労災の様式第7号(1)とは?|病院の証明欄・証明料・文書料を徹底解説

労災の治療で病院から、 「様式7号を書いてもらうには証明料がかかります」 と言われることがあります。
では、病院に3,000円や5,000円の証明料・文書料を支払った場合、そのお金も労災保険から戻ってくるのでしょうか。
また、労災の書類には様式5号、様式7号、様式8号などがあり、 「どれを使えばいいのか」「病院はどこを書くのか」「2,200円という金額は何の費用なのか」が分かりにくいところです。
この記事では、厚生労働省の請求手続資料、現行様式・記入例、労災診療費算定資料などをもとに、 様式7号の用途、書き方、医療機関の記入欄、証明料、5号・8号との違いを整理します。
・様式7号は、原則として本人がいったん支払った療養費を後から請求する書類です。
・病院・診療所の場合は、通常「様式第7号(1)」を使用します。
・本人だけでなく、事業主や医療機関が記載・証明する部分があります。
・2026年6月以降、様式5号などの「療養の給付請求書取扱料」は2,200円に改定されています。
・しかし、この2,200円を「様式7号の証明料」と考えることはできません。
・様式7号(1)の診療担当者証明について、全国一律の専用公定額は、今回確認した公表資料では明確に確認できません。
・病院へ5,000円などを支払っても、その金額がそのまま全額労災から支給されるとは限りません。
▶ 動画でも解説しています|様式7号の証明料5,000円は戻る?
労災の様式7号とは?
様式7号は、業務災害などについて、労働者が医療費等をいったん負担した場合に、 「療養の費用」を労災保険へ請求するための書類です。
病院や診療所で治療を受けた場合には、通常、 様式第7号(1)を使用します。
労災保険の治療には、大きく分けて次の2つの仕組みがあります。
| 仕組み | 内容 | 主な様式 |
|---|---|---|
| 療養の給付 | 指定医療機関で原則として窓口負担なく治療を受ける | 様式5号 |
| 療養の費用の支給 | 本人がいったん支払った費用について後から請求する | 様式7号 |
基本的には、 労災指定医療機関では様式5号、非指定医療機関では様式7号 と整理すると分かりやすいでしょう。
ただし、指定医療機関に通院している場合でも、治療用装具や移送費など、 本人の立替えが生じる費目について様式7号が関係する場合があります。
なお、様式5号を病院へ提出した後の流れについては、次の記事で詳しく解説しています。
→ 労災の様式5号を病院に出した後どうなる?|労基署に届くまで・レセプト・調査の流れを解説
様式7号を使うときの基本的な流れ
非指定医療機関で治療を受けたケースを例にすると、一般的には次のような流れになります。
- 本人が医療機関へ診療費を支払う
- 様式7号(1)の医療機関記載部分を病院に記入・証明してもらう
- 領収書や診療明細など必要書類を整理する
- 事業主証明を受ける(得られない場合は事情を整理する)
- 所轄の労働基準監督署へ請求する
- 業務上外や療養の必要性、支給対象となる費用などが審査される
- 支給決定された費用が本人へ支給される
病院へ実際に支払った金額が、そのまますべて労災保険から返ってくるとは限りません。 業務災害に該当するかだけでなく、その療養や費用が労災保険上どこまで支給対象になるかも確認されます。
様式7号は誰が書く?病院が全部書くわけではない
様式7号(1)は、病院に渡して全部書いてもらう書類ではありません。
請求人本人、事業主、診療担当者(医療機関)が、それぞれ所定の部分を記載します。
| 記入・証明する人 | 主な内容 |
|---|---|
| 本人 | 氏名、住所、負傷・発病年月日、請求額、振込先、療養の給付を受けなかった理由など |
| 事業主 | 事業場情報、労働保険番号、災害発生状況など |
| 医療機関 | 傷病名、療養期間、診療実日数、診療内容、費用内訳、傷病の経過など |
病院は様式7号のどこに何を書く?
病院・診療所で使用する様式7号(1)には、診療担当者が記載・証明する部分があります。
現行様式・記入例では、医療機関側が主に次のような事項を記載します。
- 傷病の部位・傷病名
- 療養を開始した日・終了した日
- 療養期間
- 入院期間・入院日数
- 診療実日数
- 診療内容
- 投薬、注射、処置、手術、検査、画像診断などの内容
- 治療費の内訳・合計額
- 傷病の経過
- 医療機関名、所在地、診療担当者名など
つまり、様式7号の医療機関欄は、 単に「この患者が受診しました」と証明するだけのものではありません。
療養の内容と費用を確認できるよう、診療内容や費用内訳なども記載する仕組みになっています。
様式7号を書いてもらう「証明料」はいくら?
ここが、今回の記事で最も注意したいところです。
病院によっては、様式7号の記載を依頼すると、 「証明料」「文書料」などの名目で費用を請求されることがあります。
しかし、今回確認した公表資料では、 様式7号(1)の診療担当者証明そのものについて、全国一律に「様式7号の証明料は○円」と定めた専用の公定額は明確に確認できませんでした。
2026年6月の労災診療費改定では、療養の給付請求書取扱料や文書料の一部が引き上げられています。
しかし、そこで示される2,200円を、そのまま 「様式7号の証明料は2,200円」 と読み替えることはできません。
様式5号の「2,200円」とは?
2026年6月診療分以降、労災診療費算定基準の改定により、 「療養の給付請求書取扱料」は2,200円となっています。
これは、指定医療機関が様式5号などの療養の給付請求書を取り扱った場合に算定するものです。
重要なのは、算定資料上、 様式7号(1)~(5)などを取り扱った場合には、この取扱料を算定できない とされていることです。
したがって、
という理解はできません。
様式8号の証明料は?「2,000円」という情報にも注意
様式8号は、休業補償給付などを請求するときに使用する書類です。
診療担当者は、傷病名や療養期間、療養のため労働することができなかったと認められる期間などを証明します。
旧版の労災診療費算定マニュアル等では、 休業証明について1件2,000円という整理が確認できます。
一方、2026年6月の改定資料では、 「証明書料」について2,000円から2,200円への引上げが示されています。
そのため、2026年10月現在の記事で 「様式8号の証明料は現在も必ず2,000円です」 と旧額をそのまま断定するのは避けた方が安全です。
・様式5号などの療養の給付請求書取扱料 → 2026年6月以降2,200円
・様式7号(1)の診療担当者証明 → 専用の全国一律公定額は今回確認した資料では明確に確認できない
・様式8号の休業証明 → 旧版では2,000円。2026年6月改定後の適用額については最新の算定資料との確認が必要
病院に様式7号の証明料として5,000円払ったら戻る?
たとえば、病院から 「様式7号の証明料として5,000円です」 と言われ、実際に5,000円を支払ったとします。
この場合、
- 5,000円全額が必ず支給される
- 2,200円だけ支給される
- 差額2,800円が必ず自己負担になる
のいずれとも、一律には説明できません。
なぜなら、今回確認した公表資料では、 様式7号(1)の診療担当者証明について、全国一律の専用公定額を明確に特定できないためです。
したがって、病院へ文書料などを支払った場合には、 まず「何の費用として請求されたのか」を確認することが重要です。
- 病院から受け取った領収書
- 「証明料」「文書料」「診断書料」などの名目
- 病院の文書料金表
- 料金の内訳
- 記載してもらった様式7号
- 診療明細書
そのうえで、個別の費用が療養の費用として請求対象になるか判断できない場合には、 所轄の労働基準監督署へ確認するのが安全です。
病院によって2,000円・3,000円・5,000円と違うのはなぜ?
様式7号の記載について、医療機関によって異なる文書料を案内されることがあります。
ただし、今回確認した一次資料では、 「病院によって様式7号の料金が違う理由」を直接説明した行政資料までは確認できませんでした。
様式7号(1)の診療担当者証明について全国一律の専用公定額が明確に確認できないため、 医療機関の文書料金実務が反映される余地は考えられます。
ただし、 「病院は自由にいくらでも設定できる」 あるいは 「5,000円を請求するのはおかしい」 と一律に判断することもできません。
まず、何の文書・証明に対する料金なのかを確認することが大切です。
▶ 1分で解説|なぜ証明料は病院によって違う?
様式5号・7号・8号の違い
| 項目 | 様式5号 | 様式7号(1) | 様式8号 |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 療養の給付 | 療養の費用を請求 | 休業補償給付等を請求 |
| 本人の窓口負担 | 原則なし | 原則いったん支払う | 診療費とは別の給付 |
| 医療機関の主な役割 | 労災診療・診療費請求 | 診療内容・費用等を記載・証明 | 労働不能期間等を証明 |
| 取扱料・証明料 | 取扱料2,200円(2026年6月以降) | 専用の全国一律公定額は明確に確認できない | 旧版では2,000円。2026年改定後は最新資料で確認が必要 |
| 労災認定との関係 | 提出=認定済みではない | 提出=全額支給ではない | 提出=支給決定ではない |
様式7号には種類がある
「様式7号」といっても、すべて同じ用紙ではありません。 療養を受けた相手や請求する費用によって枝番が分かれています。
病院・診療所の場合は様式7号(1)を使用しますが、 薬局、柔道整復師、はり・きゅう、訪問看護などでは、それぞれ対応する様式があります。
そのため、「7号を使えばよい」とだけ判断せず、 何の費用を、誰に支払ったのかに応じて使用する様式を確認する必要があります。
健康保険を使ってしまった場合は?
仕事中のけがなど、本来は労災保険を使用するケースで健康保険を使ってしまうこともあります。
この場合、単純に 「窓口で払った3割分だけを様式7号で請求すれば終わり」 とは限りません。
医療機関が健康保険への請求を取り下げられるか、 健康保険者が負担した分を本人が返還する必要があるかなどによって手続が変わります。
健康保険から労災へ切り替える場合には、 医療機関、加入している健康保険、所轄労基署に確認しながら進めるのが安全です。
会社が様式7号を証明してくれない場合は?
会社が事業主証明を拒否したからといって、 それだけで労災請求ができなくなるわけではありません。
事業主証明が得られない事情を説明し、労働基準監督署へ相談しながら請求することができます。
また、会社が事業主証明をしたからといって、 会社が「これは労災です」と認定したことになるわけでもありません。
業務災害に該当するかどうかを判断するのは、労働基準監督署です。
様式7号を提出すれば、支払った治療費は必ず全部戻る?
様式7号を提出したことと、支払った費用の全額が支給されることは同じではありません。
労基署では、業務災害に該当するかだけでなく、 その治療が労災対象となる傷病に必要なものだったか、 労災保険上どこまで支給対象になるかなども確認します。
そのため、領収書があるからといって、 そこに記載されたすべての費用が自動的に支給されるわけではありません。
様式7号の請求期限は?
療養の費用の請求権は、 費用の支出が確定した日の翌日から2年で時効となります。
複数回の診療費を支払っている場合には、それぞれの費用について起算日が異なる場合があります。
「会社と労災かどうかでもめているから、あとでまとめて請求しよう」と長期間放置せず、 早めに労基署へ相談しておくことが大切です。
よくある質問
Q. 様式7号は病院が全部書いてくれますか?
いいえ。本人、事業主、医療機関で記載部分が分かれています。 病院・診療所は主として診療担当者の記載・証明部分を担当します。
Q. 様式7号を病院に書いてもらうのは無料ですか?
全国一律に無料とする公表資料は今回確認できませんでした。 医療機関から文書料等を請求される場合があります。
Q. 様式7号の証明料は2,200円ですか?
そうとはいえません。 2026年6月改定で様式5号などの療養の給付請求書取扱料は2,200円となっていますが、 様式7号(1)の診療担当者証明について全国一律2,200円という専用公定額は、今回確認した公表資料では明確に確認できません。
Q. 病院に証明料5,000円を払ったら、5,000円戻りますか?
5,000円全額が自動的に支給されるとはいえません。 一方で「2,200円までしか戻らない」と一律に説明することもできません。 まず領収書の名目や費用の内容を確認し、必要に応じて所轄労基署へ確認してください。
Q. 会社が証明してくれなくても請求できますか?
事業主証明を得られない場合でも、労災請求そのものができなくなるわけではありません。 証明を得られない事情を労基署へ説明して相談してください。
Q. 様式5号を病院へ提出したら、労災認定されたということですか?
いいえ。様式5号は療養の給付を請求するための書類です。 提出しただけで業務災害としての認定が確定したことにはなりません。
まとめ|様式7号の証明料を「2,200円」と決めつけない
様式7号は、労災の治療費などを本人がいったん負担し、 後から療養の費用を請求するときに使う重要な書類です。
病院・診療所の場合は様式7号(1)を使用し、 医療機関には傷病名、療養期間、診療内容、費用内訳、経過などを記載してもらいます。
一方、医療機関から請求される「証明料」「文書料」については注意が必要です。
2026年6月改定後、様式5号などの療養の給付請求書取扱料は2,200円となりましたが、 この2,200円は様式7号の証明料ではありません。
今回確認した公表資料では、 様式7号(1)の診療担当者証明について、全国一律の専用公定額は明確に確認できませんでした。
病院から3,000円、5,000円などの文書料を請求された場合には、 「労災の書類だから全部戻る」 あるいは 「2,200円しか戻らない」 と決めつけず、 何の費用として請求されたのかを確認することが重要です。
パワハラやメンタル不調に関する労災申請について、 「どの様式を使えばよいか分からない」 「病院や会社とのやり取りが進まない」 「資料がまとまっていない」 といった段階からご相談いただけます。
最初からきれいに整理していただく必要はありません。 今の状況から一緒に整理していきます。
LINEで相談する
主な参考資料
・厚生労働省「労災診療費算定基準」関係資料
・厚生労働省「労災診療費算定基準が改定(2026年6月以降適用)」
・厚生労働省「労災診療費算定マニュアル」
・厚生労働省「労災保険給付請求手続」関係資料
・厚生労働省「労災補償・労働保険徴収関係」各種様式・記入例
※本記事は2026年10月時点で確認できる公表資料をもとに一般的な制度を解説したものです。 個別の文書料・証明料や療養費が労災保険の支給対象となるかは、費用の内容や請求状況等によって異なる場合があります。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
※ 個人のご相談(労災・後遺障害・障害年金)/全国対応(LINE・オンライン)
※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です

