傷病手当金の書類は障害年金の初診日確認の参考になる?確認したい記載内容

傷病手当金の支給申請書と障害年金の資料を並べ、初診日確認の参考になるかを表現した水彩画風イラスト

「昔、傷病手当金をもらっていたのですが、そのときの書類は障害年金の初診日の確認に使えますか?」

障害年金のご相談では、このようなご質問をいただくことがあります。

傷病手当金の支給申請書には、傷病名、初診日、労務不能と認められた期間、 症状や経過、医療機関名などが記載されることがあります。

そのため、障害年金の初診日や受診経過を整理するときに、確認しておきたい資料の一つです。

ただし、傷病手当金の書類があれば、それだけで障害年金の初診日を証明できるという意味ではありません。

障害年金では、受診状況等証明書、診療録、紹介状、診断書、お薬手帳など、 ほかの資料との関係も含めて確認する必要があります。

この記事では、傷病手当金の書類から何を確認できるのか、 障害年金の初診日確認でどのように整理すればよいのかを、社労士が分かりやすく解説します。

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傷病手当金の書類を、障害年金の初診日確認でどう見るのかを動画で分かりやすく解説しています。

傷病手当金の書類は障害年金に使える?

結論からいうと、傷病手当金の書類は、障害年金の初診日や受診経過を整理する際に確認しておきたい資料の一つです。

協会けんぽの傷病手当金支給申請書では、療養担当者が記入する欄に、 傷病名、初診日、発病・負傷年月日、労務不能と認めた期間、 主たる症状や経過、治療内容などを記載する項目があります。

そのため、昔のカルテが見つからない場合や、受診時期の記憶が曖昧な場合には、 「いつ頃、どこの医療機関で、どのような傷病について治療を受けていたのか」 を整理する手がかりになることがあります。

ただし重要なのは、「参考になること」と「初診日を証明できること」は同じではないという点です。

日本年金機構の公開資料では、初診時の医療機関による証明が得られない場合の参考資料として 「健康保険の給付記録」が例示されています。

一方で、今回確認した公開資料では、 「傷病手当金支給申請書」そのものを初診日確認資料として名指しした記載は確認できませんでした。

したがって、傷病手当金の申請書だけで初診日を決めるのではなく、 ほかの資料とあわせて整理することが大切です。

そもそも障害年金の「初診日」とは

障害年金における初診日とは、 障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日 をいいます。

ここで注意したいのは、初診日は必ずしも 「現在の診断名がついた日」ではない という点です。

たとえば、最初は不眠、抑うつ、不安、体調不良などで受診し、その後に別の診断名がついた場合でも、 経過から同一の傷病と判断される場合には、最初の受診日が初診日となることがあります。

初診日確認の原則は「受診状況等証明書」

障害年金では、初診日は原則として、 初診時の医療機関による証明 で確認します。

通常用いられるのが「受診状況等証明書」です。

受診状況等証明書には、傷病名、初診年月日、発病から初診までの経過、 前医の受診歴などを記載する欄があります。

したがって、初診医療機関にカルテ等が残っており、 受診状況等証明書を作成してもらえるのであれば、 まずはその証明を確認するのが基本です。

初診医療機関の証明が取れない場合はどうする?

昔の受診で、すでにカルテが廃棄されている、医療機関が閉院しているなどの理由から、 受診状況等証明書を作成してもらえないことがあります。

日本年金機構では、そのような場合でも、本人が申し立てた初診日を合理的に推定できる資料によって 確認する取扱いがあります。

公開資料では、参考資料の例として、次のような資料が挙げられています。

  • 身体障害者手帳等の申請時の診断書
  • 生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書
  • 交通事故証明書
  • 医療情報サマリー
  • 健康保険の給付記録

ここで、「健康保険の給付記録」が参考資料として挙げられている点は重要です。

ただし、傷病手当金支給申請書そのものが「健康保険の給付記録」に当然に含まれるとまでは、 公開資料からは確認できません。

そのため、傷病手当金関係の資料が残っている場合には、その中に何が記載されているのかを確認し、 初診日や受診経過を整理する材料として検討することになります。

傷病手当金支給申請書には何が書かれている?

協会けんぽの現行の傷病手当金支給申請書では、本人、事業主、療養担当者がそれぞれ記入する欄があります。

特に、医師等が記入する「療養担当者記入用」のページには、 障害年金の初診日や受診経過を整理するときに参考となる情報が含まれることがあります。

確認したい項目 確認できる可能性がある内容
傷病名 傷病手当金を申請した当時の傷病名
初診日 療養担当者が記載する「初診日(療養の給付の開始年月日)」
発病・負傷年月日 発病または負傷したとされた時期
労務不能期間 医師が仕事に就くことができないと判断した期間
症状・経過 当時の主な症状や治療経過
治療内容 治療内容、検査結果、療養指導等
医療機関名 当時受診していた医療機関
診療日 労務不能期間中に診療を受けていたか
勤務状況 事業主記入欄から出勤・欠勤・賃金等の状況

これらの情報を確認することで、 「どの病院を受診していたのか」 「いつ頃から仕事を休んでいたのか」 「当時どのような傷病名だったのか」 を整理しやすくなる場合があります。

「初診日」と「労務不能となった日」は同じではありません

傷病手当金の資料を見るときに、特に注意したい点があります。

それは、傷病手当金の「労務不能となった時期」と、障害年金の「初診日」は制度上まったく別の項目 だということです。

障害年金の初診日は、障害の原因となった傷病について初めて医師等の診療を受けた日です。

一方、傷病手当金の労務不能期間は、療養のため、それまで勤務していた仕事に就くことができなかったと 判断された期間です。

初診日と労務不能開始日が結果的に同じ日になることはありますが、必ず同じになるわけではありません。

たとえば、通院を続けながら数か月勤務し、その後に症状が悪化して休職した場合、 初診日は休職開始日より前になります。

したがって、傷病手当金の支給開始日、待期期間、申請期間、労務不能期間を、 そのまま障害年金の初診日と考えないよう注意が必要です。

傷病手当金を受けた当時と現在で診断名が違う場合

傷病手当金を受けていた頃の傷病名と、現在の診断名が異なるケースもあります。

たとえば、当時は不眠症、不安障害、抑うつ状態などと記載され、 その後にうつ病など別の診断名になっている場合です。

この場合も、診断名が違うという事情だけで、 障害年金上の初診日を一律に別の日と判断することはできません。

日本年金機構の資料でも、当初は対象傷病とは異なる傷病名で受診していた場合であっても、 同一傷病と判断される場合には、その受診日が対象傷病の初診日となる考え方が示されています。

実際には、次のような点を確認していきます。

  • 当時の症状
  • 受診した理由
  • 診療内容
  • 処方内容
  • その後の治療経過
  • 医療機関の紹介・転院経過
  • 現在の請求傷病との関係

「傷病名が同じだから必ず同一傷病」 「病名が違うから別傷病」 と機械的に判断しないことが大切です。

傷病手当金の資料は遡及請求でも確認した方がいい?

障害認定日による請求、いわゆる遡及請求を検討する場合にも、 傷病手当金関係の資料を確認しておく意味があります。

傷病手当金支給申請書には、当時の傷病名、労務不能期間、症状や経過、治療内容などが記載されることがあります。

そのため、障害認定日頃にどのような療養・休職・就労不能の状態だったのかを整理する手がかり になる場合があります。

ただし、傷病手当金の資料だけで、障害認定日頃の診断書の代わりになるわけではありません。

また、傷病手当金を受けていたという事実だけで、 障害年金の1級・2級・3級に該当していたことを証明できるわけでもありません。

遡及請求では、認定日頃の診断書を中心に、カルテ、入院資料、紹介状、 当時の生活状況や就労状況なども含めて整理する必要があります。

昔の傷病手当金の書類が手元にない場合

数年前の傷病手当金について、 「申請した記憶はあるけれど、手元に書類がない」 というケースもあります。

その場合には、当時加入していた協会けんぽの支部や健康保険組合へ、 過去の支給記録や申請書類について確認できるか問い合わせる方法があります。

ただし、何年前まで保管されているか、申請書の写しを交付してもらえるか、 医師記載欄まで確認できるかは、保険者や時期、資料の種類によって異なります。

そのため、 「必ず再発行できます」 「○年間は必ず保存されています」 と一律に考えず、個別に確認する必要があります。

傷病手当金の書類があるときに確認したいチェックリスト

  • 傷病手当金を受けた時期はいつか
  • 傷病名は何と書かれているか
  • 医師欄の初診日はいつか
  • 医療機関名はどこか
  • 発病年月日はどう記載されているか
  • 労務不能と認められた期間はいつからいつまでか
  • 当時の症状・経過は記載されているか
  • 治療内容・処方内容は確認できるか
  • 診断書や紹介状が残っていないか
  • 休職通知、欠勤記録、給与明細などが残っていないか
  • 現在の請求傷病との経過がつながっているか
  • 初診医療機関の受診状況等証明書を取得できるか

一つの資料だけを見るのではなく、 複数の資料を時系列で並べて確認する と、初診日や受診経過が整理しやすくなります。

よくある質問

傷病手当金の支給決定通知だけでも初診日は分かりますか?

支給決定通知だけでは、障害年金上の初診日まで確認できないことがあります。

通知に記載された傷病名や支給期間などは参考になりますが、初診日の確認では、 受診状況等証明書や診療録など、ほかの資料もあわせて確認することが大切です。

傷病手当金の医師欄に初診日が書いてあります。これが障害年金の初診日ですか?

その日が障害年金上の初診日になる場合もありますが、必ずしも同じとは限りません。

障害年金では「障害の原因となった傷病について初めて医師等の診療を受けた日」を確認するため、 前医の受診歴や現在の請求傷病との関係も確認します。

傷病手当金を受けたときと現在の診断名が違います。

診断名が異なるという事情だけで、初診日を別にするとは限りません。

当時の症状、診療内容、治療経過、現在の傷病との関係などを確認して判断します。

傷病手当金を受けていた時期が障害認定日頃です。遡及請求に使えますか?

当時の療養状況や就労不能の経過を整理する手がかりになる場合があります。

ただし、傷病手当金を受けていたことだけで、 障害認定日頃に障害年金の等級に該当していたことが証明できるわけではありません。

昔の傷病手当金の書類がありません。

当時加入していた協会けんぽの支部や健康保険組合に、 支給記録や申請書類を確認できるか問い合わせる方法があります。

ただし、保存状況や交付の可否は保険者・時期・資料によって異なります。

傷病手当金と障害年金は同時にもらえますか?

傷病手当金と障害年金は、条件によって調整が行われる場合があります。

併給・調整については、こちらの記事で詳しく解説しています。

傷病手当金と障害年金は同時にもらえますか?【併給と調整のポイント】

まとめ|傷病手当金の書類は「初診日を整理する手がかり」として確認する

傷病手当金の支給申請書には、傷病名、初診日、労務不能期間、症状や経過、 治療内容、医療機関名などが記載されることがあります。

そのため、障害年金の初診日や受診経過を整理するときには、確認しておきたい資料です。

一方で、傷病手当金の書類があるからといって、 それだけで障害年金の初診日が決まるわけではありません。

特に、

  • 初診医療機関のカルテが残っていない
  • 昔と現在で診断名が違う
  • 複数の医療機関を受診している
  • 傷病手当金を受けた時期が障害認定日頃に重なっている
  • 遡及請求ができるか確認したい

といった場合には、一つの書類だけで判断せず、 受診状況等証明書、診療録、診断書、紹介状、 傷病手当金関係書類などを時系列で整理すること が大切です。

障害年金のご相談

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こもれび社労士事務所では、障害年金の初診日、受診歴、診断書、 病歴・就労状況等申立書などについて、ご相談をお受けしています。

「傷病手当金の書類はあるけれど、初診日との関係が分からない」 「昔の病院のカルテが残っているか分からない」 「遡及請求を検討したいが、どの資料から確認すればよいか分からない」 という段階でも大丈夫です。

まずは、現在お持ちの資料や受診経過を整理しながら、 確認すべき点を一緒に見ていきます。

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参考資料

ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です

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