労災申請でカルテは必要ですか?カルテ開示を急がなくてよいケースもあります

「労災申請を考えています。カルテはすぐ取り寄せた方がいいですか?」
このご質問は、労災のご相談でよくいただきます。
結論からいうと、カルテが重要になるケースはありますが、すべてのケースで申請前に急いで開示する必要があるわけではありません。
むしろ、カルテ開示を待つよりも、先に申請資料の整理を進めた方がよいケースもあります。
カルテは重要な資料のひとつです
カルテには、受診時の症状、医師への相談内容、診断の経過、処方内容などが記録されています。
そのため、
- いつ頃から症状が出ていたのか
- どのような経過で悪化したのか
- 受診時にどのような話をしていたのか
を確認するうえで、重要な資料になることがあります。
特に、精神障害の労災申請や、発症時期が争点になりそうなケースでは、カルテが役立つことがあります。
ただし、申請前に必須とは限りません
労災申請では、カルテだけで判断されるわけではありません。
実際には、
- 申立書
- 出来事整理表
- 診断書
- 会社資料
- 勤務実態資料
- 本人の説明
などをもとに、全体として審査が進みます。
そのため、カルテが手元になくても申請できるケースは多くあります。
「カルテが届くまで何か月も待つ」よりも、「先に事実関係を整理して申請を進める」方がよい場合もあります。
精神障害の労災では、労基署が医療照会を行うこともあります
精神障害の労災申請では、労働基準監督署が必要に応じて、主治医や医療機関へ照会を行うことがあります。
また、同意書を提出している場合には、監督署側で医療機関に確認を行うこともあります。
そのため、「カルテを取らないと労災申請ができない」というわけではありません。
まず大切なのは、カルテを集めることよりも、申請の土台となる事実関係を整理することです。
カルテ開示を急いだ方がよいケース
一方で、次のような場合には、早めにカルテ開示を検討した方がよいことがあります。
すべての方に当てはまるわけではありませんが、「自分はこの可能性がありそうか」という目安として読んでいただければと思います。
発症時期が重要になるケース
精神障害の労災では、発病前おおむね6か月間の出来事が重要になります。
そのため、「いつ発症したと考えられるのか」を確認するために、カルテが役立つことがあります。
診断書と本人の認識にズレがあるケース
本人は「パワハラが原因だと思っていた」と考えていても、カルテには別の内容が記録されている場合があります。
後から大きなズレが出ると、説明が難しくなることもあります。
そのため、診断書や受診経過との整合性が気になる場合には、申請前に確認しておいた方がよいケースもあります。
後遺障害や障害補償給付を検討しているケース
骨折、神経症状、関節の可動域制限、しびれ、痛みなどが残っている場合には、症状の経過が重要になることがあります。
後遺障害の請求を見据えている場合には、カルテを取得して、治療経過や症状の推移を整理することが有効な場合があります。
大切なのは「カルテ集め」より「事実整理」です
ご相談の中には、「まずカルテを全部集めなければいけない」と思われている方もいます。
もちろん、カルテが重要になる場面はあります。
ただ、労災申請で最初に大切なのは、
- いつ、何があったのか
- 誰から、どのような言動を受けたのか
- 勤務時間や業務量はどうだったのか
- 受診までにどのような変化があったのか
- 現在どのような状態なのか
を整理することです。
カルテは、あくまで資料のひとつです。
まずは全体像を整理し、そのうえで「このケースではカルテを確認した方がよいか」を判断していく方が、現実的です。
ポイント
カルテ開示は大切ですが、最初から必ず必要とは限りません。
「何を集めるか」よりも先に、「何を説明する必要があるか」を整理することが大切です。
まとめ
労災申請において、カルテは重要な資料のひとつです。
ただし、すべてのケースで申請前に急いで開示する必要があるわけではありません。
まずは、
- 出来事の整理
- 勤務状況の整理
- 受診経過の整理
を行うことが大切です。
そのうえで、必要に応じてカルテ開示を検討すればよいケースもあります。
「カルテを取るべきか分からない」
「何から準備すればよいか分からない」
そのような段階でも、ひとりで抱え込まずにご相談ください。
労災申請で、何から準備すればよいか分からない方へ
こもれび社労士事務所では、メンタル不調・パワハラ・長時間労働などに関する労災申請について、状況整理からサポートしています。
カルテ開示を急ぐべきか、まず申請資料を整理すべきかも、個別の状況に応じて一緒に確認します。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
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