会社から連絡が来るのが怖い・返信できない|休職中・パワハラ相談後の会社対応で大切なこと

会社からの連絡が怖い・返信できない休職中の会社対応とパワハラ相談後の記録を示すイメージ

休職中やメンタル不調のとき、 会社からメールや電話が来るだけで怖くなる ことがあります。

特に、パワハラを会社へ相談した後や、 会社とのやり取りをきっかけに体調を崩した場合には、 会社名がスマートフォンに表示されただけで緊張したり、 メールを開くことさえ難しくなったりすることもあります。

「電話に出なければいけないのか」
「返信できないままにして大丈夫なのか」
「パワハラのヒアリングには応じなければならないのか」
「会社とのメールやLINEは保存しておいた方がいいのか」

こうした疑問を抱える方は少なくありません。

先に大切なこと

会社から連絡が来たときの選択肢は、 「無理をしてすぐに答える」か「完全に無視する」かの二つだけではありません。

「連絡は受け取りました。ただ、現在は療養中のためすぐには回答できません」 と伝えたり、電話ではなくメールにしてもらったり、 質問を事前に書面でもらったりする方法もあります。

ただし、休職中だから会社からの連絡をすべて無視してよい、ということでもありません。

休職期間、診断書、社会保険、傷病手当金、復職手続、 ハラスメント調査など、会社から必要な連絡が行われることがあります。 就業規則や提出期限なども確認する必要があります。

※なお、業務上・通勤による傷病として労災保険の対象となる場合は、 健康保険の傷病手当金ではなく、労災保険の休業(補償)等給付との関係を確認する必要があります。

1.休職中でも会社から連絡は来る?

まず押さえておきたいのは、 「休職中だから会社は一切連絡してはいけない」という一律のルールはない ということです。

休職は、すべての会社に共通する一律の法定制度ではなく、 就業規則や労働契約などに基づいて運用されます。

厚生労働省の 「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」でも、 休業中の労働者に必要な情報を提供し、 休業中の連絡方法などを確認することが想定されています。

会社から来る可能性がある連絡

  • 診断書の提出・更新
  • 休職期間や休職期間満了に関する確認
  • 給与・社会保険・住民税などの手続
  • 傷病手当金などの手続
  • 療養状況や復職意思の確認
  • 産業医面談や復職判定
  • パワハラ申告についての事実確認
  • 労災調査に関連する確認
  • 貸与品などに関する必要な確認
「会社から連絡があること」と「休職中に仕事をさせること」は別の問題です。

療養中の人に通常業務を継続させたり、 体調を無視して長時間のヒアリングを繰り返したりする場合には、 その必要性や病状への影響を別途考える必要があります。

2.会社からの連絡に返信できないときはどうする?

メンタル不調の状態では、 会社から届いたメールを読むだけでも大きな負担になることがあります。

このような場合、 すぐに詳しい回答ができなくても、まず「受領したこと」と「今は回答が難しいこと」だけを伝える 方法があります。

返信例

ご連絡ありがとうございます。
内容は受領いたしました。

現在療養中であり、体調の関係ですぐに詳しい回答をすることが難しい状況です。

恐れ入りますが、今後のご連絡は当面メールでお願いいたします。 ご質問がある場合には、可能であれば事前に書面でお送りいただけますと助かります。

内容と体調を確認のうえ、改めて回答いたします。 よろしくお願いいたします。

ポイントは、 「無視しているわけではない」と伝えながら、即答を約束しないこと です。

回答期限が指定されている場合や、 休職期間満了、復職意思、懲戒、退職など重要な事項が含まれている場合は、 そのまま放置せず、期限を確認してください。

3.電話が怖いときは連絡方法を調整できる?

会社から電話が来るたびに強い不安や動悸が生じるのであれば、 単に「連絡しないでください」と伝えるだけではなく、 代わりの連絡方法を具体的に提案する方法があります。

例えば、次のような調整です。

  • 直属上司ではなく、人事担当者1名を窓口にする
  • 電話ではなくメール・書面を基本にする
  • 緊急時以外は電話を控えてもらう
  • 質問をまとめて送ってもらう
  • 回答期限に余裕を設けてもらう
  • 面談前に質問事項と参加者を知らせてもらう
  • 面談時間を短くする
  • 途中休憩を入れる
  • オンラインや書面回答への変更を相談する
例えば

「会社から連絡しないでください」 だけではなく、

「当面の連絡は人事担当者からメールでお願いします。 電話・対面での対応については主治医にも相談したうえで回答します」

というように、 負担の少ない代替方法を具体的に提示すると、 会社側も対応を検討しやすくなります。

連絡や面談によって症状が悪化する場合には、 主治医へ相談し、 連絡・面談の方法について医学的な意見を求めることも考えられます。

主治医は、治療・療養の観点から意見を示す立場であり、 会社との連絡方法や調査手続を最終的に決める立場ではありません。 ただ、電話や面談が症状に与える影響や、 望ましい配慮について相談することには意味があります。

ただし、本人が希望した連絡方法に 会社が必ず従わなければならないと一律にいえるわけではありません。 必要性や手続の内容などを踏まえて調整することになります。

▶ 動画でも解説しています

4.パワハラを申告した後、なぜ会社から詳しく聞かれるのか

パワハラを会社へ相談すると、 会社から詳しい質問やヒアリングを求められることがあります。

被害を訴えた側からすると、 「なぜ私が何度も説明しなければならないのか」 と感じることもあるでしょう。

一方で、事業主にはパワーハラスメントに関する相談体制を整え、 相談があった場合には 事実関係を迅速かつ正確に確認すること などが求められています。

そのため、会社からの質問が、 直ちに相談者を疑ったり責めたりする目的とは限りません。

会社の調査では一般に、

  • 相談者本人
  • 行為者とされる人
  • 目撃者や同席者など必要な第三者
  • メール・チャット・勤怠・録音などの資料

などを確認しながら事実関係を整理していくことがあります。

パワハラを相談したことや、会社の事実確認に協力して事実を述べたことを理由とする不利益な取扱いは禁止されています。

ただし、「相談した内容がすべてそのまま会社に認定される」という意味ではありません。 会社には事実確認を行うことが求められています。

5.面談・ヒアリング前に整理しておきたい7項目

体調が悪い状態で面談を受けると、 その場で質問されても思い出せなかったり、 日付を間違えたりすることがあります。

重要なのは 「即答すること」より「分かる範囲を正確に答えること」 です。

  1. いつ・どこで起きたのか
  2. 誰が、何を言った・したのか
  3. その前後に何があったのか
  4. 目撃者・メール・LINE・録音などはあるか
  5. いつ誰に相談し、会社はどう回答したか
  6. 症状・受診・欠勤・休職がどの順番で起きたか
  7. 会社に何を希望しているのか
分からないことは、分からないままで構いません。

「現時点では正確な日付を確認できません」
「メールを確認して後日回答します」

と答える方法もあります。 記憶だけで日付や発言を断定する必要はありません。

会社から質問事項を事前にもらえるのであれば、 時系列や資料を確認してから面談に臨むことも有効です。

会社が作成した議事録への署名を求められた場合も、 内容を十分確認せずその場で急いで署名するのではなく、 記載内容と訂正方法を確認しましょう。

6.メール・LINE・通知・録音はどう残す?

パワハラ相談や精神障害の労災を検討する場合、 後になって重要になるのは、 「当時、実際に何が残っていたか」です。

資料 残しておきたいもの
メール 原メール、送受信日時、送受信者、添付、スレッド全体、可能ならPDF
LINE・Teams・Slack等 前後の会話を含む履歴、日時、参加者、可能ならエクスポートデータ
会社からの通知書 原本、封筒、受領日、PDF・写真
面談 日時、参加者、質問、回答、保留事項、会社の説明を直後にメモ
録音 編集していない原ファイルを保存し、作業用コピーを別にする
診療関係 診断書、診療明細、処方内容など

スクリーンショットだけで終わらせない

スクリーンショットも資料になり得ますが、 一部分だけでは前後関係が分からなくなることがあります。

可能であれば、

  • 元データ
  • 閲覧しやすいPDF
  • 重要部分のスクリーンショット
  • 何の資料なのかを示す簡単なメモ

を組み合わせて保存すると整理しやすくなります。

証拠を残すためであっても、権限のない会社データへアクセスしたり、営業秘密や第三者の個人情報を無制限に持ち出したりしてよいわけではありません。

会社のアカウントへアクセスできなくなる可能性もあるため、 必要な資料については適法な範囲で早めに整理しておくことが重要です。

録音について

録音は、面談で何が話されたかを確認する資料になり得ますが、 「録音さえあれば必ず勝てる」というものではありません。

面談の性質、就業規則、取得方法、第三者のプライバシーなどによって 問題が生じる場合もあります。

可能であれば録音の可否を確認し、 保存したデータをSNSなどへ外部公開することは別問題として慎重に判断してください。 判断に迷う場合や、提出・公開を考える場合には弁護士へ相談することも検討しましょう。

録音データは編集せず原ファイルを保存し、 作業用コピーと分けて管理することが重要です。

7.なぜ「時系列整理」が重要なのか

労災調査や会社のハラスメント調査では、 一つの資料だけを見るわけではありません。

例えば、

  • 本人の説明
  • 会社の説明
  • 上司・同僚などの説明
  • メールやLINE
  • 勤怠記録
  • 診療録
  • 当時の相談記録

などが相互に確認されることがあります。

そのため、 出来事・会社への相談・症状・受診・休職を一つの時系列に整理する ことには大きな意味があります。

項目 記載例
日時 2026年○月○日/○月頃/日時不明
出来事 上司から○○と言われた
資料 メールNo.3、Teams履歴など
相談 翌日、人事担当者へメール
症状 不眠、動悸など
医療 ○月○日初診
確度 資料で確認/記憶のみ/推定
説明を「有利になるように合わせる」のではありません。

事実として確認できること、 自分の記憶、 推測、 自分がどう受け止めたのかを分けて整理することが重要です。

例えば、

  • 事実:「上司が『辞めたらどうだ』と言った」
  • 受け止め:「退職を求められているように感じた」
  • 推測:「会社は私を解雇しようとしていた」

は、それぞれ違います。

後からメールを確認して日付が違っていたことが判明した場合も、 無理に以前の説明へ合わせるのではなく、 「資料を確認したところ○月○日だったため訂正する」 と理由を残す方が自然です。

8.会社の対応は精神障害の労災でどう見られる?

ここは、パワハラによる精神障害の労災を検討する場合に重要です。

精神障害の労災認定では、 原則として発病前おおむね6か月の間に、 業務による強い心理的負荷が認められるかなどが検討されます。

厚生労働省の精神障害の労災認定基準では、 パワーハラスメントについて、 具体的な言動だけでなく 出来事後の状況も評価の対象になります。

会社へ相談した後の対応も重要になる場合があります。

現行の認定基準では、 一定の身体的・精神的攻撃などについて会社へ相談したものの、 会社が適切に対応せず改善されなかった場合が、 心理的負荷「強」の具体例の一つとして示されています。

そのため、

  • いつ会社へ相談したか
  • 誰が相談を受けたか
  • 会社がいつ調査を始めたか
  • 行為者との接触を避ける措置があったか
  • 配置や業務がどう変わったか
  • 会社からどのような回答があったか
  • 相談後も行為が続いたか
  • 症状がいつ出現・悪化したか

を残しておくことには意味があります。

会社の対応が悪かっただけで労災になるわけではありません。

精神障害の発病時期、具体的な業務上の出来事、 その心理的負荷、業務外の要因などを含めて総合的に判断されます。

録音がなくても直ちに諦める必要はない

裁判例では、 録音や映像だけでなく、 診療録、出来事当時のSNSへの投稿、 家族や友人へ当時説明していた内容、 職場の客観的な状況などを照合して 事実認定が行われた例があります。

重要なのは、 一つの「決定的証拠」を探すことだけではなく、当時の複数の資料を保存しておくこと です。

9.会社からの連絡自体がつらいとき

会社からの連絡を見るだけで症状が悪化する場合には、 そのこと自体を 連絡方法を見直すための情報 として伝えることも考えられます。

例えば、

  • スマートフォンの通知を切る
  • 決めた時間だけメールを確認する
  • 会社内の連絡窓口を一本化する
  • 電話ではなく書面にしてもらう
  • 質問をまとめてもらう
  • 面談時間を短くする
  • 主治医に会社との連絡負担について相談する
  • 家族や専門家に資料整理を手伝ってもらう

といった方法があります。

家族を窓口にする場合

本人の負担が大きい場合、 本人の意思に基づいて家族などに 連絡の受領や日程調整を手伝ってもらうことも考えられます。

ただし、 家族を窓口にしたからといって 当然にすべての法的な代理権が生じるわけではありません。

「連絡の受領だけなのか」 「日程調整までなのか」 「健康情報をどこまで伝えてよいのか」 など、範囲を明確にしておくことが大切です。

体調が急激に悪化している場合は、会社への返信文を考えることより安全の確保を優先してください。

強い希死念慮、自傷のおそれ、急激な症状悪化などがある場合には、 主治医・医療機関や公的な相談窓口などへ相談してください。

10.社労士・弁護士・行政機関はどう使い分ける?

会社との問題は、 一つの専門家ですべてを扱うとは限りません。

相談先 主な相談内容
社会保険労務士 休職制度、傷病手当金、社会保険、労災保険給付、労災申請、事実経過・資料整理など
弁護士 解雇・懲戒、損害賠償、慰謝料、示談・和解、代理交渉、労働審判・訴訟など
労働基準監督署 労災保険給付、労働基準法違反など
労働局・総合労働相談コーナー パワハラ、配置転換、解雇、雇止めなどの相談や制度案内

特に、

  • 解雇・懲戒を通知された
  • 退職届への署名を迫られている
  • 示談書・合意書への署名を求められている
  • 損害賠償を請求された
  • 慰謝料を請求したい
  • 会社との交渉を代理してほしい

といった場合には、 早めに弁護士へ相談することも検討してください。

11.よくある質問

Q.会社から電話が来ても出なくてよいですか?

一律に「出る義務がある」「出なくてよい」とは言えません。 連絡内容や就業規則、期限などによって異なります。 電話対応が難しい場合には、 「療養中のため電話対応が難しいので、メールでお願いします」 などと代替方法を伝える方法があります。

▶ 1分でポイントを解説

Q.パワハラの面談を断ってもいいですか?

面談要請の目的や必要性によって異なります。 会社には事実確認を行う必要がある一方、 病状によって面談が難しい場合には、 延期、短時間化、オンライン、書面回答、質問の事前提示などを相談する方法があります。

Q.家族から会社へ連絡してもらってもいいですか?

本人の意思に基づき、 連絡の受領や日程調整などを家族に手伝ってもらう方法は考えられます。 ただし、家族に当然すべての代理権が生じるわけではないため、 何を任せるのかを明確にしましょう。

Q.会社との面談を録音してもいいですか?

録音は、面談で何が話されたかを後から確認する資料になり得ます。 ただし、録音の可否や、その録音をどのように利用できるかは、 面談の性質、取得方法、就業規則、第三者のプライバシーなどによって個別に検討する必要があります。 可能であれば録音の可否を事前に確認する方法もあります。 また、録音データを保存することと、SNSなどで外部に公開することは別の問題です。 提出や公開を考える場合など、判断に迷うときは弁護士へ相談することも検討しましょう。

Q.以前会社へ説明した日付を間違えていました。不利になりますか?

説明の食い違いがあるだけで直ちに虚偽になるわけではありません。 後から資料を確認して正確な日付が分かったのであれば、 「当初は○月頃と記憶していたが、メールを確認して○月○日と判明した」 など、訂正理由を残しておくことが重要です。

Q.会社が作った面談議事録に署名を求められました。

内容を十分確認せず、その場ですぐ署名する必要があるとは限りません。 実際の発言と違う部分がないか確認し、 訂正方法や署名の意味について確認してください。 重要な権利関係が含まれる場合には専門家への相談も検討しましょう。

Q.会社がパワハラを認めなくても労災申請できますか?

労災保険給付の判断をするのは会社ではありません。 会社の見解だけで労災の可否が決まるわけではなく、 労働基準監督署が本人・会社・関係者・医療機関などから必要な調査を行い、 認定基準に基づいて判断します。

12.まとめ|すぐに完璧な返信をしなくてもいい。まず「整理できる状態」をつくる

会社からの連絡が怖く、 すぐに返信できないときでも、 選択肢は 「無理に即答する」か「完全に無視する」かの二つではありません。

  • まず受領したことだけ伝える
  • 回答を保留する
  • 電話ではなくメールを希望する
  • 連絡窓口を一本化する
  • 質問を事前に書面でもらう
  • 資料を確認してから答える
  • 分からないことは推測しない
  • メール・LINE・通知などの元データを残す
  • 出来事・相談・症状・受診を時系列にする
記録を残す目的は、会社との対立を強めることではありません。

体調が悪い時期でも、 後から 「いつ、何があり、誰に伝え、会社がどう対応したのか」 を確認できる状態をつくるためです。

パワハラ調査でも、精神障害の労災申請でも、 重要になるのは 事実・資料・症状の経過をできるだけ正確に整理すること です。

会社からのメールを開くことさえつらい場合には、 最初からすべてを一人で整理する必要はありません。

会社からの連絡・パワハラ相談後の対応でお困りの方へ

こもれび社労士事務所では、 メンタル不調やパワハラに関する労災を中心に、 会社から届いた文書やメール、 これまでの出来事、診療経過などを確認しながら、 事実関係と今後の対応を整理しています。

「会社からメールが来たが、どう返せばよいか分からない」
「パワハラ申告後のヒアリングが不安」
「会社への説明と労災申請の内容を整理したい」
「大量のメールやLINEをどう整理すればよいか分からない」

といった場合には、 現在お持ちの資料から整理することができます。

LINEで相談する

参考資料

※本記事は、厚生労働省等の公表資料をもとに、休職中・メンタル不調時の会社との連絡、パワーハラスメント相談後の事実確認、精神障害の労災等について一般的な制度・実務上の考え方を整理したものです。個別の対応は、就業規則、会社からの通知内容、病状、雇用状況、調査内容等によって異なります。

ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です

「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。

※ 個人のご相談(労災・後遺障害・障害年金)/全国対応(LINE・オンライン)
※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です