障害年金の遡及請求|昔のカルテは必要?認定日頃の診断書を頼む前に確認したい資料

障害年金|遡及請求
障害年金の障害認定日による請求(いわゆる遡及請求)を検討していると、 「昔の病院にカルテが残っているだろうか」 「いきなり障害年金用の診断書をお願いしてよいのだろうか」 と迷うことがあります。
特に、障害認定日から何年も経過している場合や、 当時と現在で通院先が違う場合、 昔は精神科ではなく内科などを受診していた場合には、 どこから確認すればよいのか分かりにくいところです。
先に結論
障害年金の遡及請求を検討するときは、
昔の病院へ最初から認定日頃の診断書の作成を依頼する前に、
当時のカルテ、過去の診断書、入院関係資料、紹介状、処方内容などが残っているかを確認する
ことが重要です。
ただし、カルテが残っていない場合でも、 その事情だけで障害認定日による請求の可否を一律に判断することはできません。
過去の診断書控え、入院関係資料、紹介状、処方内容など、 障害認定日頃の状態を確認する手がかりとなる資料がほかにないかを確認し、 実際に認定日頃の診断書を用意できるかを個別に検討することになります。
反対に、昔のカルテが残っているからといって、 必ず障害認定日頃の診断書を書いてもらえるとも限りません。
大切なのは、障害認定日頃の症状や日常生活・就労への支障を、 医師が当時の診療記録等をもとに医学的に確認できるかという点です。
この記事では、障害年金の遡及請求を検討するときに、 昔の病院へ診断書をお願いする前に確認したい資料と、 医療機関への問い合わせの進め方を社労士が整理します。
障害年金の遡及請求で昔のカルテが気になる理由
障害年金では、障害の原因となった傷病について 初めて医師等の診療を受けた日(初診日)を確認し、 原則として初診日から1年6か月を経過した日などが 障害認定日となります。
障害認定日による請求では、 その障害認定日頃に一定の障害状態にあったかどうかを確認します。
日本年金機構では、障害認定日から1年以上経過して障害認定日による請求をする場合、 原則として障害認定日以後3か月以内の現症日の診断書に加えて、 年金請求日前3か月以内の現症日の診断書が必要と案内しています。
なお、20歳前に初診日がある障害基礎年金では、 障害認定日頃の診断書について障害認定日前後3か月以内の現症日の診断書を用いる取扱いがあります。
そのため、障害認定日から数年たってから請求を検討する場合には、 昔の病院の記録から、障害認定日頃の状態をどこまで確認できるか が重要になります。
認定日頃の診断書を頼む前に確認したい資料
遡及請求を考えると、 「まず昔の先生に障害年金用診断書を書いてもらおう」 と考えがちです。
しかし、何年も前の状態について診断書を依頼する場合には、 先に当時どのような記録が残っているのかを確認しておくと、 その後の判断がしやすくなります。
たとえば、次のような資料です。
- 当時の診療録・カルテ
- 当時作成された診断書の控え
- 入院時の診療記録
- 入院診療計画書などの入院関係資料
- 退院時の診療情報・退院時サマリー等
- 紹介状・診療情報提供書
- 処方内容や処方開始時期、薬剤変更の経過が分かる資料
- 検査記録や看護記録など
- 傷病手当金関係の書類
- 休職・欠勤・勤務上の配慮等が分かる資料
「カルテがあるか」だけで終わらせないことがポイントです。
当時作成された診断書、紹介状、入院関係資料、処方内容などには、
障害認定日頃の症状、受診経過、治療内容を確認する手がかりが残っていることがあります。
ただし、これらの資料が認定日頃の診断書の代わりになるか、 または障害状態をどこまで確認できるかは、 資料の内容や個別の事情によって異なります。
昔の病院に最初に何を聞けばよい?
昔の病院へ連絡するとき、 最初から「障害年金の診断書を書いてください」と依頼する必要はありません。
まずは、当時の資料が残っているかを確認するところから始める方法があります。
問い合わせ例
「障害年金の請求を検討しており、○年頃に受診していた際の 診療記録や、当時作成された診断書、紹介状、入院関係資料などが 現在も残っているか確認したいのですが、可能でしょうか。」
医療機関によって、保存されている資料や、 開示・交付の手続きは異なります。
そのため、最初は 「どの資料が残っているか」「どのような方法で確認・取得できるか」 を聞く程度でよいでしょう。
資料の内容を確認してから、 障害認定日頃の診断書を依頼することが現実的かを検討します。
カルテがあれば認定日頃の診断書を書いてもらえる?
カルテが残っていることと、障害年金用診断書を作成できることは同じではありません。
認定日頃の診断書では、 過去のある時点における障害状態を医師に記載してもらうことになります。
そのため、当時の診療記録の中に、 診断書を作成するために必要となる医学的情報がどの程度残っているかが重要です。
精神障害であれば、たとえば次のような内容を確認します。
- 当時どのような症状が記録されているか
- 受診頻度や治療経過
- 処方内容や薬剤の変更
- 休職・欠勤等の就労状況
- 家族等からどのような援助を受けていたか
- 食事、金銭管理、通院、服薬、対人関係等への支障
- 入院していた場合、その理由や入院中の状態
カルテがあるから診断書を書いてもらえる、と断定することはできません。
実際に過去時点の診断書を作成できるかは、
記録の内容や診療経過等を踏まえ、医療機関・医師が判断することになります。
精神科ではなく内科を受診していた場合はどうする?
精神障害の障害年金を検討している方でも、 最初から精神科や心療内科を受診していたとは限りません。
不眠、食欲低下、動悸、倦怠感などをきっかけに、 内科などを受診していたケースもあります。
この場合も、 医療機関の診療科名や当時の診断名だけを見て結論を出さないこと が大切です。
確認したいのは、たとえば次のような内容です。
- 受診したきっかけ・主訴
- 当時記録されていた症状
- 診断名の経過
- 精神症状に対する治療の有無
- 処方された薬とその経過
- 精神科・心療内科等への紹介の有無
- 現在の請求傷病へ至る治療経過
なお、昔の受診と現在の傷病が障害年金上どのような関係にあるかは、 診断名が同じか違うかだけでは判断できません。
カルテがない・病院が閉院している場合は?
昔の病院へ問い合わせたところ、 「カルテは残っていない」と言われることもあります。
また、医療機関そのものが閉院している場合もあります。
このような場合は、まず 初診日の確認と、障害認定日頃の障害状態の確認を分けて考える ことが重要です。
初診日の証明については、 受診状況等証明書が取得できない場合の申立てや、 第三者証明、紹介状、お薬手帳、転院先の診療記録などを 検討できるケースがあります。
一方、遡及請求では、 障害認定日頃の障害状態をどの資料から確認できるか という別の問題があります。
「初診日は確認できた」ことと、 「障害認定日頃の障害状態を確認できる」ことは同じではありません。
遡及請求では入院資料も確認した方がよい?
障害認定日頃に入院していた場合や、 その前後に入院歴がある場合には、 入院関係資料も確認する価値があります。
入院関係資料には、 入院時の症状、入院理由、治療内容、退院時の状態などが 記録されていることがあります。
たとえば、次のような資料です。
- 入院時の診療記録
- 入院診療計画書
- 退院時サマリー等
- 入院時・退院時に作成された診断書
- 看護記録
- 他院への紹介状・診療情報提供書
ただし、入院したという事実だけで障害年金の等級が決まるわけではありません。
どの時期に、どのような理由で入院し、 障害認定日頃にどの程度の日常生活上の制限があったのかを、 他の資料とあわせて確認します。
傷病手当金の資料がある場合も確認しておく
過去に傷病手当金を受給していた場合には、 当時の申請書や関係資料が残っていないか確認してみる価値があります。
傷病手当金関係の資料から、当時の傷病名、療養期間、 労務不能とされた時期、受診していた医療機関などを確認できることがあります。
そのため、当時の受診経過や就労状況を整理するための参考資料の一つになる場合があります。 初診日をどのように確認するかについては、受診状況等証明書、診療録、 その他の資料との関係をあわせて検討します。
ただし、傷病手当金の書類だけで障害年金の初診日が必ず証明できるわけではありません。 また、傷病手当金を受給していた事実だけで、 障害認定日頃に障害年金の等級に該当していたと決まるわけでもありません。
傷病名、受診先、申請期間等を確認し、 診療録や受診状況等証明書、診断書などとの関係を整理することが重要です。
障害年金の遡及請求|資料整理チェックリスト
昔の病院へ問い合わせる前後で、 次の項目を整理してみると全体像が分かりやすくなります。
□ 障害の原因となった傷病の初診日はいつ頃か
□ 障害認定日はいつ頃になるか
□ 障害認定日頃に通院していた病院はどこか
□ 当時のカルテは残っているか
□ 当時作成された診断書の控えは残っているか
□ 入院歴はあるか
□ 入院関係資料は残っているか
□ 紹介状・診療情報提供書はあるか
□ 処方内容や薬剤変更の経過を確認できるか
□ 傷病手当金関係の資料は残っているか
□ 当時の休職・欠勤・勤務上の配慮等を確認できるか
□ 当時の日常生活上の支障を確認できる資料・事情があるか
□ 現在の主治医へ共有できる過去資料は何か
全部そろっていなければ請求できない、というチェックリストではありません。
どの資料があり、どの部分が確認できていないかを把握するための整理表 として使ってください。
よくある質問
Q. 昔のカルテがなければ遡及請求はできませんか?
カルテが残っていないという一点だけで、 障害認定日による請求の可否を一律に判断することはできません。
ただし、障害認定日による請求では、 障害認定日頃の障害状態を確認できる診断書が重要になります。 過去の資料の状況や医療機関の対応を確認しながら、 個別に検討する必要があります。
Q. カルテが残っていれば認定日頃の診断書を書いてもらえますか?
必ず書いてもらえるとは限りません。
カルテの内容から当時の障害状態を医学的に判断できるかなどを踏まえて、 診断書を作成できるかは医療機関・医師が判断します。
Q. 昔の病院には、まず診断書を頼んだ方がよいですか?
先に、診療録や過去の診断書、紹介状、入院関係資料などが 残っているかを確認する方法があります。
資料の内容を把握してから、 認定日頃の診断書を依頼することが現実的かを検討すると、 手続きを整理しやすくなります。
Q. 当時は精神科ではなく内科でした。遡及請求は難しいですか?
診療科名だけで判断することはできません。
当時どのような症状で受診し、どのような治療を受け、 その後どのような経過で現在の傷病につながっているのかを確認します。
Q. 当時と現在で診断名が違います。
診断名が違うという一点だけで、 初診日や遡及請求の可否を一律に判断することはできません。
当時の症状、診療内容、治療経過、現在の傷病との関係などを確認して整理します。
まとめ|遡及請求は、診断書を頼む前の資料確認が大切
障害年金の遡及請求を検討するときは、 昔の病院へいきなり障害年金用診断書の作成を依頼する前に、 障害認定日頃の状態を確認する手がかりとなる資料が残っているか を把握しておくことが大切です。
確認したい主な資料
・診療録・カルテ
・過去の診断書控え
・入院関係資料
・紹介状・診療情報提供書
・処方内容・治療経過
・傷病手当金関係資料
・休職・欠勤等の就労資料
ただし、「カルテがないから無理」「カルテがあるから遡及できる」 と単純に判断することはできません。
初診日、障害認定日、当時の症状、日常生活・就労状況、 医療記録の内容を一つずつ確認しながら、 障害認定日による請求を検討できるか整理していくことになります。
遡及請求の資料整理で迷っている方へ
障害年金の遡及請求では、 「昔の病院に何を確認すればよいか」 「診断書をお願いする前にどの資料を集めればよいか」 「当時と現在で診断名が違うが、どう整理すればよいか」 と迷うことがあります。
こもれび社労士事務所では、 初診日・障害認定日・受診歴を確認しながら、 過去のカルテ、診断書、入院資料等をどのように整理して 障害年金の請求を進めるかを個別に検討しています。
全国対応。まだ資料がそろっていない段階でもご相談いただけます。
参考資料
- 日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」
- 日本年金機構「障害厚生年金を受けられるとき」
- 日本年金機構「障害年金ガイド」
- 日本年金機構「障害年金講座・初診日の考え方等に関する資料」
- 日本年金機構「障害のある方」
※本記事は2026年9月時点の日本年金機構の公開情報をもとに、 障害年金の一般的な手続きについて整理したものです。 実際の請求では、初診日、障害認定日、傷病、診療経過、 医療機関に残っている資料等によって取扱いが異なる場合があります。
ここまで読んで、まだ迷っていても大丈夫です。

まずは、今の状況を整理するところからで大丈夫です
「まだ相談するか決めていない」
「何を書けばいいか分からない」
そんな段階でも大丈夫です。
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※ 「まず整理だけ」でも大丈夫です


