏しさ、家族関係、転居など、受診できなかった事情が存在する場合もあります。
ただし、空白期間について、資料にない理由を推測して記載することは適切ではありません。
次のような事実を確認し、分かる範囲で整理します。
- なぜ受診しなくなったのか
- その期間にも症状は続いていたのか
- 学校や仕事には行けていたのか
- 自宅ではどのように過ごしていたのか
- 家族や周囲の支援を受けていたのか
- 市販薬などを使用していたのか
受診の空白期間がある方へ
空白期間があること自体を隠すのではなく、その期間の症状や生活状況を、確認できる事実に沿って整理することが重要です。
5.就労状況と仕事を続けるうえでの困難
就労歴については、勤務先や勤務期間だけでなく、どのような状態で働いていたのかを確認します。
- 雇用形態や勤務時間
- 担当していた仕事内容
- 欠勤、遅刻、早退の状況
- 仕事上のミスや指示理解の困難
- 上司や同僚との対人関係
- 職場で受けていた配慮
- 家族や支援者による援助
- 休職や退職に至った経緯
「働いたことがある」「一定期間勤務していた」という事実だけで、障害による支障がなかったとはいえません。
例えば、次のような状況で勤務を継続している場合もあります。
- 業務内容を限定してもらっていた
- 勤務時間や勤務日数を短くしてもらっていた
- 上司が繰り返し指示を説明していた
- 同僚がミスを修正していた
- 家族が毎朝起こして送り出していた
- 帰宅後は何もできず、家族に生活全般を支えてもらっていた
就労していたという事実だけではなく、どのような配慮や支援のもとで、どの程度安定して働けていたのかを整理する必要があります。
6.現在の日常生活の実態
現在の日常生活については、「できる」「できない」の二択だけで判断しません。
次のような項目について、実際の状況を確認します。
- 食事の準備と摂取
- 入浴、着替え、歯磨きなどの清潔保持
- 掃除、洗濯、ゴミ出し
- 買い物や外出
- 金銭管理や各種支払い
- 服薬や通院予定の管理
- 役所や医療機関との連絡
- 他人との意思疎通や対人関係
- 睡眠や生活リズム
- 一日の過ごし方
例えば、「買い物に行ける」という場合でも、さらに次のような点を確認します。
- 一人で行けるのか
- 行く店や時間帯が限定されていないか
- 混雑時にも利用できるのか
- 必要な商品を選べるのか
- 予算内で買い物ができるのか
- 店員とのやり取りができるのか
- 体調が悪い日にも安定して行えるのか
一度できたことがあるというだけで、日常的かつ安定してできているとは限りません。
頻度、安定性、失敗した場合の影響、声かけ・見守り・付き添い・代行の有無まで確認することで、実際の日常生活能力が見えやすくなります。
就労継続支援A型・B型事業所などを利用している場合も、通所日数だけではなく、作業内容、職員の支援、欠席状況、対人関係、作業中に困っていることなどを確認します。
7.診断書、受診歴、申立内容の整合性
病歴・就労状況等申立書を作成する際には、診断書や受診状況等証明書など、ほかの提出書類との整合性を確認します。
主に確認するのは、次のような点です。
- 傷病名や症状の経過に不自然な食い違いがないか
- 発病時期と初診日の前後関係が整理されているか
- 転院や終診の時期が受診歴と合っているか
- 就労期間と病状の変化に矛盾がないか
- 診断書の日常生活能力と申立書の内容が大きく食い違っていないか
- 支援を受けてできていたことを、自力でできていたように記載していないか
- 資料で確認できない事実を推測で補っていないか
申立書は、診断書を有利に見せるための作文ではありません。
診断書、受診歴、ご本人やご家族から確認した生活実態を丁寧につなぎ、審査する側が病状の経過を理解できるように補う書類です。
表現を強くすることよりも、確認できる事実を具体的かつ整合的に記載することが重要です。
病歴・就労状況等申立書でよくある3つの誤解
誤解1.病名や症状を書けば十分である
申立書には、病名や症状だけでなく、その症状によって生活にどのような支障が生じたのかを記載する必要があります。
例えば、「不安が強かった」と記載するだけでは、生活への影響が十分に伝わりません。
次のように、具体的な場面を確認します。
- 人の視線が気になり、電車に乗れなかった
- 外出前に何度も確認を繰り返し、予定時刻に間に合わなかった
- 対人不安が強く、学校や職場で会話ができなかった
- 意欲が低下し、入浴や着替えが数日できなかった
症状の名称だけでなく、その症状が日常生活、学校生活、就労にどのような影響を与えたかを整理します。
誤解2.一人暮らしや就労をしていたら障害年金は難しい
一人暮らしや就労の経験があることだけで、障害の状態を判断することはできません。
一人暮らしをしていても、家族や支援者から頻繁な援助を受けている場合があります。また、就労していても、勤務時間、仕事内容、人間関係などについて特別な配慮を受けていることがあります。
重要なのは、生活や就労の「形」だけではなく、実際にどのような支援を受け、どの程度安定して生活や勤務を維持できていたのかです。
誤解3.昔のことを思い出せなければ申立書は作れない
長い病歴がある場合、昔の出来事を正確に思い出すことが難しいのは珍しいことではありません。
そのような場合には、次のような資料を手がかりに整理できることがあります。
- 診療録や紹介状
- お薬手帳や処方記録
- 学校の通知表や出席記録
- 母子健康手帳
- 障害者手帳の申請資料
- 勤務記録や給与明細
- ご家族の記憶
- 福祉サービスの支援記録
思い出せない部分を無理に補うのではなく、資料から確認できること、ご本人が覚えていること、ご家族が覚えていることを分けて整理することが大切です。
ヒアリングでは「正解」を答える必要はありません
障害年金のヒアリングを受ける際に、「うまく答えなければならない」「受給しやすい内容を答えなければならない」と考える必要はありません。
大切なのは、ご本人やご家族が覚えている事実を、分かる範囲で伝えることです。
分からないことについては「分からない」「覚えていない」と答えて構いません。
社労士は、回答をそのまま申立書へ書き写すだけではなく、次のような作業を行います。
- 時系列を整理する
- 重複する内容をまとめる
- 曖昧な点を追加確認する
- 資料との食い違いがないか確認する
- 生活上の支障が伝わる具体的な表現へ整理する
- 診断書や受診状況等証明書との関係を確認する
すべてを一度に思い出す必要もありません。
体調に配慮しながら、分かるところから少しずつ整理していくことができます。
病歴・就労状況等申立書を自分で作成するときの注意点
ご自身で申立書を作成する場合は、次の点に注意してください。
- 病歴を途中で空けずに整理する
- 医療機関名や受診時期をできるだけ確認する
- 症状だけでなく生活への影響を書く
- 就労していた場合は、配慮や欠勤状況も記載する
- 家族や周囲から受けていた支援を書く
- 現在できていることだけでなく、できないことや不安定なことを書く
- 診断書や受診状況等証明書との食い違いを確認する
- 資料にない内容を推測で書かない
また、限られた記入欄へすべてを詰め込もうとすると、かえって経過が分かりにくくなることがあります。
大切なのは、長く書くことではなく、障害の経過、生活への影響、受けてきた支援が読み手に伝わるように整理することです。
こもれび社労士事務所の病歴・就労状況等申立書作成サポート
病歴・就労状況等申立書は、過去のつらい時期を思い出しながら記入しなければならないため、一人で作成しようとすると大きな負担を感じやすい書類です。
特に、次のような場合には、何から整理すればよいのか分からなくなることがあります。
- 幼少期から症状が続いている
- 通院先が複数ある
- 受診していない期間がある
- 初診日がはっきりしない
- 就労と退職を繰り返している
- 本人が昔のことを十分に思い出せない
- 診断書と申立書の内容が合っているか不安
こもれび社労士事務所では、病歴だけでなく、学校生活、就労状況、現在の日常生活、ご家族や支援者から受けてきた援助などを丁寧に確認します。
そのうえで、診断書、受診状況等証明書、紹介状、お薬手帳などの資料と照らし合わせながら、病状の経過と生活上の困難が正確に伝わるように整理します。
申立書を一方的に作成するのではなく、ご本人の体調やペースに配慮しながら、一つひとつ確認して進めています。
まとめ
病歴・就労状況等申立書を正確に作成するためには、単に病歴を時系列で並べるだけでは十分ではありません。
社労士は、主に次の7つの点を確認します。
- 症状がいつ頃から、どのように現れたか
- 幼少期や学生時代の学校生活
- 家族や周囲から受けていた支援
- 通院経過と受診していない期間
- 就労状況と仕事を続けるうえでの困難
- 現在の日常生活の実態
- 診断書、受診歴、申立内容の整合性
申立書は、内容を強く見せるための書類ではありません。
診断書だけでは伝わりにくい生活上の困難や支援の実態を、確認できる事実に基づいて補い、障害の経過を読み手に正確に伝えるための書類です。
すべてを一度に思い出したり、ご自身だけで整理したりする必要はありません。
資料を確認しながら、分かる範囲から少しずつ整理していきましょう。
短時間で要点を確認したい方へ
病歴・就労状況等申立書で大切な考え方を、短い動画にまとめました。本編を見る時間がない方や、記事の内容を振り返りたい方におすすめです。
病歴・就労状況等申立書の作成でお悩みの方へ
病歴・就労状況等申立書の整理や、障害年金の請求準備でお悩みの方は、ご相談ください。
「何から整理すればよいか分からない」
「受診していない期間をどう説明すればよいか不安」
「診断書と申立書の内容が合っているか確認したい」
このような場合は、一人で無理に書き進める前にご相談ください。
LINEで、現在の状況やお手元の資料を確認しながら、次に整理することをご案内します。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
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